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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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空の彼方 (メディアワークス文庫)
この店で、あなたの帰りを待っています。
 小さな路地に隠れるようにある防具屋「シャイニーテラス」。店の女主人ソラは、訪れる客と必ずある約束をかわす。それは、生きて帰り、旅の出来事を彼女に語るというもの。ソラは旅人たちの帰りを待つことで世界を旅し、戻らぬ幼なじみを捜していた。
 ある日、自由を求め貴族の身分を捨てた青年アルが店を訪れる。この出会いがソラの時間を動かすことになり——。
 不思議な防具屋を舞台にした、心洗われるファンタジー。
 第16回電撃小説大賞〈選考委員奨励賞〉受賞作。(裏表紙より)

新米傭兵のアルフォンス、防具屋の女主人ソラ、その店のお客たちの連作短編。一人が次へ次へと繋がっていく話は、やっぱり面白いなあ!
ソラがだんだんとほどけていく感じがいい。冷たい人ではないけれど、ちょっと達観した様子なのが寂しくて。だからアルフォンスとのやりとりでちょっとずつ普通の人になっていくのが、なんだかかわいい。
私は、不器用な女騎士マリアベルがすきです。好きです! なんだソラとのやりとり! 女の子かわいい! ってなりました。
ちょっと文体や文章が独特で、呼吸の置き方に読み始めは戸惑いましたが、優しいファンタジーでした。
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メガロマニア (角川文庫)
いない。誰もいない。ここにはもう誰もいない。みんなどこかへ行ってしまった——。鬱蒼とした熱帯雨林、高度な技術で積み上げられた石門、張り巡らされた水路、動かない車輪。古代文明の壮大な足跡を辿り、メキシコ、グアテマラ、ペルーを訪れた物語作家は、遺跡に道にホテルに、“気配”を色濃く感じ取る。インカ、マヤ、失われた都市。そこに秘められた物語の種とは。人類のセンス・オブ・ワンダーに迫る、中南米紀行。(裏表紙より)

南米旅行記。八月後半のじわーっとした暑さの中で読むと、なんとなく、南米の街ってこんな感じなのかなあと思う。ちがうか。
ある夜突然扉を激しく叩かれて飛び起きた、という「深夜の訪問者」の回に、思い出したことがひとつ。
私は祖父と二人で沖縄旅行に行ったことがあるのですが、あるホテルで、なんとなく窓にカーテン(というか引き戸?)をしないでいたくて、開けたままにしていたら、その深夜突然、窓ガラスを「ばんばんばんばん!!!」と叩かれて飛び起きたことがあります。「えっなに!?」となって起きたものの、その部屋は地上十何階かで、とてもじゃないけれど人が叩けるものじゃない。ぞくっとしていると祖父は「あー、やっぱりなあ」と言って淡々と引き戸をしたのでやっぱりってなに!? と思いながら、聞くことができなかった思い出です。
その祖父はもう亡くなってしまったので、何を感じたのかは永遠に謎のままになってしまいましたが、沖縄だったら、幽霊も精霊もいそうですよね。
女神の恋人―ロイデン・ロータス・オラトリオ (コバルト文庫)
十六歳の王女ミーシャに結婚のときが迫っていた。女性が王位を継ぐロイデン王国では、神に選ばれた「聖夫」と結婚しなければ女王になれない。余命の短い母から、早く王位を継がねばならない——戸惑いながら、誰とも知れない「聖夫」を受け入れる覚悟をしていたミーシャは、婚儀の当日に見知らぬ少年と出会う。とっさに侍女だと名乗ったミーシャだったが……? 波乱の王朝ラブロマン!(カバー折り返しより)

