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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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スプライトシュピーゲル II Seven Angels Coming (2) (富士見ファンタジア文庫 136-9)
 人は有史以来、常に天を目指した。
「お洋服いっぱい買うから」雛/ヒビナ。
「オレ絶対有名になるから」乙/ツバメ。
「行って参りますわ」凰/アゲハ。
 都市を守るため、三人の少女は翼をもって空にはばだく——。
 近未来都市ウィーン——ミリオポリスに建造された超巨大タワー、〈ヴィェナ・タワー〉。それは、人の命を削って創られたものだった。
 その横をかすめて、火の玉が墜ちる。落ちた星——ロシアの原子炉衛星アンタレスは、災厄の始まりでしかなかった。動きはじめる七つのテログループ。ようやく攻勢のテロ組織として、整いつつあったMSSに、いや三人の少女に最大の試練が訪れる。
 天と地の間に生きる少女たちの物語。(カバー折り返しより)

オイレンとリンクする、衛星落下事件のMSS側視点の物語。MPBの三人娘、特に涼月はかなり惨い戦いを強いられていましたが、MSS三人組は三人でいることが当たり前なのでそこはちょっとほっとして読みました。
前線に出ていたオイレンの話とは違い、スプライトは事件首謀者の周辺人物が描かれることもあって、ちょっと軽い印象の話になっていた気がしますけれど、これ読む順番が違うと全然違う感想になるんだろうなあ。「電子レンジ」が何を意味するか知っている身としては、「冬真にげてー!!!」の心境だったんですけれども!
MPBとMSSがすれ違う瞬間はやっぱり鳥肌ものでした。涼月から見るのと凰から見るのと全然違って面白い。けれど私には、ちょっとすれててひん曲がった性格の、でもどこか熱い涼月の物語の方が合っている気がする。
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ラスト ラン (カドカワ銀のさじシリーズ)
「残された人生でやっておきたいこと」七十四歳のイコさんの場合それは、バイク・ツーリングだった。目的地は、五歳で死別した母の生家。東京から岡山まで、往復1200キロ。着いたのは、寂れた一軒の船宿だった。無人のはずなのに、そこには不思議な少女が住んでいた……。『魔女の宅急便』の著者が贈る、書き下ろし自伝的小説!(カバー折り返しより)

児童書の『魔女の宅急便』の角野さんの作品。七十四歳のイコさんの一人称で進む、イコさんと不思議な女の子ふーちゃんの旅のお話。久しぶりに一人称でがっつり読んだせいか、ちょっと読みにくかった。
母親の生家にいくと、そこにはイコさんが持っている写真に映っている母、それも十二歳のままのふーちゃんが幽霊となって住み着いていた。バイクに乗って旅を始める二人。この旅が、今まで紡げなかった時間を、また別の形で楽しく紡いでいるようで微笑ましいです。でも時々覗く寂しいところもあったりなどして。心残り、というのがキーになるのですが、誰かとの記憶というものの重みや大切さが実感できて、特にケイさんのエピソードは切なかったな……。
自伝的小説と銘打ってあるんですが、この本一冊だけでは、どのへんが角野さんの自伝的なところか全然分からなくて(あとがきもないし)、ちょっと不思議な印象の物語でした。
アヴェントの娘 ―《選ばれた娘》の結婚― (レガロシリーズ) (Regalo)
バラド国へ連れ去られ、王太子ラスールやバラー教の導師カフラマーンとの事件を経て、シェルタはアクアテラへ無事帰国を果たした。しかし、己の力に気付き始めたシェルタは、父シンティリーオに「なぜ」を問う。そして父の口から明かされたのは、シェルタ自身の存在の意味と、世界の秘密だった。


新刊なので感想は続きに。

死神姫の再婚 -五つの絆の幕間劇- (ビーズログ文庫)
アリシアとカシュヴァーンの間に設定された、ルアークの誕生日。盛大な誕生会を開催することになったライセン一家は、それぞれ個性溢れる祝いの品を用意するが……そこにやってきた、奇妙な誕生祝いとは!? また、ティルナードがセイグラムに隠れて外出をするあんな一日や、レネがバルロイから決別(?)するこんな大騒動など、これまで語られることのなかった五つの「絆」を紡ぐ短編集が登場! 死神妻と暴君夫、いつもとちょっとだけ違うおかしな夫婦の日常は、いつも以上に甘〜いラブが大増量!(裏表紙より)

