読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

汗でぬれたお金を本屋の主人に差し出し、本を見つめる少年の目の輝き。こういう少年の姿は今や、ない――無類の本好き、筋金入りの”本の虫”である著者が、本にまつわるイイ話、古本屋の謎、本が縁で知る人の心の温かさ……などなど、「面白くて奥が深い」読書人生を語り尽くす、最新書物エッセイ172編。(裏表紙より)
面白かった。本にまつわる話がいろいろあって、人の心があって。一ページほどの短いエッセイが172編収録されています。本の話も面白いですが、一番面白いのは、やはり人の話でした。古本の最後に書かれていた住所と名前に気付いて「送って差し上げてくださいませんか」と依頼され、送り返したものの音沙汰がない、というなんだか不思議な話もありますが、父親が大切にしていた辞書と初めて吸った煙草の話など、こう、情景がふっと浮かび上がってくるようななぜか不思議と懐かしく感じられるエッセイがたくさんありました。私はそれらの情景を知らないのだけれど、それを知っている、と思う。すごく面白かったです。

舞台は聖暦二十世紀初頭のアンゲリア王国。裕福な生まれのメリッサ・クリマイヤーは、初めて訪れたサーカスで、無口な網渡りの青年リンドウと、人間の言葉を話す不思議なライオン、ギデオンに出会う。
ある時、メリッサはリンドウがまったく歳をとらないことに気がつく。それは、かれがギデオンと交わしているという魔法の契約のせいだった——。
切なくて思わず涙する、珠玉のラブストーリー!(裏表紙より)
最近なるべく感情を表に出さないように、本心を隠すような日々を送っているので、疲れているなあと思っていたんですが、この本を読んでいたら何かのスイッチが入ってしまったらしく、ラスト周辺で 大 号 泣 。「ひいいいん。ひぐっ、うぐっ」と涙でページが見えなくなるほど大泣きしました。
現実世界を思わせる異世界で、裕福な家に生まれたメリッサは、サーカスの青年リンドウと不思議なライオンであるギデオンと出会う。しかしとあることをきっかけに記憶を失ってしまったメリッサは、自分でも理由が分からない心の飢えを感じて、看護婦となって戦場へ。お話は大きくはないのに、すごく読み応えがあるというか、綺麗にこの一冊にすべてが詰まっていて、すごく満たされました。
魔法を信じる心。よろこびというもの。それらが物語に結びつくとここまでどーんと胸に響くのかと、またページをめくって目をうるうるさせている状態です。あり得ないものを純粋に信じ続ける心や、それが許されること。そして続いていくことというシチュエーションに弱いんだろうなあ。

「平和の歌を歌いますよー♪」。あらゆるテロや犯罪が多発し、『ロケットの街』とまで渾名される国際都市ミリオポリス。「黒犬(シュヴァルツ)」「紅犬(ロッター)」「白犬(ヴァイス)」と呼ばれる警察組織MPBの〈ケルベルス〉が治安を守るこの都市に、ロシアの原子炉衛星〈アンタレス〉が墜落した。七つのテログループが暗躍する、この事件を収拾するため壊れかけの〈ケルベルス〉遊撃小隊が、超警戒態勢の街を駆け抜ける——! クールでキュートでグロテスクな“死に至る悪ふざけ(オイレンシュピーゲル)”第2幕!(裏表紙より)
第二巻。長編でした。ちょーたぎったああああああ!!!!!
涼月たちの「どうして」や、「死者が生者の道となる」、「三人で一頭の獣である」。熱くたぎったし、悲しかったし、理不尽な思いもたくさん味わったけれど、天国にも地獄にもならない街、かあ……とラストシーンがじいんときた。すごい物語だぞこれ。
また、スプライトの面々がつかの間交差したのにすごい燃えた。うおおおおって頭の中で叫びながら読みました。スプライト側からこの戦いがどんな風に書かれるのかすごく楽しみです。
民族的、人種的な問題や確執から目を背けることなくこのすごく面白い物語を書いている辺りがなんかもうこわい。恐怖心を覚える。面白かった……。

ヴァンツァーはレティシアに机の上の写真を見るよう、身振りで示した。
大の男が眼を背けるほど凄惨な写真を前にしてもレティシアは顔色一つ変えなかった。
「こりゃまた派手にやったもんだ」
写真の内容に衝撃は受けないにせよ、それ以上の関心もないらしい。
「おまえがやったと思っているらしい」
「俺が!?」
ヴァンツァーは無言で頷いた。
こちらは何やら笑いを噛み殺しているような妙な顔つきだった。
レティシアは逆に茫然と立ちつくしている。
「……嘘だろう?」
連続惨殺事件が起きていた。犯人か?と疑われたレティシアは意外な行動に出て……。各界のプロフェッショナルの活躍を描く中・短篇3本を収録。(裏表紙より)
連続惨殺事件とレティシアの話である「ファロットの美意識」、ジンジャーが巻き起こした一騒動の話「ジンジャーの復讐」、そして暁の天使たちでちょろっと話が出たマース軍の演習の約束が果たされる「深紅の魔女」。
ファロットの話も面白かったですが(女のふりは得意なんだ、という台詞がおなかいたかった)、ジャスミン周りの話はやっぱり面白いというか、ちょっとしか出てこなかったケリーがやっぱりかっこよくて唸りました。財閥総帥をしていたケリーが結構好きだったんだなあ……と自覚した。この「ジンジャーの復讐」に登場する、容姿が独特な映画監督ってあの有名な指環の映画の……と考えつつ、今回も面白かったです。

