読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

北方領主の父を冤罪で亡くし、絶望に心が壊れた家族を人質にとられ、リディエは下級女官として王宮で働かされていた。そんなリディエのたったひとつの望みは平穏に任期を終えて故郷に帰ること。ところが「王女と王子の仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しをせよ」との命令がくだる。婚姻関係が破綻している二人の仲を取り持てというのだ。「絶対に無理だわ」と思うリディエ。しかし家族とともに故郷に帰りたいという衝動には逆らえず、リディエの長い闘いがはじまる。それは、やがて国を揺るがす動乱へと繋がり、リディエ本人の運命も大きく変化させていく……。下級女官が駆け抜けた、壮大な王国年代記!(Amazonより)
内乱、流れる血の違いによるもので故郷から引き離された公女リディエ。政治における駒の一つとして命じられるままに動くリディエは、不遇の王子の立場を向上させようとしたことで、歴史に名を刻むまでの過酷な前半生を走り抜けることになる……という、女と政治を描くもの。喜咲さんの作品は歴史ものでも軽めの読み口なのが好きです。
しかし登場する男たちがだいぶ……だいぶあれで……。最終的にイアソンとウラドがいい側近になってくれましたが、ヴァシルを代表とするだいぶ問題のある男性が読んでいてきつかったなあ。情に流されなかったリディエとヴァシルの決着はかくあるべしと思いましたが、その後の彼女の心の傷を思うと、ちくしょー! という気持ち。またスキュイラも、女性だから多少穏やかに見ていられますがやっていることは男たちとそう変わらない酷いものだったりもするので、その辺りの容赦のなさにため息が出てしまう。
ただイアソンとウラドたち、彼女の味方となる男性たちが求婚して、断られてもそばにいて支えてくれたという描写はすごく嬉しかった。
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昔々、東京都民は近隣県を見下し、迫害していた。特に埼玉はひどく、差別の対象とされ、十分な生活もままならなかったのだ。そんな埼玉が救われたのは、東京都知事の息子・檀ノ浦百美と、アメリカから帰ってきた転校生の麻実麗の出会いがあったからだった。
「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」なるトンデモなでdisりが散りばめられた作品。原作は未読。
悪ノリがとにかく楽しく、やるなら全力でネタにするを貫いた作品だなあと思いました。随所に見られるツッコミどころが多すぎてもうそういうものなんだと頭をからっぽにして見られる作品、いいですね。
役者の皆さんのお顔がとにかく濃く、美しい人は美しく、濃い人は濃く、作品の濃厚な絵に寄り添っている印象。だからもうビジュアルだけで面白いの最強すぎるでしょ。
「#生きている」
いつものように目が覚めたジュヌは、出掛けた家族のメモを横目に、いつものようにオンラインゲームに勤しむ……はずが、テレビから流れてきたのは謎の奇病に感染した人々が理性を失い、次々に人間を襲っている緊急速報だった。家族からはメールを最後に連絡が取れなくなり、感染者から逃れて部屋に立て篭もるジュヌだが……。
現代ゾンビもの。集合住宅に立てこもり、SNSやドローンがある、というのがとても現代ゾンビっぽい。籠城するときに当たり前のようにドローンを飛ばすの、いまじゃないと描けない設定だなあ。
ゾンビものとしては王道で、同じく生き残りがいて、分断されそうになり、悲しい生き残りによって殺されそうになったり、とああやっぱり! なストーリー。最後に助かったのは、やはりこれも現代物だからこそなのかなと思うものでした。通信技術が発達するとこういう、世界が終わりそうになったときの描き方って変わるよなあ。面白い。
いつものように目が覚めたジュヌは、出掛けた家族のメモを横目に、いつものようにオンラインゲームに勤しむ……はずが、テレビから流れてきたのは謎の奇病に感染した人々が理性を失い、次々に人間を襲っている緊急速報だった。家族からはメールを最後に連絡が取れなくなり、感染者から逃れて部屋に立て篭もるジュヌだが……。
現代ゾンビもの。集合住宅に立てこもり、SNSやドローンがある、というのがとても現代ゾンビっぽい。籠城するときに当たり前のようにドローンを飛ばすの、いまじゃないと描けない設定だなあ。
ゾンビものとしては王道で、同じく生き残りがいて、分断されそうになり、悲しい生き残りによって殺されそうになったり、とああやっぱり! なストーリー。最後に助かったのは、やはりこれも現代物だからこそなのかなと思うものでした。通信技術が発達するとこういう、世界が終わりそうになったときの描き方って変わるよなあ。面白い。
「リラックマと遊園地」
普通のOLであるカオルさんと一緒に暮らしているのは、突然やってきたリラックマに、キイロイトリ、コリラックマ。ある日遊園地に行くことになったカオルさんたちだけれど、閉園予定のナカスギランドではいろいろな事件が起こって……!?