いつにもましてにやにや巻でした。このシリーズも電車で読めない話だよな……(にやけてしまうから)
ルアークの物語、ティルの物語、エルティーナの物語、レネとバルロイの物語、そして夫婦の物語と、五つの短編が収録されています。どこかしら影のある死神姫シリーズの、その影の部分が結構見えた巻かな、と思いました。本編はアリシアの目から語られることが多いせいか、あんまり後ろを振り向かない印象があるので……。
ティルぼっちゃんが成長したことに目頭が熱くなります。見守るカシュヴァーンの目が優しいこと。セイグラムにも助けられていますが、ティルナードはいい男、になるにはまだまだ遠そうだなあとちょっと思ったりも。ティルが悪いわけではなくて、周りが怪物じみた手腕を持った人たちばかりなので、ティルはなかなか大変なのではないでしょうか。
エルティーナとジスカルドは、関係が変わったらいいな、と希望を抱いて本編を読みたいと思います。ライセン夫婦はらぶらぶでごちそうさまでした。
たとえ許されない恋だとしても (コバルト文庫)
アファリーン王国の男勝りの女将軍・レイア。敵対するメフル王国の軍人・リギュロン。武勇を誇る二人は、それぞれに中立国の祭見物に行った先で出逢った。身分を隠したまま意気投合した二人は自然と惹かれ合い、初めての恋に落ちた。再会を誓い国に戻り、恋心を育んでいた二人だったが、時を置かずに両国間の開戦の報がもたらされた。二人が再会したのは、戦場。互いに敵軍の将として——。(裏表紙より)

面白かった……ときめいた……! 戦場で出会ったのは私/俺が恋をした人でした、という話が大好きです。
レイアが女将軍という設定で、紹介文だけを読んだ状態で中途半端に女の子だったら残念かもなあと思っていたんですが、将軍らしさの中に女らしさについて葛藤を持つ彼女が、もうほんとかわいくて! 兵士たちから「あれは、女として『ない』(意訳)」と言われるくらいの武勇を誇るので、冒頭から敵将との一騎打ちというシーンから始まるのがすごい。なのに自分にコンプレックスを持っているところが、本当いい子だなあ……。
リギュロンもいい男だったなあ。ちょっとのうみそが筋肉っぽいところがかわいいです。なのに恋愛ごとについてちょっと鈍いレイアには優位に立てるところがいい!
二人の物語はもちろん、彼らを取り巻く人たちが心根のいい人たちが多くて、結末は、レイアとリギュロン、二人ともお互いの使命から目を背けずに立ち向かった二人だからこそ手に入れることができた未来だったなと思います。
羽州ものがたり (カドカワ銀のさじシリーズ)
ひとつしか瞳をもたない鷹のアキと暮らす少女・ムメは、都から来たばかりの少年・春名丸と出会った。それが縁で春名丸の父親・小野春風にさまざまなことを教わるムメ。やがて見違えるような娘へと育ったムメは、春名丸との友情をはぐくんでいく。だがそのころ、羽州では都に対する戦いが起きようとしていて——!! それが、東北の地、羽州で起きた〈元慶の乱〉のはじまりだった。(カバー折り返しより)

東北を舞台にした、歴史の流れの裏にある人々の物語、という感じでしょうか。なんとなく上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』みたいな話だと思い込んでいたみたいで、ムメは賢く健やかな子だし、春名丸はちょっとまっすぐすぎるけれど気のつくいい子だし、カラスは迷いながらも大事なものを失わない子でした。それから上記の紹介文ではムメにロマンス的な香りがするんですが、実はそんなことはあんまりなかった。最後まで、主人公は地に足の着いた娘さんでした。ムメの物の見方や考え方がはっきりしていて、彼女が大事なことを発言すると目が覚める思いがしました。なので、ジオがどう変わるのかをちゃんと見たかったなあ。
最後の「記録は、もとよりないが」という一文がすごく響いてくる。でも、ここにこうして物語があるように生きた人たちがいたんだな。
あなたに贈るキス (ミステリーYA!)
感染から数週間で確実に死に至る、その驚異的なウイルスの感染ルートはただひとつ、唇を合わせること。
昔は愛情を示すとされたその行為は禁じられ、封印されたはずだった。
外界から隔絶され、純血を尊ぶ全寮制の学園、リセ・アルビュス。
一人の女生徒の死をきっかけに、不穏な噂がささやかれはじめる。
彼女の死は、あの病によるものらしい、と。
学園は静かな衝撃に包まれた。
不安と疑いが増殖する中、風変わりな犯人探しが始まった……。(カバー折り返しより)

全寮制女子校で百合な話だと思っていたら、百合は百合でも共学だったのでちょっとしょんぼりしました。が、面白かったです。この疑心暗鬼とダークさが!
誰がウイルスのキャリアなのかというのは読み始めた時点で大体分かるのですが、物語のきっかけになった女生徒の死の原因は? 犯人は? を探していくのにどきどきしました。ヤングアダルト向けにしてあるせいか、それほどミステリーものとして濃いわけではなく、一つずつあっさりと謎が解明されていく。
何よりも、『キス』という行為の描写の背徳感やエロスが滲み出ていて、ついぞくぞくっとしてしまう。
雰囲気はにおってましたが、オチがそうくるかー! 男女の睦み合いを汚らわしく感じたこともある彼女が、『キス』を武器にするかー……。とてもダークでいいと思いました。
私が読んだのは旧版なんですが、新装版が出ていて、しかもサイドストーリーが収録されているなんて! 読みたいなー。
楽園の蓮  はじまりを歌う少女 (カドカワ銀のさじシリーズ)
信じていた親友に裏切られて、ショックで教室を飛び出した天野蓮、14歳。瀕死の小鳥を助けたことをきっかけに、運命が大きく変わる。愛犬ハチローに異世界の神パンの魂が乗り移ったり、無理やり中華風な異世界に連れて行かれたり!! しかも、悪い神様を倒さないと、元の世界に帰れないなんて!?

