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東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)
3年生になり、卒業後の進路の事を考えなくてはならない英太。東雲はやはり進学するという。特別優れているわけでも劣っているわけでもない自分も、ひとまずそう考えるべきなのだろうと思いながら、自分のやりたい事が分からずに迷う。小説家という夢を既に実現してしまっている東雲と自分を比べて、漠然とした焦燥に駆られる英太だが、東雲と過ごしてきた時間が、彼の望む未来をほのかに照らし始める……。もどかしく苦いラブストーリー、決心の先へ。(裏表紙より)

東雲侑子シリーズ三巻目にして完結巻。三年生になった英太と東雲。英太がぶつかるのは、進路と将来いう大きな壁だった。
二人の関係が進路という選択地点で変わっていく。少なくなっていく高校生の時間に、章間に挟まる西園幽子の作品が、二人の歩んできた青春時代をぎゅっと詰め込んだ感じで、すごくいい……。みんな、すごくいい子たちだったなあ。しんみりとしてしまいますが、本当にもどかしくて優しくて、ぎゅっとするラブストーリーでした。
閉じこもっていた心が、人との出会いやつながりで少しずつ開けていくこの切なさが! 誰かを好きになったことについてくる不安という苦みが! 誰かを思うことによって周りのことも見えていくという光が! 本当に! いい話でした。
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