忍者ブログ
読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
[316]  [317]  [318]  [319]  [320]  [321]  [322]  [323]  [324]  [325]  [326
私にふさわしいホテル
「元アイドルと同時受賞」という、史上最悪のデビューを飾った新人作家・中島加代子。さらには「単行本出版を阻止される」「有名作家と大喧嘩する」「編集者に裏切られる」etc. 絶体絶命のトラブルに次々と襲われる羽目に。しかし、あふれんばかりの野心と、奇想天外なアイデアで加代子は自分自身の道を切り拓いていく——。(帯より)

柔らかめのヒロインが「負けるもんか!」と踏ん張る話だと思い込んでいたので、加代子のアクティブさにびっくりする。何が何でものし上がってやる! というその強さが羨ましいです。だがあくどい手を使いすぎだ!
加代子の成功物語が連作短編になっているのですが、この、みるみるぎすぎすと尖っていく感じがもう、なんだか痛くて苦い。作り話ばかりうまくなって、自分の大切なものを損なっていく、身を削っていく感じが作家という生き物なのだなあと。
「お前絶対許さないからな」というのは、実際にあると思います。実行するのは別としてもそれにしがみつくならそれだけの理由があるんだと思うな。
宮木あや子さんと南綾子さんと朝井リョウさんの登場する話が爆笑でした。
何故かこれを読んでいる間、加代子がお笑い芸人のキンタロー。さんになっていたんですが、なんでだろう。
PR
板尾日記 2
お笑い芸人の板尾創路さんの日記をまとめたもの。2007年刊行。板尾さんの活動、特に映画やドラマや舞台といった役者仕事の話や、やりたい活動の話が多かった気がする。あと、乗馬の話。ちらっと出る奥さんとの生活がなんかいい。さりげなく大事にしてるように書かれていてなんだかにやっとする。
心に残る名作コピー
1970−80年代、1990年代、2000年代の広告コピーをまとめた一冊。
90年代は、見たことあるーっていうのがいくつかある。特集でまとめてある豊島園とかルミネの広告が面白いなー。シリーズの力ってあると思うな。ルミネの広告は、蜷川実花さんの写真もそうだけれど、キャッチコピーがすごく好きなのだ。
眠れない悪魔と鳥籠の歌姫 (一迅社文庫アイリス)
闇オークションで売られていた歌姫ニーナを連れ出したのは、冷酷で美しい悪魔憑きの青年・アルドだった。彼の中の悪魔を眠らせるため、囚われて子守唄を歌うことになってしまったニーナ。しかし、精霊使いのニーナの言葉は、悪魔憑きのアルドを従わせる効果もあって…? いびつな関係を続けながらも、心を許し始めたふたりに、悪魔を求める総督の追手が迫る——。囚われの歌姫と眠れない悪魔が奏でるラブファンタジー。(裏表紙より)

あらすじからもっとどんよりシリアスなのかと思ったら、ヒロインとヒーローがそうさせてくれなかった。かっこいいよ地に足のついたしっかり者ヒロイン! ヒーローは俺様ナルシストだし!
闇オークションに売られてしまったもののニーナ自身は実は盗賊団の首領の娘で、教えのままに一人きりになったから自分で生きていこうとしたところでの、この失敗。というところからしてもうただものじゃないなあ。ただの女の子じゃない。家事はお手の物。頭も回るししっかりもの。でも少しだけ寂しいというバランスがたまらない。
ニーナがかなりしっかり者なだけに、有能で俺様でナルシストなアルドは、ニーナほどどっぷり好き、ということにはならなかったです。素直じゃないのは減点!笑 でも「枕」呼ばわりにやにやしました。知り合いに心配されるところをみると、やっぱり優しい人なんだな。
ピクテ・シェンカの不思議な森 わがまま王子と魔女の誘惑 (ピクテ・シェンカの不思議な森シリーズ) (コバルト文庫)
魔物の棲む森の領主になった少女ムイは、国王から城に呼び出されていた。以前、都で森の魔物が起こした騒動がばれたのかと思い、こわごわ登城したムイを待っていたのは、次期国王となる青年グリジスだった。王になるための通過儀礼として森を訪れたグリジスは、森の住人たちの異能を知り、私欲のために使おうと画策し始めた! 反対したムイは森に入ることを禁止されてしまい…!?(裏表紙より)