インド風ファンタジー。女神と同性である女王を戴くロイデン王国。他国人の流入が始まって二百年ほど経ったこの国で、王女ミーシャは、即位の前段階として結婚することになった。相手は、生前の偉業をやがて国の統一神として奉じられたナジュカ女神の恋人エシュカの生まれ変わりという神託を受けた男だという。
さて、この生まれ変わりの徴を持っているのが、双子の青年だったという、とっても美味しい設定なのです。少し乱暴で軽薄な兄ザギと、穏やかで優しい弟ロダー。二人とも神託を受けたので、二人とも正式な候補なのですが、先にあてがわれたのは弟ロダーの方。けれど、ミーシャはザギの方が気になって……。
三角関係にはならず、最後の方まで明かされない色々があるので、はらはらしました。私は、ロダーが実は女性なのではないかと思ったんですが、その予測が違うところに飛んでいったのでびっくりしました。
この王女と双子以外に、母親である女王マーシェリー周辺の大人組も、様々に思惑があって気になるところです。どうやらマーシェリーの話もあるようなので、機会があったら読みたい。
ステップファザー・ステップ (講談社文庫)
中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。そして、一緒に暮らし始めた3人。まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイートホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作!(裏表紙より)

手元にあるのが1996年2刷の本なので、表紙が変わっています。多分紹介文も変わっていると思う。実は、宮部みゆきをほとんど読まずにきたのですが、それでもやっぱりすごい人なんだなあ、と作品の面白さ、読みやすさで感じました。
もっと一緒にがっつり生活するかと思ったら、都合のいい時に呼び出される、疑似父(ステップファザー)の話でした。この父も冴えてますが、双子もなかなか賢く、かつ小悪魔的で可愛い。その子どもたちに、どうしても冷たく当たれない父も、かわいい。
7話が収録されていて、もっと続きを読みたいなあと感じさせる疑似家族ものでした。面白かった!
慟哭 (創元推理文庫)
連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ! 幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。(裏表紙より)

「面白いから読みなさい」と本まで渡されてしまったので読みましたが、最後に自分があああああと胸をかきむしりたくなる、鮮烈な作品でした。どうして、こういう作品は、最後の最後にどうしようもないところでえぐってくるかな!?(歓喜)
幼女誘拐事件の捜査と、とある男の行動が交互に語られる構成。この二つが、どう交差するのか。段々と距離が縮まってくる感覚、けれど、最後の最後に……。途中で「あれっ」と思い始めたらネタが割れると思うんですが、それでも最後まで手に汗握りました。最後の一文がやるせない。
ある発掘者の不幸と幸福 -夢追いサナギ、拾いました。- (ネオスブックス ブロッサムサイド)
 発掘者のフィオーラが過去の遺物を掘り当てるのは、夢や真実のためではない。目的はただひとつ——金のため。そんな冷めた考え方のフィオーラだったが、ある日眠っていた人間の青年を発掘してから彼女の生活は一変する。大金獲得の可能性を期待してその身柄を引き受け、記憶を失った青年にジョーイと名付け、助手とすることに。しかし世間知らずでド天然な彼に、フィオーラは振り回されっぱなしで……!?(裏表紙より)

古代都市コンクラトゥスの《遺物》の発掘業が発達している街、メルカート。天涯孤独の少女フィオーラは、組合に所属しない発掘者。ある日、生きた青年を発掘してしまったことで、コンクラトゥスと《夢紡ぎ人》の過去に触れることに。
悲しさをばねに強く生きる女の子の話でした。何があっても、フィオーラが「くそー!」って頑張ってくれるので、いい方向に行く予感がずっとあって、安心して読めました(という感想もどうかと思いますが、いやしかしどシリアスも好きですよ!)
ジョーイが、天然というか、自然体で攻め体質なので、喋っている間中ずっとフィオーラに対する好意を発散させているので、こいつ……! ってなりました。物理的に打たれ強いという話が出ていましたが、メンタルもイケメンじゃないですかね!? 何があってもしれっとフィオーラの側にいそうで、安心します。
どんどん時代が進んでいく中の活気がある人々の街の話だったので、ファンタジックというより、メンタル:イケメンを楽しみました。明るく楽しい物語でした。面白かったです。
春の女神と銀雪の騎士 (講談社X文庫ホワイトハート)
 春の女神と呼ばれる可憐な姫メルティーナは、初めて会ったときから、婚約者フォルストルの青い瞳に魅せられた。が、彼の深く重い青の瞳は冷たい人柄そのものを表していた。
 何事にも無関心なフォルストルだったが、メルティーナは、彼に愛されたいと、誠心誠意尽くす。
 そんなある日、メルティーナは、名前も知らぬ、吟遊詩人と一夜の過ちを犯してしまい……!?(裏表紙より)