皇女なのに、離宮で暮らすイリアティーヌ。父の後妻である現皇妃が苦手で、宮廷生活から遠ざかっていたのだ。そこへ結婚相手として紹介されたのが、若き将軍シリウスだった。ところが、彼はこの話を断るつもりだという。イリアティーヌの夫になれば、次期皇帝になれるのに。驚いたイリアティーヌだが、実は彼とは九年前に出会っていたことに気がついて……? 帝国の歴史を変える、運命の恋!(裏表紙より)
これは、いつになく面白かった! ヒーローかヒロイン、どちらかのキャラクターが若干薄くて政治的な面がよく描かれる嫁恋シリーズ、と私は思っているのですが、この興す姫は陰謀面がすごく強くて面白かった。ヒロインが姫としての責任感を最初あまり持っていないのが残念で、けれど少しずつ目覚めていくところは素敵だった。皇妃ファウスタがいい悪女。
でも、やっぱり主役は若干地味な気がする……。その分、かなり王宮陰謀劇が面白かったんですけれども。このくらいの文量で毎回読みたいよー!

うららかな日和のアズベルグ地方で、「春」を謳歌する者が一人……ティルナードとついに婚約することになったメイドのノーラだ。アリシアの怪我も良くなり、全員でレイデン地方へ向かう準備をしていたのだが、そこに王家から「怪奇」を主題にした仮装舞踏会への招待状が送られてくる。様々な仮装に身を包み、王宮へと渋々向かうカシュヴァーンたち一行にゼオルディスが連れてきたのは、スタンバール家の令嬢でティルの婚約者……!? 赦されない贅沢と、あなただけへの「想い」を知る第9弾!!(裏表紙より)
ラブコメに見えて実はどす黒い陰謀劇の物語になっている死神姫シリーズの9巻。アリシアの「おねだり」ににやにやしながらどーっと砂糖を吐くような甘い一面もあれば、ゼオルディスがさらっと非人道的なことを言ったりして、なんだか怖い。怖いと言えば、ゼオルディスの挿絵もこわかった……あれは、おかしい。話がこうなのにおかしい。思わず草が生える勢いだ。
ティルナードの成長が見られて嬉しい限り。ノーラの話はそれだけで少女小説っぽいのに、オチがあれかー!!(ばくしょう)

先祖代々、裏山の稲荷神社の巫女を務めるマモルの家にやって来た奇妙な下宿人。腰まで届く長髪に和服の着流しの美青年・守山初彦は、山と古墳をレジャーランド開発から守るために動き出す。守山に連れられ、マモルがまみえた太古からの“存在”とは? 第32回講談社児童文学新人賞受賞の著者デビュー作。(裏表紙より)
祖母のもとで育つ少年が、ある日奇妙な下宿人と暮らすことになるが、実はその守山は稲荷神社のお使い様だった。山を守るために大人や社会と戦おうとするマモル。ファンタジーというより、社会の中で何ができることがあり、健やかな心を持つ次代の人間になる、ということを教えてくれるような気がしました。
全体でちょっと急にばたばたっとするところがあって置いていかれないようにしたりもしましたが、マモルと初音のこれからを見守ってみたいなあとも思いました。学園生活気になる!

わたしは、シャイハンを殺すためにここヨギナに来たのだ。——それは、バルアンの妻として何をすべきかと考えた末、出した結論だった。バルアンの野望を叶えるということは、シャイハンの死を望むということ。だが、思いがけずに優しく紳士的なシャイハンの人柄に惹かれ、カリエの心は揺れ動く。しかし、バルアンとシャイハンの対決の時は刻々と迫っている。はたして、エティカヤの運命は!?(カバー折り返しより)
砂の覇王編最終巻。カリエ、運命の入り口に一歩踏み込むのがラスト一ページ。あまりに爆弾過ぎてぶっ飛んだわ! 続きー!!!(絶叫)
この巻が最後近くになってもカリエがまだ戸惑っている感じなのに最後にとんでもない決断を下した、その後がさらっと書かれているので、悲鳴をあげるしかなかった。やっぱりすげーおもしれー……。カリエが運命に飛び込んでいくなら、去っていく者もあり……。オラエン・ヤム登頂の辺りは総毛立った。これこそ信仰。これこそ思い、という感じで。