新キャラ登場、なんですが、次期国王だというのでてっきりヒーロー候補かと思ったら、敵対者っぽいグリジス。今巻ムイと過ごすのはラーシェンでした。嫉妬する森狼の王が可愛い。
森の秘密を知っている国王側の問題でしたが、ティッセ、キハネの姉妹の方にも陰謀以外での変化が。ティッセ、悪役にしてはお姉ちゃん大好きすぎるので、ちゃんと仲直りしてほしい。悪い子じゃないんだよな。ちゃんと家事も出来るようになってるしここで生きていくこともできるだろうに、何をそんなに過去の暮らしに固執してるのか。その辺りのことは後から分かるのかなー。
私と踊って
失踪してしまった同僚はどこへ消えたのか。彼の机の周りに集まった人々。城山はその痕跡から、消えた樺島が何を見ていたのかに気付く「心変わり」。飛来したUFOが発した光を浴びた動物たちが知能を持ち、主人に言葉を知らせるようになった「忠告」「協力」。一所に留まらず常に異動する世界の物語「少女界曼荼羅」。ある少女に、突如現れた彼女が言った「私と踊って」。十九の短編集。

久しぶりに恩田陸さんの作品を読んだ。短編やっぱり好きだなあ。
今回はどの作品も、長編を思わせるプロローグ的なものが多かった気がします。「心変わり」の続きすごく読みたい。
「少女界曼荼羅」は絵画っぽいなあという印象でした。常に動く世界で女の子たちが走り回る話が読んでみたい。
「私と踊って」ももうちょっと長いもので読んでみたいと思ったのですが、でも少女時代に結びついた二人が、遠く離れていても相手のことを見て、思っている、というシチュエーションが本当に好きすぎる。
恩田さんはどこかに「かえっていく」お話がお好きなんだな。過去に、世界に、ルーツに。自分を構成するものを解いて、この世の不思議はそのままに飛び込んでいく感じ。
OUT OF CONTROL (ハヤカワ文庫JA)
日本SF大賞受賞『マルドゥック・スクランブル』から、吉川英治文学新人賞、本屋大賞を受賞した時代小説『天地明察』まで、エンタテイメントの最前線で活躍し続ける冲方丁の細心短篇集。『天地明察』の原型短篇「日本改暦事情」、親から子どもへの普遍的な愛情をSF設定の中で描いた「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」、著者自身を思わせる作家の一夜を疾走感溢れる七でつづる異色の表題作など、全7篇を収録(裏表紙より)

「スタンド・アウト」「まあこ」「箱」「日本改暦事情」「デストピア」「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」「OUT OF CONTROL」の七編。ホラーあり、SFあり、『天地明察』の原型短編あり。
冲方さんのホラー恐すぎる。「まあこ」の設定にひいっ! ってなってしまった。髪と女と性にまつわるホラーの組み合わせは最悪なほど恐かった。
全体的に薄暗い感じ、ちょっと不穏さが感じられる短編ばかりで、「日本改暦事情」の清々しさがすごく際立っている。一人称の作品が多いのは、意図的なものがあるのだろうか。『天地明察』まだ読んでないので、早く読もう。
「OUT OF CONTROL」はぞっとするホラーみたいな作品だったけれど、これまでの冲方作品を知っていると、覚えのあるフレーズがあちこちに出てきてにやっとしてしまった。読めてない作品もあるので、多分私の知らない作品のフレーズもあるのかな。
火鍛冶の娘 (カドカワ銀のさじシリーズ)
火鍛冶の匠を父に持つ少女・沙耶。鉄を鍛え、武器や道具を作り出す父に憧れ、自分も火鍛冶になることを目指す彼女だが、この世界には、女は鍛冶をしてはいけないという掟があった。男と偽り、鍛冶を続けていた彼女に、都からとんでもない以来が。それは20歳になる麗しの王子に、剣を鍛えてほしいというもので…。叶わぬ夢に身を焦がす男装少女の、鉄と炎の和風ファンタジー!(カバー折り返しより)