古い西欧の時代。南方地方の旧王家の血筋の姫メルティーナと、北方地方の有力貴族令息フォルストルとの結婚が決まった。政略結婚と納得して嫁いだメルティーナは、フォルストルに一目で恋に落ちる。しかし、フォルストルは誰に対しても無関心、己の心にも無頓着な冷たい人間だった。
という、とことんすれ違いながら、可憐なヒロインが努力する、正統派少女小説でした。結婚ものの楽しさが溢れたもので、ちょっとずつフォルストルの心が解けていくところがもだもだでした。自覚がないのか、で噴きました。
うたう鳥のよる~千夜一夜に巫女は舞う~ (一迅社文庫アイリス)
18歳なのに、成長しない体のせいで嫁入りもできず、古書修復業で家計を支える愛書狂のシエラ。行方不明になった従妹を探すため、ランプの精霊の力でハレムに潜入した彼女を待っていたのは、シエラを『運命の人』と呼ぶ王子リヤーフと亡霊のような花嫁たちだった! 従妹を救うため、シエラは望みを叶える力を持つ呪歌を捜すことになって——!? 書記乙女と二人の王子、自称ランプの精霊が織りなすアラビア風ラブファンタジー!(裏表紙より)

成長しないために18歳でありながら少女の姿のシエラ。存在をないものとして扱われる王子リヤーフは、シエラを運命の人と呼んで、雛鳥のようにつきまとう。その理由は、《全界詩(せかいし)》と呼ばれるものにまつわることだった。
《全界詩》にときめく! かつ、書物乙女というキーワードにきゅんきゅんする。が、出てくるのは女装王子に、走ってくるランプの精に、昼と夜とでは性別が違う友達……。ぶっ込み過ぎじゃないですか! 面白かったけど!! シエラの名前が分かったときに「キター」って叫んでしまった。
古戸さんの書く物語の、これからも続く、という終わり方が好きなので、最後は嬉しかったです。
ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書)
読者を謎解きに導く巧みなプロット。犯罪にいたる人間心理への緻密な洞察。一九世紀前半ごろ誕生した探偵小説は、文学に共通する「人間を描く」というテーマに鋭く迫る試みでもある。ディケンズ、コリンズ、ドイル、チェスタトン、クリスティーなどの、代表的な英国ミステリー作品を取り上げ、探偵小説の系譜、作品の魅力などを読み解く。(カバー折り返しより)

ミステリーとは、から始まり、謎、探偵小説、という表現を経て、英国古典探偵小説の変遷を辿っていく。
自分がこれほど探偵小説を読んでいないとは……! という悔しい気持ちでこれを読んでいましたが、いやそれでも、この本面白い。小説って、結局は人間を書くということになると思うのですが、探偵小説の醍醐味ってその人間学なのだな、と再認識しました。
やっぱり知っている作品について書かれているとのめり込んで読んでしまうもので、シャーロック・ホームズについては面白く読みました。
お嬢様は吸血鬼 〜秘密ノ求婚〜 (コバルト文庫)
人口の二割が吸血鬼といわれる大弐本帝國。伯爵令嬢・藤ノ宮乙葉も実は真性の吸血鬼なのだが、秘密にして学校に通っている。だが理科教師の深谷欧介は、乙葉の正体に気づいている様子。思いがけない方法で接近してきたうえ、乙葉が悩んでいた結婚話を白紙に戻してくれることに……? 雑誌Cobaltで読者アンケート第1位獲得、大反響のレトロ風味な学園ラブ♥︎ファンタジー、待望の文庫化!(裏表紙より)

大正浪漫でファンタジー、しかも吸血鬼。という狙いまくっている話と聞き、読み始めると、最初はちょっと話が唐突でおっとっととなったものの、よく研がれたもえの刃が綺麗に切り込んできて、悔しい……ってなりました。
お嬢様に、理科教師。しかも殿方の方が敬語で、しかもセクハラ風味って、反則……!!
主人公・乙葉を、軽々といなして、かつ余裕ある大人な態度が素晴らしい、欧介先生。ちょっと万能ヒーローっぽくもありますが、やらしいのが、すごく、いいです……(悶)挿絵もすごくいい。目隠しは、えろい……。
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Author:月子
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