読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

パラドックス学園パラレル研究会、通称パラパラ研。ミステリ研究会志望のワンダは何故か、このパラパラ研に入部することに。部員はドイル、ルブラン、カー、クリスティーと名だたるミステリ作家の名前を持つものばかりだが、誰もミステリを読んだことがないという……。やがて起きる”密室殺人”と予想もできない究極の大トリック! 鯨ミステリのまさに極北!(裏表紙より)
前作『ミステリアス学園』があまりもあまりにもすごい真犯人だっただけに、今回はどんな趣向が凝らされているのだろうとわくわくして読みました。やっぱりすごかった。ミステリなのに、すごくエンターテインメントだなー! と思いました。
パラパラ研に入部することになったワンダ。この名前にぴんと来た瞬間から、すでにこの小説のトリックに巻き込まれてる(そういう点では、『ミステリアス学園』を読んでいないと説明不十分かもしれない)。ミステリの基本、法則性を逆手に取れるのは、これがこういう小説であるのと、登場人物に名ミステリ作家の名前を冠した人たちがいるからだなとお思います。いや、本当にすごかった!
『本当におもしろい本ほど壁に叩きつけたくなります』。笑ってしまった。
解説の方の文章も合わせて、すごくよかった!
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十七世紀半ば、現在のドイツは三百の国家が割拠していた。その一つ、ハルバーシュタット公国は、若き選帝侯率いるブランデンブルクに、まさに攻め落とされようとしていた。
令嬢の身代わりに城に残った宰相の娘マリアは、父を処刑した選帝侯に誕生日を迎えたばかりの十四歳の身体を奪われた。
身を傷つけながらも、愛と生きる道を必死に探る少女。凛と前を見つめる瞳は、彼女の強い意志を宿していた。
禁断の愛、裏切り——身体の奥から熱くなる! 息をもつかせぬ歴史ロマンスの傑作!(裏表紙より)
再読。すごーくすごーく面白かった! 当時読んだ時も高校生とかそのくらいでしたが、今読んでもきゅんきゅんしっぱなしでした。歴史ロマンスいい!
どきどきする始まり方から、十四歳のマリアが選帝侯フリードリヒに包まれるまで、包まれてもそのさきの戦いや、思いに、ずっと胸をときめかせて読みました。マリアだけの視点ではなくて、フリードリヒがマリアに恋をしている(あの選帝侯が! あの女遊びの激しい男が!)というのがもう、たまらん! お互いを大切に思うがゆえにのすれ違いもおいしゅうございました。
マリアが、少年のようにとても激しいかと思ったら、あっという間に打ちひしがれてしまう十四歳の少女でもあって、そのアンバランスさが魅力的でした。フリードリヒも、大人の男性なのに少女に振り回されるようで、かわいらしい。
面白かった。おすすめです!

東京、下町の老舗古本屋「東京バンドワゴン」。営む堀田家は今は珍しい三世代の大家族。今回もご近所さんともども、ナゾの事件に巻き込まれる。ある朝、高価本だけが並べ替えられていた。誰が何のために? 首をかしげる堀田家の面々。さらに買い取った本の見返しに「ほったこん ひとごろし」と何とも物騒なメッセージが発見され……。さて今回も「万事解決」となるか? ホームドラマ小説の決定版、第三弾!!(裏表紙より)
第3巻。新しい家族が加わった堀田家だけれど、周囲の人々もゆっくり移り変わりつつあるのが感じられるホームドラマでした。なんだかんだで一番迷惑なのが我奈人さんだけれど、結局許される感じが悔しい!笑
登場人物も多くなると、第1巻、第2巻の事件が絡むので、この人誰だったかなとなること数回(だって文庫は一年ごとにしか出ていないのだ)。しかしみんな、どたばたと幸せそうでいいなあ。古書の寄り合いはもうちょっとじっくり見たかったな! しかしすずみさんかっこいい! そしてやっぱり藤島さんがおいしいところを持っていく。それは反則だけれど、許される感じがまたいいなー!

西の都の王立大学で植物について学ぶカナン。ある日、異国の青年・善が持っていた奇跡の実に触れたカナンは、不思議なツタにとりつかれてしまう。ツタごと東方の帝国につれてこられた彼女を待っていたのは、呪われた体を持つ五人の皇子たちだった。奇跡の実の力で呪いが解けるまで、カナンは個性的な皇子たち&ツタと王宮で暮らすことになって……!?
植物を育てる能力を持つ西洋乙女と皇子たちが繰り広げる、中華風王宮恋愛ファンタジー!(裏表紙より)
面白かった! カナンの一生懸命さ、かっこよかったです。いつまでも悩むのではなくて、ぱっとすぐに求めているものを見出す力があるのが、とても爽やかで素敵でした。
それから、個性的な五人の皇子がそれぞれとてもいい。なんだかんだで全員変人な皇子たち……笑。電車にいて思わず噴き出しかけたのが郷の台詞。ぐっ、とも、もご、ともつかぬ奇声を発しました。危なかった。でも終始にやにやしていました。
ぐっと迫ったのが、カナンが泣いたあと、みんなで食事をするシーン。カナンの台詞がそのまま自分の心情でした。
郷が一番お気に入りなんですが、でもやっぱりパフュームさんかな! この人が本気を出したらめろめろになってしまう。
楽しかったー!

