読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

亡くなった母が残した“水のしろたえ”とは?
真実を知る父はエミシ討伐に旅立ってしまった。
水の屋敷が燃えて以来、真玉の運命は大きく動き出す……。(カバー折り返しより)
羽衣伝説を下敷きにした、平安時代の薬子の変の頃の物語。水底の国からやってきた娘は、人間の男との間に女の子をもうけた。母の命と引き換えに生まれ、成長した真玉は、水の国のものと言葉を交わし、泳ぎも人並みはずれている。そんな真玉の父が行方不明になったことで、彼女の運命が大きく動く。
死んだ母がついに見つけられなかった「水のしろたえ」、付け火された邸、男の子の格好をして隠れたり、歴史に記される薬子や高丘親王との出会いなど、ひとつひとつの要素がおいしい。そして、みずみずしい女の子の話でした。この世で生きるか、「水のしろたえ」を見つけて水底の国へ行くか、岐路に立つ少女・真玉。たよりないようでいて、しっかりしていて、けれどやっぱり女の子というのが主人公としてはちょっと寂しい気がしつつも、挿絵の繊細で柔らかい感じがお話によくあっていて、好きだなーと思いました。
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日本のまんが文化が大きく花開いた昭和三〇年代。その中心にあったのが、伝説のまんがアパート・トキワ荘だった。手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、水野英子らそこに集まったキラ星のごときまんが家たちの若き日の姿。涙あり笑いあり、ときに逃亡劇も大けがも…。その時代を編集者としてともに駆け抜けた著者が今明らかにする秘話で、まんがのもっとも熱かった日々が鮮やかによみがえる。「当時のトキワ荘をまさにありのままに描いた」(水野英子)日本まんが史料の決定版。世界を席巻する日本のまんが文化誕生の秘密がここにある。関係年表と登場人物小伝付き。(裏表紙より)
手塚治虫を中心に、トキワ荘メンバーとの日々を回想する。楽しかった! あの頃の漫画は今の漫画とは違うし、漫画家という仕事がなんだかフィクションみたいな出来事に感じられる回想だったけれど、熱い志を持って描いていた人たちがいたんだよなあ。すごいなあ。編集者の人が自分の仕事を語るものってそう読んだことがなかったので、興味深かった。言えるのは、作家も編集もみんなまんが馬鹿(いい意味で)だったんだなということかな!

美人女子大生・麻美は、15世紀のフランスにタイムスリップ。そこで出会った美少女は、伝説の乙女、ジャンヌ・ダルクだった! 負傷したジャンヌの身がわりとなって、戦場に立つ麻美。——「ジャンヌが、生き返ったぞ!」ここに、新しい伝説が生まれる!?(裏表紙より)
青い鳥文庫の「タイムスリップ探偵団」の姉妹編で、タイムスリップ・ミステリーの第三巻、ということを全く知らずに何気なく読んでいまい、シリーズ物で続き物か! としょぼーん。あらすじに惹かれたのですが、児童書で書くならこのくらいになってしまうのか。もうちょっとしっかりめのくらーくておもーいのが読んでみたかったかもしれない。
タイムスリップ体質(なのか、道具のせいなのかその辺りがここから読んだだけだとはっきり言えない)の女子大生が15世紀フランスにタイムスリップして、ジャンヌ・ダルクとともに行動する。タイムトリップについてはどうやらハト派とタカ派がいるらしく、彼らにちょっと狙われているらしい。
ジャンヌ・ダルクという人物について読者に余計な解釈を与えないようにしているのか、よく知られているような逸話以上の話は追加されていなくて、果たしてジャンヌは神の声を聞いたのかもはっきりしなかったです。火あぶりになってしまう絶望的なところにまで行き着かなくて、ちょっと物足りなさを感じつつも、「美人女子大生」とか「外交官の父」がいて外国語がめちゃくちゃできるとか「剣道」「柔道」「空手」「合気道」をかじったとか、その辺りの設定が実にあれだなあと楽しく読みました。
この本、講談社のYAなんですが、挿絵の数が多くて、右側のページにもあったり、本文の中にあったりして面白い作りにしてあるなあと思いました。

あの3・11の日も、サクラバカズキは本を抱えて避難した。どんなことがあっても、やっぱり本は手放せないのだ。動揺する心をなだめてくれた本、陽気な犬との慣れない生活を助けてくれた本、忙しない日々の一服の清涼剤となった本——
読書と執筆漬けの日々を過ごす作家の、今回のおすすめ本は?(カバー折り返しより)
この辺りからネットで読んでいるなあ。本の形で再読。巻末に座談会があります。2010年8月から2011年12月までのエッセイ。
最近は、中で紹介されている本が大体分かるようになってきた(と言っても、作者名やタイトル名くらいで呼んだわけではないけれど!)
ネットで読んだときも歯を食いしばったけれど、3・11の後のあの部分は、自分も辛かったことを思い出す。いつもの日常と、変わりない日々と、でも変わってしまってどうしようもないものたち。辛いなんて言えないけれど辛いと思っていた日々。私の日常はなんて恵まれていて幸せだったんだろうか。でもその言葉が辛くて仕方がなかった。