リラックマが動く、ということを考えたことがなかったので見ていて動揺しちゃった。しかも結構ふてぶてしいやつだな!? とびっくりもしました。マイペースというか、自分のやりたいことを好きなようにしかしないっていうだけでは……?
などと思いながら、よくできていて綺麗に動くCGアニメで感心しました。人形劇めいている画面、すごくいまどきっぽい。この造形が遊園地にすごくマッチしていて可愛くて楽しい。
しかし遊園地のブラックバイト感や、子どものやっていることになかなか理解を示してくれない大人など、ところどころで大人が見ている世界が描かれているところがシニカルでした。
普通のOLであるカオルさんと一緒に暮らしているのは、突然やってきたリラックマに、キイロイトリ、コリラックマ。ある日遊園地に行くことになったカオルさんたちだけれど、閉園予定のナカスギランドではいろいろな事件が起こって……!?
リラックマが動く、ということを考えたことがなかったので見ていて動揺しちゃった。しかも結構ふてぶてしいやつだな!? とびっくりもしました。マイペースというか、自分のやりたいことを好きなようにしかしないっていうだけでは……?
などと思いながら、よくできていて綺麗に動くCGアニメで感心しました。人形劇めいている画面、すごくいまどきっぽい。この造形が遊園地にすごくマッチしていて可愛くて楽しい。
しかし遊園地のブラックバイト感や、子どものやっていることになかなか理解を示してくれない大人など、ところどころで大人が見ている世界が描かれているところがシニカルでした。
「ARASHI's Diary -Voyage-」
国民的アイドルとして人気絶頂の嵐。2020年年末をもって活動休止を宣言した彼らは、いかにしてその日を迎えたのか。グループ、そして個人の思いを追い続けたドキュメンタリーシリーズ。
世界が変わって、社会が変わって、いろいろなことがあって。そんな中でグループとしてのタイムリミットまでに「何ができるか」「何を伝えるか」を考えた五人。有名事務所所属のアイドル、というきらきらしさばかりがメディアに流れるけれども、こうやって真剣にパフォーマンスやエンターテインメントと向き合う彼らが、本当にプロなんだなあと思って感心して見ていました。すごくストイック。
こういう、真剣に打ち合わせをして、何を見せようと考える風景は見ていてすごく気持ちがしゃんとなる。私も頑張ろう。
国民的アイドルとして人気絶頂の嵐。2020年年末をもって活動休止を宣言した彼らは、いかにしてその日を迎えたのか。グループ、そして個人の思いを追い続けたドキュメンタリーシリーズ。
世界が変わって、社会が変わって、いろいろなことがあって。そんな中でグループとしてのタイムリミットまでに「何ができるか」「何を伝えるか」を考えた五人。有名事務所所属のアイドル、というきらきらしさばかりがメディアに流れるけれども、こうやって真剣にパフォーマンスやエンターテインメントと向き合う彼らが、本当にプロなんだなあと思って感心して見ていました。すごくストイック。
こういう、真剣に打ち合わせをして、何を見せようと考える風景は見ていてすごく気持ちがしゃんとなる。私も頑張ろう。

将来有望なエリートや良家出身者が集う名門、秀知院学園の生徒会副会長四宮かぐやは、会長の白銀御行とお互いに惹かれ合っている。だがプライドのせいで思いを告げられない二人は「相手から告白させよう」と策を巡らせる。恋の駆け引きの行方は?
