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群青の空に薄荷の匂い―焼菓子の後に (ポプラ文庫ピュアフル)
附属中学から女子高に上がった亜矢は、中1からの親友である菜穂と寄り道するなどして「すこぶる平和な学校生活」を送っていた。ある日、いつもの散歩道で小学校時代の同級生・安藤くんに出会う。ぐっと背が伸びた安藤くんとの距離が縮まり心ときめく亜矢だったが……。
文庫書き下ろしで贈る、人気作『卵と小麦粉それからマドレーヌ』の3年後を描いた姉妹編。
〈解説・金原瑞人〉(裏表紙より)

主人公が菜穂から亜矢へ。『卵と小麦粉それからマドレーヌ』ではとても大人っぽく落ち着いていた亜矢の視点で綴られます。亜矢の目で見ているからか、それとも16歳になって周囲が、特に菜穂が追い付いたのか、亜矢の落ち着きが年相応に思えました。
『卵と〜』の菜穂は健やかな成長という感じだったのですが、亜矢は一度芽を潰され傷をつけられたところからの成長だったので、ちょっとだけはらはらしました。家族との齟齬やすれ違いもあって、自分の嫌なところを自覚している亜矢に、とても共感する。彼女の感じるものひとつひとつが、彼女でなければ感じられないことなのでは、と思う。

友達四人で外でお弁当を食べるというシーン。
 お天気のせいじゃなくて、こんなふうにさりげなく特別なとき、わたしはふいに泣きそうになる。この平和であたたかな時間が永遠に続くことはなくて、それがわかっているから泣きたくなるのだとわたしは知っている。


大人になっていくことへの優しい目が感じられるので、すごく好きなシリーズだと思う。
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