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ワケあり王太子殿下と結婚した貧乏伯爵令嬢リネット。彼女が新米王太子妃として四苦八苦していたある日、隣国の王女ソニアが立太子するという知らせが届き、喜んでいたのだけれど……。新婚旅行も兼ねて向かった先で、王女が開催する大お見合い会に審査員として参加することになってしまって!? お見合いなのに特技の披露って、どういうこと? でもこうなったら、新婚旅行を全うするためにお見合い会を乗り切ります! ワケあり王太子殿下と貧乏令嬢の王宮ラブコメディ第7弾!(裏表紙より)
新米王太子妃として頑張るリネットが、アイザックと庭を散歩するシーンにぐっときました。ほら、一巻だと令嬢教育の最中でがちがちだったし、アイザックは無自覚だったし! 二人並んで自然と歩けるくらいの時間が流れて、想いが育ったんだなあと思うと感慨深かった。
今回は他国への公務。普段着で城下町デートする二人の可愛いこと可愛いこと。ピンナップの料理美味しそう!
そしてそんな仲のいい二人だからこそのすれ違い。こういう、守られるだけじゃないと怒るシーンはいまの作品じゃないとなかなか見られない気がします。相談しろやー! と怒る対象はヒロインだけじゃないんですよね。
今回はエルヴェシウスから新キャラ登場。次は魔法大国がらみかな。個人的にレナルドおにいさまの結婚のあれやこれやが読みたいです!
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突如として謎めいた出口のない部屋に閉じ込められた人々。警官のクエンティンは、同じ状況にある人々をまとめ、時に反目し合いつつ出口を探す。しかしこの建物は移動する部屋を間違えると命を落とす罠が仕掛けられていた。正解の部屋を導き出すための法則とは? 果たして外に出られるのか。
すべてが謎のまま、閉じ目られた人間が疑心暗鬼になり、罠ではなく悪意によって脱落していく作品。ラストのうわー! とああ……というアップダウンが最後まで余韻を残すスリラーでした。
何故ここに閉じ込められたのか。この建造物の目的は何か。誰の仕業か。などということはまったく明かされないままなんですが、それはそれで良いと感じました。とにかく人間関係のギスギスっぷりと、謎を解く面白さ、希望を抱いたところで絶望する緩急がよかった。はらはらしつつも、これは絶対メインを張っている人たちは誰も助からないんだろうなあと思っていたら案の定ですよ。出られたのがあの人だったことも暗示的でした。
ルーザーズ・クラブがペニーワイズを追い払ってから27年後。あれが現れたら連絡すると約束し、大人になってそれぞれの場所で暮らしていた彼らだったが、あのときのことは何故かすっかり忘れていた。しかし一人だけ地元ベリーに住み続けていたマイクだけがそれを覚えており、仲間たちに連絡を入れる。
「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」の続編。この話、きっと子どもが主人公だったからめちゃくちゃ怖くて、なのにわくわくしたんだよなあ。大人になって戦うことにも大きな意味はあるんだけれど、続編としては別のものになっている感があって違う形で面白いと思いました。
子どもの頃を忘れ、豊かに暮らしながらもどこかで敗北感や空虚を抱えて大人になった彼らが再び集い、少年時代のトラウマや傷と向き合い、乗り越える物語……なんて書くとすごく道徳的な話のように思えますが、実際は何かと襲われるし、誰か死んだり傷ついたりするし、危なかったりもするしとちゃんとホラーしてました。
排水口に呼ばれているの、絶対行っちゃだめだってわかるのに手を伸ばして、やっぱり襲われるからそれ見たことか! ってなってちょっと面白かった笑
無差別連続爆破事件に居合わせた精神科医の鷺谷は、刑事の茶屋が拘束した「鈴木一郎」を名乗る男の精神鑑定を担当する。人間らしい感情を持たず、常に抑制している鈴木の秘密が明らかになる頃、連続爆破事件の真犯人もまた彼女たちに近付きつつあった。
女性精神科医が刑事と協力しつつ、謎めいた男に振り回されて事件を解決する話、だけにはとどまらなかった。ダークヒーローの誕生と旅立ちを見届ける作品だったなあと思いました。
すごく堅実な話運びなのに、事件や仕掛け、個々の能力が驚く規模だったり高水準だったりするありえなさというバランスが絶妙という印象です。並外れた知能を持つ子どもを犯罪者専門の殺人ロボットにできる? あんな簡単にたくさんの人が吹っ飛ぶ爆弾を用意できる? 天才的な頭脳の持ち主で、両親を殺害したのに証拠不十分で未逮捕、末期がん、解除したら爆発する爆発物を作るなんて設定もりもりにする? 破綻していないのが本当にすごいんですが、これはやっぱり「脳男」たる鈴木一郎こと入陶大威の存在感が大きいんだろうな。
第三次世界大戦により変化した世界で、武力による戦争は根絶された。代わりに戦う方法は、精神に干渉する特殊なマイクによって紡ぎ出されるリリックによるもの。かくして人々はラップを用いて領土を奪い合う時代が始まった。