年が明け——カシュヴァーンはアリシアの誕生日のために、図書館創設を進行中! 最近の暴君夫は愛妻の薬指に興味津々だったり、愛妻が大好きな幻の奇書『雨悪』の作者を屋敷に招待しようと目論んだりと、とにかく騒々しい有様。そこに究極の邪摩者……怪物・ゼオルディスが現れた! 自由気儘な逗留はカシュヴァーンを苛立たせ、アリシアに入れ知恵まで……。悪夢のような日々はある日”悪食大公”ガーゼット侯爵の異彩かつ奇妙な訪れにより、無事落着したかに思えたが——!? 曲者だらけ、夫婦の『特別』な第7弾!!(裏表紙より)
大きな事件が起こるわけではないのですが、段々と事態が動いているらしいのが感じられる第7巻でした。カシュヴァーンの妻へのめろめろっぷりが加速している上に、アリシアも特別な思いに気付いて「おなか痛い」になっているのににやにやします。
ゼオルディスやその周辺の素性については謎のままですが、カシュヴァーンたちの今後の方針が決まりつつあったり、ディネロがちょっと微妙な感じだったり、不穏な気配が漂う。そのなかで、ガーゼット侯爵は癒しでした(本気) あんなちょっと変わり者の上品で素敵なおじさまいないよ!
死神姫シリーズって、実は色んな人が色んな闇を抱えて、実はかなり深刻なのに、その深刻にどっぷり浸からずにいるのが面白いよなあ! と思います。どんな風にみんなが未来を目指していくのか楽しみです。

丘の上の幽霊屋敷。新しい住人が現れるたびに事件は起こる。人々の記憶は蓄積されていく。ホラー連作短編集。
こわかったけれど、とても上品で毒のあるホラーでした。面白かったー!
丘の上の幽霊屋敷に住んだ、関わった人々の記憶が一作ずつで語られます。一人の人を中心に据えているかと思えば、実は違うというのが(「私の家へようこそ」)ひええ! と思いました。一番恐かったのは、「あたしたちは互いの影を踏む」。
ねえ、結局、勝負はつかなかったんだよ。
びくうっ! としました。結末が分かっているだけに、この一文の威力が凄まじい。
そんな恐怖的な短編ばかりかと思えば、意外に明るい「俺と彼らと彼女たち」。これを読むと、最も「彼らと彼女たち」の原因というか、根本たるものは、「その土地と家」にあたるのだなと思いました。家を守る者には害を加えないというか。かれらは、ただひたすらに自分たちの生活を守りたいだけという。

いとこ三人の死の秘密をいだく〈崖の館〉。財産目録作成のため再び集った涼子たちだが、招聘した鑑定家は予定より一人多く来た。招かれざる客の目的とは。奇妙な緊張を孕んだまま迎えた一日目の夜、聖書を携えた少女が館に保護された。以降、人知を超えた出来事が館で立て続く。幻視的世界の神秘を纏い繰り広げられる密室劇は終局に至って驚くべき展開を遂げる。解説・津原泰水(裏表紙より)
一年以上前の積ん読。解説の方が、今度読もうと思ってメモった作家さんだと気付いてびっくりする。呼ばれたのか……。
電話が通じず、雪や嵐で閉ざされた〈崖の館〉で、再び事件が、という物語。ミステリというより、心理学の要素が強い印象を受けました。超常現象の追究と解明が行われます。
愛と精神の物語だなあと思います。謎解きよりも、涼子の揺れる「少女の心」をメインに読みました。でも今回はとても心理学の話が多かったので、どちらかというと美術館のような前作『崖の館』が好きだなと思います。

隣国エッセウーナによって制圧された、小国オクトス。囚われの身となったオクトスの王女エパティークは、絶望の中にあった。
だがある日、そんなエパティークの前に、エッセウーナの第二王子テオバルトが現れ、告げた。
「これから、俺と君とで旅に出る。捕まれば、命はない」
その『旅』とは、願い事を叶える伝説の銀竜を呼び出すというもの。呼び出すために必要とされる生贄が、エパティークなのだ。
王位継承争いで帰る場所のないテオバルト。囚われ、生贄となるエパティーク。支配した者と、された者。互いを憎み、反発しながら、孤独な二人の長い旅が始まる——。宿命の愛と冒険の物語!(裏表紙より)
面白かった! とてもよき王道ファンタジーでした。互いを憎み合っていたのに、心を通わせていくところは、本当によかった。名前の響きが異世界風で、とても美しい伝説の物語を読んだ気がしました。伝説とうたが生きる素敵な世界だったと思います。こういうのがとても好きです。
銀竜の伝説の真実にはすごくびっくりしましたが、決着のつけ方がとても好きです。アマポーラとロザリーの対比がすごい。でも、テオバルトは気付いていなかったんですね、自分の妹が、自分が嫌悪感を抱いていた存在そのものを体現していることに。
これに続きがあるというのがびっくり。ちゃんと終わっているので……。続きも読みたい。

それもこれも自分がこんなに美しく生まれついたのがいけないのだ——白雪姫は王宮から遠く離れた森で、怒りまくっていた。灰かぶりは、父を亡くし継母も出て行った商会を賢才で切り盛りする。彼女の笑顔には誰も勝てない。そして眠り姫は魔女の逆恨みを受けて眠り続ける——在りし日に約束をした運命の彼を待ち続け……。
そんな姫君達がとある森で出逢い、自分達で魔女を倒すため手を組むことになったから……もう王子達もお手上げ!? 3組のカップルが巻き起こすラブコメ童話登場!!(裏表紙より)
童話のヒロインたちを思わせるヒロイン三人と、彼女たちを思う王子三人の、打倒魔女の物語。これは一巻ですが、話が終わっていないので、二巻まで読まなくちゃならないということを、一巻が終わる頃に気付きました。
童話のヒロイン、ヒーローたち、それってどうなの! というところを逆手に取った登場人物なので、面白いです。もし彼女たちが本当にメルヘンの下敷きになっていたら、ああいうつっこみどころがあっても納得できるというか。
文章のテンポが独特で、ちょっとケータイ小説ってこういう感じなのかな、というイメージを持ちました。