十五年間外に出ず、美しい従者のヴィリと二人きりで育ったクリステル。彼女にとって、ヴィリと図書室の本たちが世界の全てだった。そこへ突如「墓守」を自称する青年ルカが現れる。彼がもたらしたのは、クリステルの住む「円環都市」が三十年前に死滅した街だという事実と、ヴィリを破壊するための「滅びの鍵」——ヴィリは、父がクリステルに遺した人形だったのだ。クリステルは壊れかけのヴィリと共に廃園の街から旅立ち、世界の真実と「恋」に目覚める……。美しき退廃世界に咲いた、珠玉の恋物語!!(裏表紙より)
一冊読み切りのレプリカ・ガーデンシリーズ第二巻。可愛くってピュアな物語だったなあ! これ好きだわー。
何も知らず閉ざされた世界で暮らしてきた女の子が、世界をどんどん吸収していく様は、とても美しくてかっこよくて愛らしい。クリステルとてもいい子! 自分でできることは少ないし、望むものしか見えていないけれど、それが全然嫌みじゃないのがどうしてかなあ。ルカやジュリアが「いい!」って喜んでくれるからかな。そういう世界なのが悲しいし、でもうれしがってくれる人がいて嬉しい気もする。
ヴィリはもう定番従者でごちそうさまでした。だっことかいいわーときめくわー。最後かなり可愛くてにやにやした。
前巻の二人も仲良さそうで何よりでした。

ついにその本性を顕にした言峰綺礼の罠に、敢えて真正面から立ち向かう衛宮切嗣。燃え盛る煉獄の炎の中、絶望に打ち拉がれたセイバーを待ち構えるアーチャー。熾烈な第四次聖杯戦争を生き残った英霊と魔術師は今まさに満身の力を振り絞り、最終決戦に挑む。宿命の対決の火蓋は、切って落とされた――。虚淵ハードボイルドの精華、ここにあり!
これは始まりに至る物語――。慟哭の最終巻!!
解説・奈須きのこ(裏表紙より)
物語はゼロに至り、そして運命が始まる。第四次聖杯戦争の集結。
全員の望みが潰え、あるいは成就した瞬間が、もうぞくぞくっとするくらい面白い。かと思うとウェイバーのように確かな光を与えられた者もいて、このライダー組のエピソードは本当にいいなあ。未来の分まで褒められたんだ、というのは、確かに彼にとって未来を手に入れたも同然の言葉で、ライダーの臣下になったということはつまり、彼は最初の望みであった英雄の座を約束してもらったということなのかもしれないよなあ。
後の出来事であるstay nightのセイバーはまっすぐに、マスターを導き戦う者だったので、Zeroのセイバーは本当に最大の敵と戦ったよなあと思います。バーサーカーのあれそれは、もう本当に痛々しくて、なのに面白くて。絶望に突き落とされる感が面白いと思うのは、その後のことを知っているせいだと思うんですが、最後の最後まで絶望したセイバーがもう本当に、可哀想なのに大好きだと思ってしまう矛盾が……。
士郎の言葉に対して「安心した」と言った切嗣が、本当は何をどう安心したのか。最後まで読んで、やはりこれは「始まり」を巡る物語だったのだなと確信しました。
面白かったです。

佳境に佳境を極める「第四次聖杯戦争」。衛宮切嗣の謀略と言峰綺礼の暗躍が激しく鬩ぎ合う中で次々と命を散らしていく英霊と魔術師たち…。凄絶な死闘の果て、強敵中の強敵――征服王・イスカンダルとの対決がセイバーの目睫に迫る。VMAX改を駆り、刹那の狭間の“向こう側”を駆け抜けるセイバーに、果たして勝機は見えるのか!?
これは始まりに至る物語――。絶境の五巻!(裏表紙より)
遠坂家、時臣と凛の別れの挨拶と、魔術師という家の因縁がそれぞれの首を絞めたところまで。
切嗣の過去が、案外さらっと語られているのにちょっとびっくりする。原作もこういう構成なのはとても想像をかき立てられて面白いし、アニメでの演出も面白かったよなあ。それぞれの陣営の、特に切嗣の正義とは、願いとは、夢とは、というお話がこのゼロだと思うのですが、過去が明かされたことにによってますます悲劇の予感が強く。誰も人でないことを止められないという話なのかもしれないなあ……。