頭がいいのに恋愛に関しては頭の悪いことばかりする、色々と拗らせすぎな二人を中心にしたラブコメ学園もの。あまりのズレっぷりに「早く! 告白しろ!!!」と叫ぶこと数度。挙動不審過ぎて笑う。
原作やアニメにはまだ触れていないので、どのくらい原作との距離があるのかわからないのですが、飛び抜けて髪色がおかしいとかこんなやついないだろうというビジュアルの登場人物がいて画面がうるさすぎるということもなく、個性付けくらいのものなのが安心したかな。実写のときにビジュアルって、思いっきり振り切っておかしくすれば面白いんだけれど、そうじゃないと中途半端で冷めちゃうから……。

九州の静かな港町で叔母と暮らす17歳の少女、岩戸鈴芽。
ある日の登校中、美しい青年とすれ違った鈴芽は、「扉を探してるんだ」という彼を追って、山中の廃墟へと辿りつく。
しかしそこにあったのは、崩壊から取り残されたように、ぽつんとたたずむ古ぼけた白い扉だけ。
何かに引き寄せられるように、鈴芽はその扉に手を伸ばすが……。
やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
その向こう側からは災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという。
―――星と、夕陽と、朝の空と。
迷い込んだその場所には、すべての時間が溶けあったような、空があった―――
不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。
新海誠監督が自ら執筆した、原作小説!(Amazonより)
映画公開日、朝一で見に行って、そのまま本を読みました。
映画がすごくよくできているとわかる、すごく忠実な小説だと思いました。
小説と映画の違いはさほどありません。ちょっとした設定や台詞が足されている(映画では特に必要ないと省かれたのかな)、映像だけだった部分に描写があるなど。だから映画を見ていて「こう思ったな」「こういうことに気付いたな」と感じ取れたことがちゃんと小説に書かれているし、映像にもなっているという、新海誠監督の描写力の高さに唸らされる。
そう、だから決して「東日本大震災」の言葉はどこにも出ていないんです。東北の方でとても大きな地震があった、というほどの描写。それでも私たちは何があったのか知っているし、推し量ることができる。それだけに、想像することができないという苦しさも感じました。
映画のわからない部分や台詞を確認するのにちょうどいい小説だなあと思いました。本当に、よくできたノベライズ(?)だ。

夢を抱いて地方公務員になった志帆。しかし現実は病弱な同僚の仕事を押し付けられ、朝7時前に登庁、夜は深夜まで残業三昧の日々を送っていた。ところが、あるクレームをきっかけに、志帆は同僚に消えて欲しいと願うようになり――。仕事をしないことに全力で、ミスのフォローは周囲の役目、精を出すのは噂話と陰口。そんな同僚が辿った末路とは? 表題作「会社の裏に同僚埋めてくるけど何か質問ある?」、高まる自己愛が滅ぼしたのは……「あたしの幸せな生活」、社内いじめに耐えかねた新人社員が見た「夢」、縁切り神社のルーツに迫る「とある縁切り神社にて」の衝撃の全四編を収録。(Amazonより)
最強にして最恐な縁切り神社にまつわる連作短編シリーズ。話が広まってきているのか、舞台が遠方になりつつあるのもリアルでなんか怖い。そういうホラー要素がある作品です。
怖い要素はもう一つあって、「仕事」にまつわる闇を描いているところ。今回はお役所の仕事をしないお荷物な同僚と、自己愛が強すぎて現実が見えていない派遣社員に、いじめを繰り返す社員。それからだいぶ過去に遡って、戦時中に部下をいじめていた上官たち。みんなどこかでそういう人に出会う、話を聞くであろう人たちがもう本当に怖い。特に表題作がきつい。絶対いる、全国にいると思って。
