読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

オルガ女学院に転校生がやってきた!彼女の名はクリシュナ・パドマバディ=ガエクワッド。なんと大国バローダの第一王女——ほんもののプリンセスだった!! 初日からわがまま放題の彼女は、ヴェロニカから特別室を奪い取り、カーリーを自分の召使いにしてしまう。カーリーを奪われたシャーロットは大ショック! しかも新たなルームメイトはあのヴェロニカ!? 最悪な寄宿舎生活に、どうするシャーロット? 運命の初恋ストーリー、待望の第2巻。(裏表紙より)
前回は小公女、今回はローマの休日がモチーフのよう。相変わらず女の子で素敵だった! アニメで見たいよー。カーリーは本当に、世界●作劇場みたいなアニメで見たい!
わがままプリンセスが寄宿舎を引っ掻き回す、というお話。プリンセス・パティの人となりはプロローグで分かりますが、彼女の本心はラストで明らかに。だからパティ、すっごく格好良かった!
カーリーの、シャーロットへの色々がまさに「たまらん……」でした。言葉がわからないシチュエーションがたまりませんでした。カーリーは、早く本当の姿に戻って、シャーロットのことを守りたかったんだろうなあ……。
女の子がとても可愛くて、元気で、失われた過去の話だからとても哀愁があって、すごく好きな作品です。これで刊行が止まってるなんて、すごくもったいない! 続きが読みたいよー!
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「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竃は、
群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友として
孤高の青春を送っていた。
だが、可愛そうな大人たちは彼女を放っておいてくれない。
実父を名乗る東堂、芸能マネージャーの梅木、
そして出奔を繰り返す母の優奈——誰もが七竃に、
抱えきれない何かを置いてゆく。
そんな中、雪風と七竃の間柄にも変化が——
雪の街旭川を舞台に繰り広げられる、痛切でやさしい愛の物語。
解説・古川日出男(裏表紙より)
オンナ、の物語。語り手は、たいへん遺憾ながら美しく生まれてしまった七竃がメインだけれど、彼女に性のにおいはなくて、彼女を取り巻く女性たち(語り手になるオンナたち)が、みんなオンナとして生きている印象でした。
それだけに、七竃と雪風の清らかさがとても綺麗。
でもどうしてこうも、重苦しい影が立ちこめているんだろう。冬という季節のせいかな。影が濃くて深い。この本は、白雪姫のように白と赤と黒が鮮やかな気がする。あとはすべて灰色、のような。
可愛そうな大人と銘打ってはいるけれど、物語の終わりに七竃も少女時代から抜け出して青春時代を終える、というのが、もう、言葉にならないくらい鬱々としていて好きです。
本当に、世界を物語るような文体だなといつも思います。

一人で部屋を借りさえすればいつだって好きなときに彼女と二人きりになれるとばかり思っていた——なのに、思うようにはいかない勝利の一人暮らし。バイト先の「風見鶏」では失敗を重ねるし、勝利への思いを断ち切れずに苦しむ星野りつ子が気にかかる。何よりかんじんの「かれん」が離れていこうとしている……。波乱含みのシリーズ7弾には星野りつ子の独白を収録。(裏表紙より)
かなり久しぶりに読んだおいコー。確か、段々勝利のうじうじが面倒くさくなってたんだと……。ずっと以前読んだ時感じていた、りつ子への悪感情が、意外と感じなかったのにちょっとびっくりする。
年頃の少年の悩みらしく、自分のことしか考えられなくなり、恋人とぶつかり、という7巻。人間関係が、とても透き通っている。もちろんぐるぐるうじうじ悩むし、ちょっと青臭いところもあったり影もあるけれど、でもすごく、青春。
話の進展があんまり見られなくて、こっちとしてはもどかしくてたまらない。どういう結末なのかなあ。

おじの借金のカタに、王貨五枚で身売りされてしまった少年・フィン。身売り先のマスターである男が言うには「世間では私のことを死神と呼ぶ」。——人が死神になるのは、どうやら不可能ではないらしい……。かくして男に弟子入りしたフィンだが、いつも人形を抱いていて、自分の代わりに人形に喋らせているマスター本人をはじめ、周囲は摩訶不思議なことだらけ。おまけに、相性最悪な少女まで死神の弟子を志望してきて…!?(裏表紙より)
少年が主人公の死神ファンタジー。やっぱりどこかほろりとする、人々の茶目っ気たっぷりで、愛おしい優しさが描かれていて、ああ、やっぱり樹川作品はすごく好きだな、と思う。
フィンは、子どもらしい子どもだな、と思いました。自分がうまく世を渡っていけると思っている。それが、素直じゃないマーリと一緒になると本当に年相応で、すごくいいな、と思いました。本人たちはすごく迷惑そうですけれど。
結末の付け方は若干不思議なのですが、やっぱりそうだったかあと思わずにはいられず。大人になったマーリがどんななのか、すごく見たかった。

大みそかの夜、ユカが目をさますと、12本のクレヨンたちが会議をひらいていた。クレヨン王国の王さまが、王妃のわるいくせがなおらないうちはかえらない、といってゆくえをくらましたのだ。おどろいた王妃は、ユカといっしょに王さまをさがしもとめて、ふしぎな旅に出る。(裏表紙より)
なんだか読みたくなって読んでみた。
12ヶ月の街を回る冒険もの。大人と子どもの旅、だけれど、王妃は本当に子どもみたいで、仲良しの友達と一緒に冒険しているみたい。思いがけない出来事に出会ったり、知恵を使ったり、とても楽しかった。最後のがいこつとの戦いは、どきどきしながら読んだ。あそこで王様が活躍するのは反則! 王妃もかっこよかった!
夢が冒険の入口だったけど、物語が夢オチらしくないのも、とても素敵だった。

