読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
明治時代の後半。東京には新しい文化が芽吹いていた。新しい乗り物、職業、学問、娯楽……。それらは古き武家のしきたり、華族の傲慢さを劇的な勢いで瓦解させていく。
その様は、美しいガラス細工がいくつも砕かれ、重なり合うかのように、儚くも幻想的な空間を作り出すのだった。
そんな混迷期、《探偵屋をクビに成り立て》という風間竜介に、やっかいな話が舞い込む。それは上野の森での、少女の首吊り事件の調査依頼だった。
彼女の過去を追う内に、複雑に絡み合う人間模様が浮かび上がってくる。そして、事件は意外な様相を表し始める——。(裏表紙より)
明治期の日本を舞台にしたミステリー。面白かった。疲れた空気の中年のおっさんが、あちこちを回り、理不尽に合い、女子供に振り回され、というのは探偵小説の定番だと思うのですが、やっぱりすごく好きでした。
中盤くらいまでは誰がどの事件に関係して、というのが全然見えてこなくて、どう決着をつけるんだろうと思っていたのですが、紹介にあるように、本当に万華鏡のような複雑に絡み合う人間関係の話でした。そして、それがしっくりと馴染む世界観と空気のある素敵な物語でした。
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襲撃に遭った村から自分を助けてくれた、若く美しい騎士を求めて少女は旅に出た。気が強くてがさつな少女——ジャンヌ・ダルク。だが『フランスを救う神の使者』という噂がなぜか彼女につきまとい、我知らずジャンヌは、聖女として祭りあげられていく。勇将ジル・ド・レは、嘲笑を浴びせながらも、そんなジャンヌを懸命に守ろうとするが、そこにはある秘密があった……。少女ジャンヌの数奇な運命を描いた、波瀾万丈の大河ロマン。(裏表紙より)
ジャンヌ・ダルクの解釈が面白くて、楽しかったです。この本に登場するジャンヌは、ただがさつで自分の目指すものを手に入れようとするだけの、普通の少女。だからフランスを救う、神の声を聞いた、なんてことはなく、ただ自分の前に時々現れる美しい騎士を探しているだけ。それだけに、突然神がかったように戦いの中へ身を投じたり、機転が利いていたりするのは、ちょっと、ん? となりました。悪魔のせいだったんでしょうか。
一文が短く、読む呼吸が切れてしまうのがちょっと残念でした。
古い古い昔語りのひとつ、という余韻が素敵でした。

夢をかなえるために入学した高校で、希望に燃えていたみかげだが、気の合うともだちもみつからず浮かない日々。京都の高校に進んだ瞬と心を通わす手段は、メールでのやりとりだけ。人間関係も、恋愛も、うまくいかないもどかしい気持ちを携え、みかげは夏休みの間を京都で過ごすため旅だった——。
少女の成長と淡い恋の行方を瑞々しく描いた、ピュアな青春ストーリー!!〈解説・藤田香織〉(裏表紙より)
前作は家族ものでしたが、今作は少女たちと女性たちの物語の印象が強かったです。
主人公のみかげと、元クラスメートのエリサ。少女のような継母の洋子。京都のサワと涼。彼女たちの人生が、ゆるやかに絡み合いながら、サワ、涼、洋子が、みかげとエリサ二人の少女を大人へと導いていく、というお話であったように思います。
一人称で書かれているものの、作者の暖かなまなざしが感じられて、光丘さん自身が涼さんたちと一緒になってみかげたちを導いている気がするなあと思います。ふわふわと温かなお話でした。
そんな感じなので、恋の行方というほど瞬が関わってくるわけではなくて。それでも、心穏やかになれました。

あわく血の色を透かした白い頬、わずかに褐色をおびた大きな瞳——ひとりの美少女が暴君・煬帝の親征に従事していた。病父に代わって甲冑に身を包んだ、少年兵として。その名を花木蘭。
北に高句麗を征し、南に賊軍を討つ。不敗の名将・張須陀の片腕として万里の戦野にかけるも、大隋帝国の命運は徐々に翳りはじめ……。
時を越え民衆に愛された男装の佳人を、落日の隋王朝とともに描きだした中国歴史長篇(裏表紙より)
花木蘭の物語を、随王朝の滅亡とともに見る物語。すごかった。朗々と語るような歴史物語だった。
風景の描写がすごい。6章最初の文章に衝撃を受けた。ここでタイトルの「風よ」の意味が分かってきたして、すごく感動した。
一国の栄華と滅亡に、人が何を思い、何をなし得たのか。完全に読み解き、証明することはできないけれど、この一冊にはある一定の答えがあると思います。
語彙が貧弱なのでただすごかったとしか言えないけれども。読み終えたときに、静かに吐息するような一冊でした。

