読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

幼馴染みでバンド仲間の橘奈緒が死んだ。ミュージシャンになるため東京に上京しようとした日だった。失意の日々を過ごす大槻慶太郎だったが、形見として譲りうけた奈緒の携帯に電話がかかってきて……相手は死んだはずの奈緒!? しかも電話の向こうの彼女は東京で音楽活動をしていると思い込んでいた! 思わぬ再会に慶太郎は決意する。「奈緒の歌を皆に聴いて貰いたい」と――。ミライショウセツ大賞優秀賞。失われた恋と歌の奇跡の物語、ついに書籍化!(Amazonより)
自由で明るくてたくさんの友人知人がいる幼馴染みの奈緒に振り回される形で、慶太郎は当たり前の毎日を謳歌していた。そんな大切な人の喪失と、彼女が追いかけていた夢を引き継ぐ形で動き出した少年のお話。
一人称で、(笑)などが文中に登場する、若い表現がどうにもむずむずする。活字を読み慣れていない人はするする読めていいんだろうけれど。
奈緒がいなくなって、空白を抱えたまま過ごしていた慶太郎は、ニコニコ動画やVOCALOIDが席巻する世の中で奈緒の歌を残そうとし始める、というところまでが上巻。彼女との二度目の、本当に別れを迎えるときが来るのだろうと思うとどきどきするのですが、みんなが笑顔になれる結末であるといいな。
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山間に暮らす羊飼いのイングヴァルとマリアは、ある日羊が出産した「羊ではない何か」をアダと名付け、家族として暮らし始める。奇妙なものとの不思議で穏やかな生活は、イングヴァルの弟ペートゥルが転がり込んできたことでゆっくり崩れ始める。
羊から生まれた「何か」と共同生活を送る夫婦。アダと名付けられたそれは幼い子どもと変わらず、とても可愛らしくて愛おしい。殺すべきだと言っていた義弟も彼女の存在を受け入れた……それだけで終わったらいい話なんですけれど、イングヴァルとマリアの精神状態がおかしいのは冒頭から明らかで、陰鬱な風景とともにひたひたと嫌な予感が満ちていく。
出産した我が子を求める母羊に対する仕打ち、ペートゥルの性的な執着、ここが隔絶された場所だから起こるんだろうという秘密の空気が、多分「ソレ」を呼び寄せたんだろうというラスト。なるべくしてなったんだろうという結末で、なんとも言えない……。でもいまもこの世界のどこかでこういうことが起こっているのかもしれないなあ、なんて思ったのでした。

王女リザは女官長の不在をいいことに、読書三昧の生活を楽しんでいた。だが、クシー領視察中のアニアからもたらされた“グリアン国王がリザとの縁談を望んでいる”との一報により身辺は一変。王太子付き武官のティムを護衛に回され、いきなり警護を厳しくされてしまう。アニアがグリアンからの特使を案内する一方で、厳重な警護を受けながらも見えない敵に命を狙われるリザ。何も知らされずに守られる立場に不満を抱いた彼女は、攻勢に出るためのある提案をティムに持ちかけるが……? 冒険活劇ありロマンスあり、宮廷ガールズ・ストーリー第三幕!!(裏表紙より)
リザが己の立場を省みる第3巻。今度の敵は教会と信仰。勢いのある国っていろいろ狙われるよねえ……。
リザとアニアは結構離れ離れでしたが、相手の考えを読んで迎えにいくところはわかりあっている親友感があって最高でした。たとえ本当に遠く離れてもお互いを思っていることがこれで確信できたようにも思います。できればずっと二人で、国を支えていってほしいけれど、どうなるかなあ!
ティムが昔からティムで、密かに恋心を抱いたままだということもここまで隠し通していたのがうわああああと。駆け落ちって言われたときに思い切って迫ってもよかった気がするよ! でもリザがわかっていないから上手くいかないか……。この二人も上手くいってほしい!

国内初の女伯爵となったアニアは、領主兼王女リザ付きの女官として多忙な日を送っていた。その上、王太子リシャールのお気に入りという噂から、令嬢たちに嫌がらせをされたり殿方たちが取り入ってきたり、と騒動続き。小説を書く趣味だけが息抜きだ。そんななか、留学中だった王太子の弟メルキュール公爵が帰国した。王太子もリザも警戒するほどの問題人物だという彼は初対面のアニアにいきなり求婚してきて……? 冒険活劇ありロマンスあり、宮廷ガールズ・ストーリー、第二幕!!(裏表紙より)
女伯爵に叙せられたアニア。家族や黒幕も相応の処分が下されるが、それはそれで新しい問題が浮上して。結婚の条件に自領との距離とか仕事のしやすさを考えるアニアがすごくいいなあと思った巻でした。自分の義務を当たり前のものとして考えて動いているところ、ものすごくよくできた女性だと思います。
だから「女性だから」「身分が」なんて考えや、権力、保身といった欲望で義務を疎かにしたり誰かを蔑ろにする人間が許せない、と読んでいるこちらもすごく思う。政をする人はこうであってほしいというのが、アニアや周りの人たちなんですよね。
今回初登場の重要人物のジョルジュは、なんというか……それと気取らせないけれどめちゃくちゃ家族が好きですね?笑 いろいろやりすぎちゃうくらい大好きだよね? 今後もやらかしてくれそう。
2巻目にして実感したんですが、素行がちょっと悪そうな国王陛下、実はめちゃくちゃ有能じゃない? リシャールを含めた補佐も優秀だけれど、ものすごい改革をばすばすやっていくなあ。次はどうなるんだろう?