少女小説界珠玉の作家、喜多みどりが贈る、昨日まで普通だった女子中学生、ある日! 突然! の異世界トリップ物語!!(カバー折り返しより)

女子中学生が中華風異世界に飛ばされてしまい、予言の娘として終末に向かう世界を救うお話。読み終わった後、よくまとまったなあ! と思いました。オチがとてもかわいい(?)というか、こういう些細なことが少しずつ人をすれ違わせるものだなと感じさせるもので、ちょっと拍子抜けもしましたけれど、ともかく女の子の友情!!(握りこぶし) 優等生で行動力もあって正義感の強い蓮が、最後に「でも本当は……」と思うところにいきなりきゅーん! としました。
中華風異世界といっても、皇帝がー後宮がーという話ではなく、天仙や地仙がいて天の意志が存在する世界の救世の物語なので、恋愛方面は淡い感じですがそこが蓮らしくてとてもいい。今のままではいられない予感を抱きながら、きっと蓮はいい女の子になっていくだろうと思いました。
幽霊伯爵の花嫁 (小学館ルルル文庫 み 4-1)
侯爵家の血を引く、天涯孤独の美少女サアラ。彼女は、身を寄せる遠縁の家の息子と婚約していたが、幽霊伯爵と呼ばれるコルドン伯爵の17人目の妻として嫁ぐことに! 更に嫁ぎ先は、墓地に囲まれ夜な夜な幽霊が現れるという場所で!? 妻に無関心な夫、何故かよそよそしい使用人達。けれど、サアラはのびのびと毎日を満喫し、逆に夫を翻弄して……!? 美しく強かに、少女は恋と幸せをつかみ取る! ルルル賞&読者賞W受賞作デビュー!(裏表紙より)

誰もが目を見張る美少女サアラ。婚約者と別れて伯爵と政略結婚した彼女だったが、しかしその言動は「私は美人です」と謙遜せず堂々と言い放つようなものだった。したたかで信念を持つサアラは、本当に幽霊が出る屋敷に臆することなく、むしろ幽霊に慕われるほどになっていく。
いろんなところの感想でこんなヒロイン見たことなかった、と読んだのですが、確かにこんなヒロインいなかった! 限りなく真っ黒。なのに嫌みじゃない。むしろサアラの台詞が気持ちいいなあ! 彼女の持つ過去が、彼女自身に傷を残していても、それを強さに変えることのできるかっこいい女の子なのだな。その強さは、人を傷つけない強さでもある。カインに対する思いが明かされるところは、サアラは黒いけどいい子だな……と思ってしまった。
ジェイクはちょっとずつサアラに関心を抱いているようだけれど、これからも振り回されてください。ジェイクは絶対懐が深い人だよ! サアラのものになってやってくれー!笑
面白かったです! オススメされた作品でした。ありがとうございました。
倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)
戦時中のミッションスクールでは、少女たちの間で小説の回し書きが流行していた。蔓薔薇模様の囲みの中に『倒立する塔の殺人』とタイトルだけ記されたその美しいノートは、図書館の書架に本に紛れてひっそり置かれていた。ノートを手にした者は続きを書き継ぐ。しかし、一人の少女の死をきっかけに、物語に秘められた恐ろしい企みが明らかになり……物語と現実が絡み合う、万華鏡のように美しいミステリー。(裏表紙より)

少女たちの毒と愛の物語。このアンバランスな感じがとてもよかった。
誰が怪しくて何が鍵なのかというのは割とすぐに分かるのだけれど、動機が全然分からなくて最後までどきどきしました。手記として書かれている部分は書き手の思い出を補正しているから、美しく見えて当たり前なんだけれど、ダンスのシーンとか歌うシーンとか、女の子がきゃっきゃしているシーンがとても好きだ。そういうシーンの裏にすごい嫉妬心を抱いた人がいると分かるのも、好きだ。
なんとはなしに好きだなあと思うのが、イカちゃんと葎子と杏子のシーン。葎子が「授業のときには聞いたことのない優しい声」で杏子を気遣うのですが、その後、イカちゃんは「親友?」と聞くのです。この『親友』という単語、普通は出てこないんじゃないかなあと思うと、このイカちゃんという教師がとてもいいと思う。
この話、死という感覚がなんだか麻痺している感じがあって、そのぐらぐらしているところも面白かった。毒のあるお話。面白かったです。
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Author:月子
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