ヒプマイの名称でめちゃくちゃ広まっていたと記憶している作品、この度初めて視聴しました。
画面がおしゃれだな! ディビジョンバトルのときに文字の演出が出るのがとてもいいし、普段の画面も色彩が鮮やかで賑やかで、見ていて楽しい。そして声優さんたちが思っていた以上にラップが上手い笑
そしてヒプアニの公式に「はじめてのヒプノシスマイク」のページがあるのがとっても親切。これでラップに興味が出た人たちがどんどん色々なものに発展してくれたらいいなーと思いました。
各地に謎の宇宙船が飛来し、混乱する世界。言語学者のルイーズは、アメリカ軍大佐ウェバー、物理学者のイアンらとともに来訪者たちの目的を探る任務に就く。各国がやり取りを進める中、戦いを示唆する反応があったことで緊張感が一気に高まる。だがルイーズらの見解は異なり……。
想像以上に感動系で、上手いなあ、と唸りました。構成がすごい。小説でもできないことはないけれど映像だからこそのトリックですね。
すわ戦争かという緊張感が高まっている中で、ルイーズらが一生懸命に未知の生命体との交流を試みる展開は、周りに焦らされながらもルイーズが言語やコミュニケーションのことを慎重に、大事に考えているのが伝わる部分で、なんだかじんわりした。ヘプタポッドらがちゃんと反応してくれると嬉しいですね。
結末のことを思うと、ルイーズとイアンの選択はとても重くて切ない。未来がわかっていてもそれを選ぶか。何故それを選ぶのか? その答えの一つが多分これなんだろうなあ。よき作品でした。
「松本清張賞」と「小学館文庫小説賞」をダブル受賞した平成のゆとり作家を自称する額賀澪が、担当編集とともにどうすれば本が売れるのか知るため、出版業界や近しいサービスに関わる人々に話を聞いていく。
作家となって本ができるまでの話。作家と編集者の関係。そして本が売れるためには何が必要なのか様々な人たちに話を聞くパート。そして得た答えを披露する最終章。
いやー……読んでいて身に沁みました。きついんだけれど現実なので、学ばせてもらうつもりで読みましたが、非常に大事な話が詰まっていました。創作における気構えはもちろんですが、まさかSEOの話が出て来るとは。2018年の本ですが、2021年現在も意外と大事だったりするのかな……?
「作者がドヤ顔してるかどうか」と語った三木一馬さんの話が面白かったです。実は、それは結構自信がある笑
ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。
自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、〈走狗(ミニオン)〉候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年――そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?
現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場!(カバー折り返しより)
中世ヨーロッパ、魔術が息づく世界で、とある島で起こった殺人事件とその顛末。
ファンタジーとミステリーの融合、すごくいいですね! 思っていたより堅実な世界設定だったので便利な魔術の存在がどうトリックに繋がるのかどきどきしていたんですが、最後の最後に積み上げたものの形を見たとき、ああこの設定じゃなきゃ書かれなかった作品だな、と思いました。
アミーナとニコラの交流がとても微笑ましい。最後に独り立ちすることになったニコラは、まさしくこれから続く物語の「主人公」という感じ。アミーナも冷静で賢い娘で、この時代においては名もなき女でしかない彼女が語り手であるのは大きな意味があったと思います。つまりものすごく好みでした。
誰にでも固有の人生があり、犯した罪はその生活の中から生まれる
裁判所では今日も、たくさんの事件が裁かれている。健全なビジネスマン生活を営む人からしてみたら、別世界の出来事のように感じられるかもしれない。でも、被告人席に座る彼らも、少し前まではあなたと同じ側にいて、ふとした邪神や油断、運命の悪戯によって犯罪に手を染めた人たちだとしたら……。「現在は無職」の被告人たちが起こした、悲喜こもごもの事件と、法廷で垣間見た話術や駆け引き
めくるめくビジネスマン裁判の世界へようこそ!
「まえがき」より(カバー折り返しより)
主に会社員の犯罪の裁判を傍聴した記録。裁判内容という前置きがあって、被告人の観察やその心理を探る後半パートが興味深くて面白かった。弁護人の説得力のある弁論や、被告人の反省を自分の言葉で語らせる手腕の話も面白かったなあ。それに前科のついた人間の生活の面倒を見ながら更生を見守ろうとする証人や、罪を償っても再就職が難しい人たちに向けた就職支援雑誌があることが知れたのが収穫でした。そういうケア、大事だと思います。