物語を書くのが趣味の貧乏貴族の娘アニアは、従兄のティムの紹介で王宮仕えをすることになった。王太子リシャールの無愛想(?)な態度に戸惑いつつも、書庫に籠もるほどの本好きの王女リザとは意気投合する。リザの婚約者との初顔合わせの舞踏会を目前にしたある日、婚約者の愚かな振る舞いに、リザが激怒する。アニアとリザは舞踏会で彼を懲らしめようと企むが、その裏では別の陰謀が蠢いていて……? 冒険活劇あり、殿方とのロマンスあり、宮廷ガールズ・ストーリー開幕!!(裏表紙より)
元宰相だったが王宮を追われた祖父を持つアニアは、放蕩を繰り返す家族に疎まれ、玉の輿に乗るよう期待されている。唯一の味方だった従兄のティムの紹介で王女が結婚するまでの女官として採用されたことで、それぞれの運命が回り始める……という王宮ロマンス。最高! 最高でしかない!
賢く優秀だったために家族に疎まれ、見限ることもできずにいるアニアが、王宮で味方を得ながら、ある不思議な助力もあってめきめきと頭角を現す展開や、王女との友情、淡いロマンスの気配と、本当によかった。膂力がなければ知恵を使って反撃、それこそよ!!
しかしアニアに宿っている記憶、これは後々種明かしがあるのかなあ。理由がすごく気になる。

殺し屋組織のボスが急逝し、遺された顧客名簿「死者のリスト」争奪戦が勃発した。ありかを知るのはボスの息子・三也(4歳)だけ。朝比と哮は三也を懐柔するため、疑似家族として暮らすことに。しかし、若くして殺し屋業界に身を置いた彼らに「普通の生活」などわかるはずもなく…。子育てあるある&ご近所トラブルなど、殺し屋二人組はこのミッションをこなせるか!?
普通の生活は暗殺よりも難しい。(裏表紙より)
色々なものが欠けてしまった暗殺者、柳生と、豪快ながらどこか影のある我藤、天涯孤独の身となって方々から狙われる四歳の三也の、擬似家族もの。いやあ可愛い! すごくほっこり。子育てとご近所問題とに振り回される暗殺者たちに笑ったししんみりしたり、三人まとめて幸せになれ! と思ったり。
そつがないけれど埋められない空白を抱えてひねくれた美形暗殺者、柳生の内心が切なくて。命の塊みたいな幼児を抱いて、手に入れられなかったものを思ったものとは少し違う形で手に入れられたんじゃないかな、なんて。
くまさんねっとわーくには笑ってしまったけれど、きっとみんな最高の未来を手に入れられたんじゃないかな!
とても楽しかったです!

ノベルジャパンで好評連載中の「五代ゆう&榊一郎の小説指南!?」が単行本化。
人気作家ふたりが語る内容は、小説家になりたい人や小説家がどんなことを考えているか知りたい人は必見!心構えから小説を書く段階まで、ふたりが実際に行なっている手法がわかるので、非常に実践的。さらには、本編で出たアイデアにしたがって書かれた描き下ろし小説も掲載されていて、超お得!
この小説を読むためだけでも買う価値アリの1冊です!!(Amazonより)
2007年のムック本。いま読んでも十分通じる、と思ったのは「金太郎飴」の話が出たところ。
連載されていた当時、ライトノベルは学園異能力バトルものがブームで新作は大抵これだった模様。王道ストーリーと人物設定をするとして、他作品との差別化といえば名前の変更だけじゃないか? と考える人が多かったよう。「王道ものを書いた」のか「金太郎飴になっている」と考えるのか、受け取る側の印象が異なる原因はどこにあるのか、という部分。五代先生と榊先生はこれを「作者が手を抜いているかいないか」と表現している。このストーリーと設定なら流れはこうだよね、と考えるとき、作者は、登場人物という役者が役になりきれるように思考しているか。
これなんだよなあと、昨今の様々なブームを眺めながら考えたのでした。
近色々勉強する機会があって改めて創作技術系の本を読むなどしているのですが、こういう本が以前よりもいまの方がずっとずっと理解できるのが不思議で。私自身がちゃんと自分の技術について自覚的になったってことなのかなあ、だったらもっと成長したいなあと思ったのでした。

