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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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九州の港街で暮らす高校二年生の岩戸鈴芽は、登校中にすれ違った美しい青年に「この辺りに廃墟はない?」と尋ねられる。打ち捨てられた温泉街を教えるものの、気になった鈴芽は後を追い、彼を見つけられない代わりに廃ホテルで扉を見つける。何気なく扉を開けたそこには美しい星空と草原が広がる場所だったが、中に入ることができない、足元にあった石を持つと突然毛玉に変わってどこかへ行ってしまうなど、不思議な状況に遭遇する……それが鈴芽の戸締まりと災いを鎮める「閉じ師」の青年・草太との旅のはじまりだった。

公開中なので続きから。









イメージ曲の「すずめ」と特報、予告編の「草太さんのいない世界が、私は怖いです!」に、「見なくちゃ」と決意し、公開初日の朝一番の回を見に行った。
見終わった後、「どう言っていいのかわからない」と思いました。すごく言いたいこと、思ったことはたくさんある。それを上手く言葉にできないけれど、なんとか絞り出した答えの一つが「いつか描かなくてはいけないものを描いたんだな」だった。
この世界で生きるからには必ず社会の影響を受けていて、この時代の私たちには震災とコロナの存在は切っても切れないものだと思う。クリエイターはみんな、遠からずそれを描かなきゃいけないとも思っている。それを描いたんだなと。
同時に、ずっと震災に近しい人たちがこれをどのように見るのかわからなくて怖くなった。もっと傷ついたり悲しくなったりしないだろうか……。これからたくさんの人がこの作品を話題にしたとき、不必要に茶化されたり面白がられたりしないだろうか。

とりあえず、私が感じたことを書きます。

登場人物の背景は、あまり多くは語られない。けれどそれが、みんなどこかで悲しみや別れを経験していることを描いているのかもしれないと思った。特に草太は、何故小学校教師なのか、実の両親の存在などはまったく語られない。これは小説版もそう。友人である芹沢についても、どんな風に友人になったのか、お互いにどう思っているかの描写も多くはない。
だからみんながみんな、自分の人生を生きている。
そしてこれがこの作品の、すずめの扉を戸締まりしていくことにつながる。
故郷に行く展開、すごく怖くて。何があるんだろう、どう思うんだろうとはらはらしました。すずめが呆然と「ここが、きれい?」って言うところにかなりひやっとした。被災者ではない私たちには見えないものがやっぱりあるんだっていう台詞だった。
常世の光景も「まだ燃えている」であったり、ミミズを封じるけれど根本的に取り除くことはしなかったり、そういう部分にすごく新海監督の気持ちを感じたように思います。
最後に戸締まりをするのも「いってきます」なんですよね。「いってきます」、いつか「ただいま」って帰るんだなって思って泣きました。ただいまって言いたいと思っている人がたくさんいるはずだと思って。
もう一つ思い出して泣くのは、草太のおじいさんとのやりとり。上述の「草太さんのいない世界が」の叫びを受けたおじいさんが笑ったことを思うと涙が出る。だって絶対安心したでしょう。恐らくさほど長くはない羊郎翁が、唯一の孫で後継者の草太がたった一人残されることを心配しないわけがない。突き放すような物言いをしたのは絶対悲しみを隠すためだったと思う。なのに鈴芽が、草太の存在を望んでいる絶対の存在だとわかったときの喜びを思うと泣けてしまって……。大袈裟に言うと、家族公認だよ早く結婚して! です!
鈴芽の性格がとにかく素敵で格好いい。それは一度恐ろしい体験をしたことや、家族を失ったことによる自暴自棄な部分がなせるものであっても、走るべきときに走れる強さは素晴らしい。スマホを持っていればどこまででもいけるところも現代っ子の最強さ。好き。
草太さんは声が素敵でなあ……。まったくアイドルに詳しくないので後に知ったんですが、めちゃくちゃよかったですよね!? イケメン声! ナチュラルに優しいところ! 「食べて」とかさあ! はー……早く結婚してあげて。
心を落ち着けたくて二回連続観賞はとりあえずやめたんですが、こうやって感想を書いているともう一回見たくなってきた。
好きなことばかり書きましたが、やはり思うのは、この作品が悼むものでありますように、ということです。
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Author:月子
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