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六月の夜と昼のあわいに
「小説トリッパー」に初出された十の短編。現実と非現実の狭間、夜と昼のあわいにあるような空間の物語。

幻想には種類があると思いますが、この本の多くは、不安な幻想であるのかな、と思います。
どこにも向かっていない、あることを書いただけのような話もあれば、恩田陸作品らしい、少しブラックユーモアがきいた話、それでいて、少し不思議な話があったりもする。
夜と昼のあわい、というのは、朝方、まだ夜も明け切らぬ時間なのでしょうね。ふとうたたねをして、はっと目覚めた時、自分がどこにいるのか分からないという一瞬の不安と、妙な覚醒感と睡眠を欲して鈍い思考。その時に見ていたかもしれない、と思う夢。そんな短編の数々でした。
好きなのは、「Y字路の事件」「窯変・田久保順子」。「Y字路の事件」が、少し不思議な話で好きでした。田久保順子は、もう、ブラックでたまりません。それでもやっぱり皮肉でおかしい。
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