青い田園が広がる東北の農村の旧家槙村家にあの一族が訪れた。他人の記憶や感情をそのまま受け入れるちから、未来を予知するちから……、不思議な能力を持つという常野一族。槙村家の末娘聡子様とお話相手の峰子の周りには、平和で優しさにあふれた空気が満ちていたが、20世紀という新しい時代が、何かを少しずつ変えていく。今を懸命に生きる人々。懐かしい風景。待望の切なさと感動の長編。(裏表紙より)
再読。一回目は単行本で読んだ。文庫の方が表紙が綺麗で好き。常野物語のフォントが好きだ。
「にゅう・せんちゅりぃ」の訪れた日本の、ある地方での出来事を、峰子が語り手として語る。文章の穏やかさが、更に世界を穏やかに見せるのだけれど、みんながそれぞれ感じている暗闇はひたひたと、国を覆い尽くす影として膨らみ始めているのが、現代の私たちには分かる。
常野一族のテーマを、私は勝手に時間だと思っているのだけれど、これもやっぱり時間の物語かなと思う。この物語では時間というものが、美術として表現されていると思うのだ。そして、どこか、新しい未来へ向かわなければならない時代に、常野は現れている感じがする。
恩田陸さんの『少女』というと、どこか影のある西洋のにおいが漂っているのだけれど、この物語の日本の少女たちの清らかさが、とても素敵だった。

落ちこぼれ高校に通う理穂、美咲、如月。十七歳の誕生日を目前に理穂は失恋。身体が弱く入院を繰り返す美咲は同情されるのが大嫌い。如月は天才野球選手の兄・睦月と何かと比較される。でもお構いなしに、それぞれの夏は輝いていた。葛藤しながら自分自身を受け入れ愛する心が眩しい、切なくて透明な青春群像小説。解説・金原瑞人(裏表紙より)
ブックトークの授業に友人が紹介したもの。高校生たちの物語。いい爽やかさだった!
登場する多くはいわゆる底辺と呼ばれる高校生たちだけれど、きっと高校生の持つけだるい気持ちって変わらないんじゃないかなあ。親がうざい、勉強が嫌い、遊ぶことが好き。そんな感じ。
こういうタイプの高校生ものによくある薄暗さがなくて、若々しい青さ、青春、空、海、そんな透き通った清々しさがあったと思う。

アズベルグ地方は豊作祈願祭の真っ只中。街並みの賑わいにライセン一家が興じるなか、レネやジェダら傭兵団をひきつれたバルロイ、ディネロも合流してまさしくお祭り騒ぎ! アリシアを挟んで、暴君夫と時計公爵が静かな火花を散らしはじめた矢先、飛び込んできたのは——負傷したセイグラム。「ティルナードが〈翼の祈り〉教団に拉致された」。それはユーランの仕業か……。男たちが臨戦態勢をとるも、今度はアリシアとディネロが教団メンバーにさらわれて——!? ”嫉妬は贅沢品?” 死神姫ワールド激動の第5弾!!(裏表紙より)
一年近く積んでいたのをようやく読んだら、あまりの甘さに噴き出しました。ごろごろ転がるよりも、「こいつらは!」という気持ちの方が強かった。
ユーラン再登場で、〈翼の祈り〉教団の内部抗争が明らかになる今回。新登場の人物や、既刊の人物がたくさん出てきて、とても騒がしくて、明るくて、楽しかった。だからアリシアの「贅沢はいけない」が本当に切なくて。「自分は選ぶ立場にない」という思いは、普段ほわんとしたアリシア本人の自覚なく、心の傷になっていると思うと、カシュヴァーンは早くアリシアを幸せにしてあげてください。

「小説トリッパー」に初出された十の短編。現実と非現実の狭間、夜と昼のあわいにあるような空間の物語。
幻想には種類があると思いますが、この本の多くは、不安な幻想であるのかな、と思います。
どこにも向かっていない、あることを書いただけのような話もあれば、恩田陸作品らしい、少しブラックユーモアがきいた話、それでいて、少し不思議な話があったりもする。
夜と昼のあわい、というのは、朝方、まだ夜も明け切らぬ時間なのでしょうね。ふとうたたねをして、はっと目覚めた時、自分がどこにいるのか分からないという一瞬の不安と、妙な覚醒感と睡眠を欲して鈍い思考。その時に見ていたかもしれない、と思う夢。そんな短編の数々でした。
好きなのは、「Y字路の事件」「窯変・田久保順子」。「Y字路の事件」が、少し不思議な話で好きでした。田久保順子は、もう、ブラックでたまりません。それでもやっぱり皮肉でおかしい。

ミステリアス学園ミステリ研究会、略して「ミスミス研」。ミステリは松本清張の『砂の器』しか読んだことがない、新入部員・湾田乱人が巻き込まれる怪事件の数々。なぜか人が死んでいく。「密室」「アリバイ」「嵐の山荘」……。仲間からのミステリ講義で知識を得て、湾田が辿り着く前代未聞の結末とは!?
この一冊で本格ミステリがよくわかる——鯨流超絶ミステリ!(裏表紙より)
おすすめということで借りた本。
そんな結末ありですかー! というのが読み終わった第一声。
入れ子構造ものはすごく好きで、話の順々にどれが本当だろう、誰が「存在している」んだろう、と考えるのがすごく楽しかった。ミステリ講義は、勉強してきます! と思いつつ、会話が不自然でちょっと笑ってしまいました。構造上仕方なくて、それもまたすごく味だと思いました。
犯人はすごくすごくすごーく意外なのですが、いやでも、そんな犯人の存在って、すごくロマンだよなー!
面白かった!