中3のみかげは、亡くなったママのことを忘れられない。父親の再婚で兄妹になった同い年の瞬とはソリが合わない。でも、「ぶっきらぼうなやつ」としか思っていなかった瞬の存在が、だんだんと心の中で大きくなり始めて——。
少女の揺れ動く感情を縦糸に、じれったい「初恋」と家族の再生を横糸に織りなされた、純粋すぎるほどの青春模様。文庫書き下ろし。〈解説・小手鞠るい〉(裏表紙より)
思ったほど血のつながらない兄妹ものではなく、思った以上に家族の再生が描かれた話でした。
みかげの視点から語られる物語。みかげは、中学二年生にしてはちょっとだけ大人びていて、けれどママに執着する様は幼くて。その奇妙なギャップというのか、すんなりと納得して、周囲に対応したかと思えば、思いもがけないところで反発したりむっとしたり声を荒げたり。不思議な感じでした。
元々児童文学として書かれたものを下敷きにしているとあとがきにあったので、この純粋さはそうなのだろうなあと思いました。

もうすぐクリスマス。少年トーマスは父親から突然、引っ越しを告げられた。任務を終え、遠い故郷の星へ帰らなければならない。優しいお隣のおばさんや友達ともお別れだ。ところが、いよいよ出発というときに思わぬ事故に巻きこまれ、父子は離れ離れになってしまった! はたして、トーマスは一人大好きな地球に残ることを選ぶのか? 父子の愛と、二人を取り巻く優しい人々との別れを描くちょっぴりほろ苦いファンタジイ(裏表紙より)
異星人の少年と、父親の物語でした。少年の選択、というのが丁寧に描かれているように感じました。もうちょっと異星人っぽいのかと思ったら、特にエイリアン的な出来事で周囲に影響を及ぼすことはなかったので、少々残念。
でも、ラストがとてもよかった。じわっときてしまった。ステラはきっと分かってるんだろうなあ……。確かではなくとも、そうであるかもしれない、と微笑んでいるようなのが感じ取れて。
「変身できない」狼男、月森冬馬は人狼族であることを除けば、いたって平凡な大学生……のはずが、ある朝目覚めた冬馬を待っていたのは、彼の妻と名乗る見知らぬ美少女・深雪だった。
とまどいながらも次第に深雪にひかれていく冬馬。しかし、かつて冬馬に重大な悲劇をもたらした妖術士・御堂巽が現れ、二人は否応もなく戦いの渦へと巻き込まれてゆくことに……。
第5回電撃ゲーム小説大賞 選考委員特別賞受賞の話題作、堂々の登場!!(カバー折り返しより)
昔読んだものを、おすすめされていたこともあって、引っ張り出してきました。持っているのはこの一巻だけなのですが、非常にライトノベル! な作品だなあという印象を再読で思いました。色々な設定が王道で、展開は読めるけれど、でもみんな一生懸命でかわいいなーと、この年になって思ったり。
冬馬が大学生という設定にちょっとだけびっくりする。そうか、年齢そんなだったか。彼の苦悩や一生懸命さが、すごく光っていて、深雪がいることで落ち着くところがすごくいいなあと思う。
でも一番最強なのはやっぱり深雪なんだなー。かわいい女の子が最強なのはすっごく好きだー! 小さい頃の性格から、今の状態にどうしてなったのかというのを知りたいなと思う。
続きを読みたいかもしれない……と思いました。
オススメありがとうございました!

「赤い鳥」により芸術性を獲得した童話は、昭和に入ると、「少年倶楽部」に代表される大衆化の道を辿った。一方、子どものリアルな現実をとらえる生活童話が書かれ、宮沢賢治、新美南吉など童話作家も登場、独創的な日本のファンタジーが誕生した。お伽噺から文芸の豊かな一ジャンルに変貌をとげる時代の、川端康成、林芙美子、太宰治、坪田譲治、室生犀星、壺井栄など十九作家の名品を収録する。(裏表紙より)
必要にかられて読んだ。時代と照らし合わせつつ読むと、理解が深まる。
個人的に好きなのは、やっぱりファンタジーのジャンルなんだなあと実感しました。宮沢賢治、坪田譲治の「サバクの虹」、すごく好き。「スイッチョねこ」もかわいい。うまいなあ! と思ったのは新美南吉。
子どもの頃、読んでいた童話をもう一度読めるのは面白かったです。

第14回スニーカー大賞《大賞》受賞!!
えん罪により逮捕された少年ムオルは、人里離れた共同霊園に送られ墓穴を掘る毎日を送っていた。そんなある夜、自らを墓守りと名乗る少女メリアと出逢う。彼女に惹かれていくムオル。だが謎の子供カラスから、ムオルが掘っている墓穴は、人類の天敵・死なずの怪物”ザ・ダーク”を埋葬するものだと聞かされる! 混乱するムオルは、さらにダークに殺されるメリアを目撃してしまい——!?(裏表紙より)
暗闇の中の少年と少女の物語といった印象のお話でした。墓守からダークな話を連想しがちでしたが、そんなことは全然なくて、年頃の少年と純粋な少女の出会いと希望の話。ちょっと優しくて、ちょっとだけ残酷でグロテスクで、最後は明るく終わる物語。
場所が動かないので、ライトノベルっぽくないなあと思いました。でも、すごく引き込まれました。現実のどこかにあるのに、それを感じさせないメルヘン感というか。読み終えてふわふわとしている。
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