読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々


「神よ、やめてくれ!」
アトリアの女王にとらえられた盗人ジェンはあまりにも残酷な刑を受けなければならなかった——。
アトリア、エディス、ソウニスの三国間の緊張が高まるなかは以後からせまりくる強大な帝国メデアの影……!?
戦いの渦は、それぞれの思惑を巻きこみ、さらに大きくなっていく——。(前編、折り返しより)
アトリアに侵入したジェンが、惨い刑を受けるところから物語開始。
わくわく冒険ものっていう児童文学おなじみな感じがあんまりなくて、政略がメインな感じがした。1の一人称から、2は三人称へ変わっているけれど、相変わらずしっかりした足取りで進む物語。
もし子どもから大人になることへの物語だとしたら、これほどきつい話はないなあと思う。右手を切り落とすのは、主人公としてはあまりに過酷だ。前編ラスト「……いかせてくれ」の辺りは、なんか暗く笑っているジェンが浮かんだ。
後編ではアトリアの女王を盗むと決めたジェン。ジェンのアトリアの女王に対する思いが告白されて、ぶっ飛んだ。でもなんとなく、ジェンは寂しいと感じている人、自分が不足していると思っている人などに感情を寄せている気がする。つまり放っとけない感じ。
アトリアの女王が『ひとり』である、ということをうまく使っているオチだったなと思った。そんな気はしていたのだけれど、もしこれでアトリアの女王に信頼される家臣がたくさんいたなら、このオチはあっというものになっていなかったかも。
アトリアの女王とエディスの女王の、名前呼びの周辺がとても好きだ。女王の仲良しは良い。
不思議な印象の物語だなあ、本当に。軽い感じはしないし、とことんファンタジーなわけではないし、冒険でもない。でも輪郭が濃く太い感じがした。
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『死神姫』と噂の天然系・アリシアの再婚相手は、悪名高くて誇り高い《強》公爵のカシュヴァーン・ライセン。一風変わった新婚生活(愛人メイドつき!?)は相変わらず甘いムードとは無関係……の、ように見えて微妙に進行中? ある日、夫婦揃って結婚報告をするためアズベルグの全領主・ディネロのお屋敷を訪れることに。初のお泊りに嬉々とするアリシアだが、その訪問には複数人の陰謀と、意外にも暴君夫の”焼きもち”が絡み合い——!? 第9回えんため大賞ガールズ部門受賞者作、会心の第2弾!!(裏表紙より)
爆笑した。やっぱり好きだこれー! これだけすっとぼけられると、あまーい時がものすごーくニヤニヤしてしまう。
複数人の陰謀のせいで、ただの訪問が色々慌ただしいものに。そこには普通の嫉妬があったりするんだけれど、それがまた面白い。ディネロとのシーンは早く来いカシュヴァーン! と思いながら、その後の「俺は、腹は、痛くならない」「……なんの話だ」に思わず声を出して笑った。
甘ーい一番のシーンはふたりきりの部屋かな! アリシアの反応かなり面白い。思わずニヤニヤ止まらない。
これ続きも読むー!

没落貴族の娘で14歳のアリシアは、後見人の叔父により家名が欲しい金持ちへ嫁がされるが、なんと結婚式の途中新郎が急死してしまう! この「事件」がもとで『死神姫』と呼ばれるようになってしまったアリシアに、再婚話が持ち上がった。相手が新興貴族の成り上がり者でとかく噂のある〈強公爵〉ライセン。馬車に揺られて着いた先は、怪しい装飾を施された屋敷とライセンの愛人と主張するメイドのノーラ!?
第9回えんため大賞ガールズ部門奨励賞受賞! の軽快コメディ!!(裏表紙より)
感想書くの忘れてたので今更ながら。
これかなり好きになってしまった。没落貴族の天然娘が、俺様な新興貴族に嫁がされるというコメディ。コメディでとても気持ちいい感じだった。ときめきポイントはきっちり押さえてあると思う! 夫になるカシュヴァーンとのちょっとのずれ具合とか、彼の影の部分とか、幼妻! とか、俺様が実はどっぷり……、とか!
なによりもオチがすごいと思った。すっごく良いシーンなのに、ゴッと転けた。
とてもオススメ! 続きも読む!

「なんだって盗める」
代々、盗人の家系に生まれついたジェンは町中で、そういいふらしていた。
彼にはある重要な目的があったのだ——。
アメリカで話題の冒険ファンタジー、日本初上陸!(カバー折り返しより)
主人公ジェンの一人称で語られる。でも、子どもらしい浮ついた感じはなくて、ものすごく頭の良い落ち着いた、それ故に生意気の少年、という感じ。
旅の途中のちょっとした小競り合いは、普通の物語だったらもっと大げさに書かれていたように思うんだけれど、基本あっさりと終わる。なんだかすっきりしないなあと思うところもほんの少しあったんだけれど、読み終わった今思うと、読者に考えさせるためなんだなあと思った。
ラストもそういうラスト。淡々とした語り口としっかりした足取りの不思議な印象の物語でした。なんだか好きです。神話とか絡めてあるのも素敵だけれど、物語の形がとても。