英霊・キャスターとして現界した聖なる怪物、ジル・ド・レェ伯爵が放つ狂気はこの世ならざる強大な魔物・“海魔”を召喚するに至る。冬木市に、そして世界に壊滅の危機が迫る中、聖杯戦争に集う英霊らは“海魔”の暴走を阻止すべく絶望的な共闘を開始するが……。左手の傷が癒えぬまま奮闘するセイバーに、“約束された勝利の剣”の一閃はあるのか――?
これは始まりに至る物語――。怒濤の四巻!(裏表紙より)
アーチャーによる誘惑から、ランサー組との決着まで。
アニメを見たときにも思いましたが、切嗣の戦法が外道過ぎて……。あのシーンはさすがに目を見開いて笑う顔をしながら「このげどおおおおおおお」と叫びましたからね!
アニメは原作とは若干演出が違いましたが、キャスター戦でのアニメの”約束された勝利の剣”発動のシーンがとても素晴らしかったです。アイリスフィールによるエクスカリバーとアーサー王を讃える言葉は、非常に美しく素晴らしかった。
脱落者が出始めると急速に面白くなってきたなあと思います。それまでも面白かったんですが、それぞれの望みの真意、心の奥底にある夢がどうしても届かないという葛藤は、読んでいて非常にたぎる。


那須舞は飛魚中学校に通う本好きの14歳。
彼女の弱点は、英語読みしたときの自分の名前。
Mai Nasu=マイ・ナス=マイナス。
これって、最悪。
だからそれを吹き飛ばすくらい、明るくふるまってる。
そんな舞だから、つい日常的に人助けをしてしまいがち。
その日も、クラスメイトの唐突な頼みを断りきれず、不思議な伝説のある祠へ行き、ケガをしていた男子学生を助けるはめになる。
だが、それがすべてのはじまりだった……。
「未来を見た」と言う少年が口にした予言が、小さな町を震撼させ、悪意に満ちた事件を引き起こす。
予言は本当なのか?
いったい何が起きているのか?
途方に暮れながらも、舞は真相をつきとめようと奔走する。
少女の揺れ動く心をのびやかに描く、みずみずしい青春ミステリー。(カバー折り返しより)
文庫でも出ているのですが、私が読んだのは単行本。
自分の名前が大嫌い。マイナスな人間だと思われるのが嫌で、校則は堅苦しいほどに守り、人の頼みは断ることができず、自分はそういう役回りなんだと諦めている少女舞。みんなから遠巻きにされている、自分勝手で何にも考えていないような美人のクラスメート、茅香の頼みで、特に親しくもないのにタイムスリップの伝説が残る祠に行くと、そこに学校の先輩が倒れていた。彼の口にしたことが、街を大きく騒がせることに。
誰かを守ろうとする小さな嘘や、気持ちが、取り返しのつかない大きなものに発展していくところが一番恐かったです。舞はそういうところを「自分で決めなさい」という感じで突き放すのですが、それはそれで正しいのだけれどもちょっともぞもぞする。作中の犯人は罰せられてほしいというわけではないけれども、これが現実なんだと分かっているけれども……という気持ちになりました。
このお話、些細なエピソードに心当たりがありすぎる。クラスメートたちのぶしつけで子どもっぽいところを冷めた目で見ていたり、親を評価してみたり、大切なものを蔑ろにされて突然ぶちぎれたり、死んじゃおうかなと考えたり。
けれども少しずつ舞の世界が変わっていく感じが、いいなあと思ったりもして、子どもから大人への過程を踏んでいくところが分かり、マイナスがプラスへと変わっていくのが読んでいて嬉しかったです。

“魔術師殺し”こと衛宮切嗣の悪辣極まる謀略によって、第四次聖杯戦争は早くも佳境を迎えつつあった。その最中、征服王・イスカンダルは“王”たる“格”を自他に問う、真剣勝負の「聖杯問答」を仕掛ける! 英雄王・ギルガメッシュ、そして騎士王・アーサー・ペンドラゴンが全身全霊を懸けて答える“聖杯の王”に相応しき「王の器」とは――!?
これは始まりに至る物語――。白熱の三巻!(裏表紙より)
キャスターによるアインツベルン城襲撃から、三人の王による聖杯問答まで。
アニメでは、割とすんなりアイリは舞弥のことを受け入れてたのかなあと思ったら、実は結構葛藤があったというのをこれを読んで知る。もうちょっと達観しているのかと思っていたけれど、とてもちゃんとした女の人で、しかも切嗣を守るという気持ちが一緒だからという理由で「一緒に守ろうね」と考えられるアイリスフィールまじ聖女。
綺礼の、切嗣への執着もはっきりと分かる。改めて、綺礼は本当に寂しがりやというか、同じところへ堕ちる人が欲しい人というか、歪んでるなあ……と思う。
凛のエピソードはアニメではかなり盛ってあったんだなー。この本では主に葵と雁夜のためのエピソードになっている気がしたので、アニメぐっじょぶ。
聖杯問答は胃に痛かったです。時代が違えば求められる王の器も違うよね……と、思うけれども、stay/nightのセイバーを見ていると痛々しかったので、はやく士郎!(Zeroでは最後にしかいないけど)