読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ギャングの世代間抗争に端を発した拷問殺人の背後には、闇の軍属カトル・カールの存在があった。ボイルドらの熾烈な戦いと捜査により保護拘束されたナタリアの証言が明らかにしたのは、労組対立を利用して権力拡大を狙うオクトーバー一族の影だった。ついに牙を剥いた都市システムにより、一人また一人と命を落としていく09メンバーたち。そしてボイルドもまた、大いなる虚無へと加速しつつあった——暗黒と失墜の完結編。(裏表紙より)
ヴェロシティは虚無の物語。虚無に呑み込まれてしまった絶望の人の物語。
カトル・カールによってメンバーが欠けた事が虚無への入り口。あるいはオードリーの殺害。もしくはボイルドの友軍爆撃。全ての虚無は最初から仕組まれて、ボイルドを突き落とした——もしくはその道を歩む事を選ばせた。
これほど報われないというのもすごいと思う。この巻のクルツの裏切り、オセロットの死、ジョーイ、ワイズ、ラナ。ナタリアまでが亡くなり、イースターとウフコックだけが残された。いや、子どももいた。ただシザースという人間とは別の存在として。
スクランブルのラストから続くエピローグ。愛した女と同じ最後を遂げた。肉体は残さずに吹き飛ぶ。自分が犯した爆撃の時と同じ言葉を、シザースとして意識を共有していたワン・アイド・モスが叫ぶ。「おお、炸裂よ!(エクスプロード)」
スクランブルを次に読みたい。虚無へと至ってしまったボイルドの心情がきっとよく分かるだろう。
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