ひょんなことから、英語の先生の家で書生として暮らすことになった探偵小説好きの少年。
癇癪もちで、世間知らず。その上、はた迷惑な癖をたくさんもつ先生の〈変人〉っぷりには辟易するが、居候生活は刺激でいっぱいだ。なんせ、先生のまわりには、先生以上の〈超変人〉と、奇妙奇天烈な事件があふれているのだから……。
夏目漱石の『吾輩は猫である』の物語世界がよみがえる、抱腹絶倒の連作ミステリー短編集。(カバー折り返しより)
連作ミステリー短編集は大好物。探偵役は書生の少年、パートナーは変人の先生。
こういう小説でコンビを組む場合、どちらかが率先して情報を集めて、もう一方が解決策を提示するというのが筋だと思うのだけれど、この小説はそのどちらも主人公一人でやってしまう。
でもこの主人公、どうにも格好よさが足りなくて、へたれな印象が拭えないなあ! 笑ってしまった。そして先生が変人すぎて愛しいです。「春風影裏に猫が家出する」で「あれ」を言った先生、すべてを持っていってそっぽを向いた先生の愛しいこと!

旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは、到着早々事件に巻き込まれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。難事件調査に乗り出したのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命して間もない、エルキュール・ポアロだった。不朽の名探偵の出発点となった著者の記念すべきデビュー作が新訳で登場!(裏表紙より)
綺麗な印象のミステリー。なんだかとてもシュッとしているのに、じっくり読まされた。
視点は名探偵ポアロではなく、親友のヘイスティングズ。彼の私感が入るのが面白いなあと思った。犯人指摘はとてもびっくりした。色々疑いつつ読んでいたのに、ええそうなの!? という。
ラストはとても素敵だなーという感じだった。誰かと誰かがくっつくのってとてもチャーミングでかわいいなあと思った。

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、正確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はうzが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!(裏表紙より)
面白かった! 元気出るなあというテンポの良さと気持ちいいストーリー!
ひとつひとつが綺麗にはまっていくのがいいなあ。最後、本当にだめなの、だまされちゃうの、とどきどきしてしまったけれど、気持ちのいい終わり方をした。
楽しくて、なんかちょっと壊れてる人たち。というのは、素晴らしい才能を持っていたり、特に銀行強盗に罪悪を抱いていない様子だったりするから。そのネジの抜け具合が、読んでいて楽しいのかも。雪子さんが一番弱そうに見えてキレるとすごかった。あとの三人はなんとなく自分でやっていける感じがするけど、文中にもある通り、安定感の良い四角であることがとてもいいなと思った!

涙も凍る冬の山脈に雪蟷螂の女が起つ。この婚礼に永遠の祝福を——。
長きにわたって氷血戦争を続けていたフェルビエ族とミルデ族。その戦に終止符を打つため、ひとつの約束がなされた。それは、想い人を喰らう”雪蟷螂”とも言われるフェルビエ族の女族長アルテシアと、永遠生を信仰する敵族ミルデ族長オウガとの政略結婚だった。しかし、その約束の儀は、世代を超えて交錯する人々の想いにより阻まれる。
果たして、山脈の地に平和は訪れるのか。そして、極寒の地に舞う恋の行方は……。
『ミミズクと夜の王』『MAMA』に続く”人喰い物語”最終譚。(カバー折り返しより)
人喰い物語三部作の最終譚。主人公は、愛した者を喰らうと例えられる情熱を秘める強い女たちのいるフェルビエ族族長アルテシア。冒頭から凄まじい寒さと吹雪が感じられて、同時にとても熱かった。世代を超えて交錯する想い、というのがとても素晴らしく冷たく熱く描かれていたように思う。見開きの挿絵はぞくぞくした。
恋というと抱きしめあったり隣り合ったり、背中を合わせたりするイメージがあるけれど、誰の姿も見えないような吹雪の中で隣にあることを信じている恋、みたいだったこの話。
これ一気に読んで正解だった。風みたいに駆け抜けるように読まなきゃならない気がした。

「漫画の王国」に生れた小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、わきあがる妄想の楽園に遊ぶ……色恋だけじゃ、ものたりない! なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開——日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ! 「読んで楽しく希望がモテる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。(裏表紙より)
冒頭のスーツを買いに行く話からくすくすしてしまったが、オタクネタにうっかり反応してしまった。「陰のない帝国」で触れられる某週刊少年漫画雑誌の話。ある海賊漫画の某船長とその部下に目をやるしをんさん。やっぱりそこに目がいくのかー! と思った。
「人生劇場 あんちゃんと俺」の妄想話が好きです。というか読み返したら、最近「西洋骨董洋菓子店」を読んだのでよしながさんの絵でがーっと通り過ぎていくんですが……。
「暴れ唐獅子の咆哮を聞け」も面白かった。人の妄想を覗くのってどうしてこう楽しいんだろう。しかもしっかり物語が作れてるのがすっごく面白い。日々も考えていることをひとつひとつ取り上げていくと面白いなあと思う。
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