仲村叶は特撮オタク、通称特オタ。シングルマザーの母親から「女の子らしくない」と取り上げられ続けた特撮愛を、大人になって一人暮らししているいま満喫している二十代。だが偶然同じ特撮好きの小学生や年上の女性に出会ったことで少しずつ趣味に対する後ろめたさを解消していく。しかし何も知らない母親との距離は難しいままで……。
原作は数巻読みました。数年前原作を読んだ当時は「つらいよなあ……」「大変だなあ……」と思っていたんですが、この2023年にドラマを見ると、あれっ、オタクを取り巻く状況がかなり変わってる? と思ったんですよね。だってこの時代、大抵の人が「推し」を推してるんだから。
時代が変わってよかったなあ……と思いながら、家族や周囲の無理解に苦しんだ人たちのことを想像して視聴。年齢的なものもありますが家族の理解が得られない、好きなものを否定されるというのは本当に見ていてきつくって、お母さんが出てくるところはだいぶはらはらして見ていました。だから最終話直前、叶がお母さんを「じゃかあしいわクソババア!」と殴るところ、殴れ、殴れ、私なら殴ると思いながら見ていたので、本当にびっくりすると同時に仕方がないとも感じました。
最後はちょっと和解した空気を出していたけれど、こういう問題は根深いから解決には至っていないのがちょっと気になったかな……。誰かの好きなものを否定しないって難しいんだよな。
「オリー」
曖昧な記憶を頼りに、大切な親友の元へ帰ることを決めたぬいぐるみのオリー。何故自分はビリーの元を離れてしまったのだろう? こうなった理由が思い出せない……。だが旅を続け、帰る場所の記憶を少しずつ取り戻すうちに、ビリーと家族に起きた悲しい出来事にたどり着く……。
ぬいぐるみが持ち主の元へ戻ろうと旅をする、そういうストーリーが「トイ・ストーリー」と比較されるのはもうどうしようもないと思うんですけれども、この「オリー」はそこにもう少し苦い気持ち、悲しみの痛みと、ファンタジックな奇跡をバランスよく足した印象で、結末がとてもよかったと思いました。オリーの、お母さんの言葉、ちゃんと届いたね。
暴力を振るう男の悲痛さと悲しみが人形に投影されているのは切なかったな……。ロージーのパッチワークも、傷ついて手当てしてを繰り返した女性を思わせる。だからビリーが泣かないことが強さじゃないと、男らしさから抜け出すのも印象的でした。
曖昧な記憶を頼りに、大切な親友の元へ帰ることを決めたぬいぐるみのオリー。何故自分はビリーの元を離れてしまったのだろう? こうなった理由が思い出せない……。だが旅を続け、帰る場所の記憶を少しずつ取り戻すうちに、ビリーと家族に起きた悲しい出来事にたどり着く……。
ぬいぐるみが持ち主の元へ戻ろうと旅をする、そういうストーリーが「トイ・ストーリー」と比較されるのはもうどうしようもないと思うんですけれども、この「オリー」はそこにもう少し苦い気持ち、悲しみの痛みと、ファンタジックな奇跡をバランスよく足した印象で、結末がとてもよかったと思いました。オリーの、お母さんの言葉、ちゃんと届いたね。
暴力を振るう男の悲痛さと悲しみが人形に投影されているのは切なかったな……。ロージーのパッチワークも、傷ついて手当てしてを繰り返した女性を思わせる。だからビリーが泣かないことが強さじゃないと、男らしさから抜け出すのも印象的でした。
「ぐでたま 母をたずねてどんくらい」
冷蔵庫の卵から孵ったひよこのしゃきぴよは、割れた卵から出てきたぐでたまと一緒に、母親を探す旅に出る。やる気のないぐでたまを連れ出したしゃきぴよを待っているのは波乱万丈の大冒険。果たして母親に会うことはできるのか?
現実世界で起こっている、もしかしたら小さなものたちが動き回っているかもしれないという世界観。ぐでたまのだらだら感が見ていてほっとしてしまう。子どもの頃だったら動いてくれないぐでたまに苛立ったかもしれないのに、これが大人になるということか……。
大人の世界に疲れた人間、嫌気がさしたりぐだぐだしたい人間にはぐでたまたちの世界が見えるっていうのがいい。本当はみんな、こんなに頑張りたくないって思ってるんだよ……。
ぐでたまのつるんっぷくんっとしたフォルムと色合いが可愛かったです。
冷蔵庫の卵から孵ったひよこのしゃきぴよは、割れた卵から出てきたぐでたまと一緒に、母親を探す旅に出る。やる気のないぐでたまを連れ出したしゃきぴよを待っているのは波乱万丈の大冒険。果たして母親に会うことはできるのか?
現実世界で起こっている、もしかしたら小さなものたちが動き回っているかもしれないという世界観。ぐでたまのだらだら感が見ていてほっとしてしまう。子どもの頃だったら動いてくれないぐでたまに苛立ったかもしれないのに、これが大人になるということか……。
大人の世界に疲れた人間、嫌気がさしたりぐだぐだしたい人間にはぐでたまたちの世界が見えるっていうのがいい。本当はみんな、こんなに頑張りたくないって思ってるんだよ……。
ぐでたまのつるんっぷくんっとしたフォルムと色合いが可愛かったです。