禁じられた女の火鍛冶、男と偽って父の跡を継いだ少女が、名を挙げようと魔剣を作り出したことによって事件が起こる。沙耶の勇ましい男装具合に惚れ惚れ。
自分の心の闇と向き合う話で、望む自分と本来の自分に揺れ動く心にはらはらさせられっぱなしでした。加津稚と護足はそのどきどきの中で大変癒しになりました。最後まで三人が喋っているところが微笑ましかった。その最後が恋愛ものとしても美味しくて、とても面白かったです。
送り人の娘 (カドカワ銀のさじシリーズ)
額に目の刺青を持つ少女・伊予は、死んだ人の魂を黄泉に送る力を持つ「送り人」だ。平穏に暮らしていたある日、伊予は死んだ狼を蘇らせてしまう。その力が、美貌の覇王・猛日王の知るところとなり、伊予は猛日王に狙われることに。そんな彼女を救ったのは、命を助けた狼の闇真だった。絆だけを頼りに、少女と狼の冒険が始まる!!(カバー折り返しより)

古代日本を舞台にしたファンタジー。イザナギイザナミの神話をくんで、黄泉の大女神の元に魂を送る、黄泉送りの力を持つ伊予。滅ぼされた一族の末裔であることを知らされた時から運命が始まる。
蘇りの力と、人の浅ましい願望と、この世と異界と、まだ神話が混ざり合っている世界の物語で、力を持て余し、翻弄されている伊予が、次第に輝きを帯びてくるまでが描かれています。少女らしい揺れ動きとか、周囲に振り回されている感じとか、伊予自身が強くなった瞬間が本当にもう! 大好きすぎる。
できれば闇真との話がもっと見たかったな! 異界の魔性の王なんて設定は大好物です。狭霧もまだまだ子どもという感じで、男前を予感させるシーンが欲しかったですよ! だが成長した男の子にどきりとするシーンがあると想像するだけでよだれが出そうだ。
輪るピングドラム 下
冠葉の本当の妹。陽毬の過去。晶馬が選んだことによって始まった高倉兄弟。自分だけが罰を受けるべきだと考える晶馬と、自分がみんなを助けなければと罪を背負う冠葉。本当の家族、本当のきょうだい、一緒に生きたいと願う彼らは、運命を乗り換えることができる呪文を目指すが、眞悧はついに冠葉を唆し……。

ピンドラ下巻。登場人物みんなが抱く望みのすべてに「愛」という感情があるんだなと感じる最終話です。この話、すごく暗喩やらほのめかしに満ちていて、読み解こうとするのが楽しい。
一人称がすごくいいなあ。ぐっとくる。アニメ最終話にあたるシーンは本当に、ぐっときた。小説は小説でこの滔々と語る物語が、アニメはアニメですごく独特な演出で魅力的に描き出しててすごい。
冠葉も晶馬も陽毬も、苹果も、真砂子もゆりも多蕗も、みんな一方通行で苦しくて、失われたどうしようなさを一生懸命埋めようとしていて、子どもたちは多くのものを失ってしまって失ったことすら忘れてしまってある意味幸せな未来を迎えることができるけれど、大人たちはその埋められなさを抱えながら生きていこうとする。子どもが世界を変えるんじゃなくて、子どもが無償の愛で、世界の不条理や大人たちの強制や、罪と罰を抱えていく、というようなお話だったように思います。
面白かった。アニメ全話みたいなー!
Profile
Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
Search
Calender
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6
15
16 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
Archive
Shopping
Analyzer
Counter
忍者ブログ [PR]