こういうのを出してくれるのがオレンジ文庫さんの好きなところなので、続刊出ないかな、と思っています。恐怖で心臓がぎゅっとするし読めないときもあるけれど、報復してくれるところがフィクションだからこそ面白いんだよなあ。

突然終わった結婚生活。バツイチか──と嘆く余裕もない私。職務経験もろくにないが、家事だけは好きだった。
そんな私に住み込み家政婦の仕事が舞い込む。相手は高名な小説家。そして整った顔立ちとは裏腹に、ものすごく気難しい人だった。行き場のない私と、ふれ合いを拒む小説家。最初はぎこちなかった関係も、家事が魔法のように変えていく。彼と心を通わせて行くうちに、いつしか──。
なにげない毎日が奇跡になる物語──本を閉じた後、爽やかな風を感じてください。(Amazonより)
専業主婦だった涼子は、夫の浮気が原因で離婚し、小学三年生の娘を連れて実家に戻ってきた。だが実家には兄夫婦がいて、兄嫁は夫の浮気相手と同じようなキャリアウーマン。生活スタイルが違い、職業スキルの有無が異なり、家庭と仕事の考え方も異なる兄嫁に気を遣い、落ち込む日々。そんなある日気難しい小説家の家政婦の仕事をしないかと打診があって。
心を再生する話なんだろうなあと思っていたら、癒してくれると思っていた先生はだいぶ偏屈で、だいぶ傷付いて引きこもっているし、涼子は手探り状態でだいぶはらはらさせられて笑 けれど美空と編集者の川谷さんが間に入ることでみんながそれぞれ気付きを得て、次の一歩を踏み出す物語を紡いでいく中盤から後半がものすごくよくって、ぐっときました。
「主婦は職業なのか?」を書いているので、心当たりがある人はきつそうなんですが、最後はしっかり言い返すし、勇気を出した結果がちゃんと伴っていくので「頑張れ!」と思って読み終えました。

オフィス街に程近い商店街の一角、犬の看板が目印の雑居ビルの地下一階にその店はある。
猫の絵が描かれた扉の食堂「洋食のねこや」。
創業五十年、オフィス街のサラリーマンの胃袋を満たし続けてきた。
洋食屋といいながら、洋食以外のメニューも豊富なことが特徴といえば特徴なごく普通の食堂だ。
しかし、「ある世界」の人たちにとっては、特別でオンリーワンな一軒に変わる。
「ねこや」には一つの秘密がある。
毎週土曜日の店休日、「ねこや」は“特別な客"で溢れ返るのだ。
チリンチリンと鈴の音を響かせやってくる、生まれも、育ちも、種族すらもばらばらの客たちが求めるのは、世にも珍しい不思議で美味しい料理。
いや、オフィス街の人なら見慣れた、食べ慣れた料理だ。
しかし、「土曜日の客たち」=「ある世界の人たち」にとっては見たことも聞いたこともない料理ばかり。
特別な絶品料理を出す、「ねこや」は、「ある世界」の人たちからこう呼ばれている。
―――――「異世界食堂」。
そして今週もまた、チリンチリンと鈴の音が響く。(Amazonより)
先代から続く洋食屋「ねこや」。通常は定休日であるこの店は実はその日特別営業を行っている。入り口が異世界の各地に出現し、現代日本の味の虜になった人々がそれぞれの種族や身分や立場に関係なく美食を味わう食堂になるのだった。
エルフ、ドワーフ、魔族などがいて、魔法が存在し、西洋風の国もあれば東洋の国もあるという異世界。彼らにとっては食堂こそ異世界。だいたいが最初に食べたものの虜になってそのあだ名で呼ばれるというのがいかにも「通」っぽくて楽しい。
またこれ、揚げ物だったりソースの味だったり甘い物だったりと、それを「美味しい!」と思う人たちの視点で描写されるので空腹時に読むのがつらい!笑 楽しかった。