読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

「彼の者の名を『花矢』と言う」
季節は、如何にして齎されるのか?
その問いに人の子らはこう答える。
「四季の代行者」が神々より賜りし権能で春夏秋冬を大地に巡らせるからだと。
では朝と夜は? 同じく人は告げる。
「巫の射手」が空に矢を放ち、その矢が朝と夜の天蓋を切り裂くのだと。
黎明二十年、島国『大和』の北端に位置する大地エニシに一人の少女がいた。
姓に神職を冠す巫覡の一族の末裔、代行者と同じく神の御業を担う者。大和に朝を齎す「暁の射手」その人だ。
少女花矢は今日も民に紛れ学舎に通う。
傍に美貌の青年を従える彼女が、大和にただ一人の『朝』だとは誰も知らない。
花矢と弓弦。少女神と青年従者の物語は、いま此処から始まる。(カバーより)
朝を司る暁の射手の少女と従者の青年の物語。
まるで世界に二人きりのように、分かち難く在る少女神と人の子の、若さゆえのすれ違いと、どうしようもない展開が辛い。まさか前巻の黄昏の射手での話がこんな形で出てくるとは思わないでしょうが! どうしようもない献身に泣いちゃったよ……。
しかし撫子が万能すぎて、怖い。何かとてつもないことに巻き込まれてしまいそうな気がして……どうかこの先傷付くことがないように願う。
当たり前のように朝と夜がやってくる、それは本当なら決して当たり前ではないし、当たり前なら奇跡のようなことなのだと思ったお話だった。
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