読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
斉木杉子、十一歳。自分の言葉を持つがゆえに学校に居場所のない少女は、「学校なんてなけりゃいい」と思った。そして、自宅の庭に生えるナツメの古木に呼びかける。時々、心にねじをまくように。ハロウ——。(「氷の海のガレオン」)
ヤングアダルト小説ファンの間で「何度も読み返したくなる一作」として語り継がれてきた名作に、書き下ろしを加えて文庫化。〈解説・藤田香織〉(裏表紙より)
自分の言葉を持ち、自分の考えを持ち、自分という個をすでに獲得している十一歳の杉子。その日々の話。読みながら叫び声をあげてしまいそうで、涙がこぼれそうで、すごく好きな話だった。殴られたような気がした……。
周囲を否定して自分を保つところで個に固執していることだろう杉子は、やはり子どもなのだなあとも思うし、その孤高さが綺麗で儚いし、危うい感じもする。世界との折り合いを見つけながら、杉子がハロウに縋るのはぎゅうっとしました。ハロウって、こんにちは(ハロー)か、海だし波浪(はろう)の意味なのかな。世界と繋がりたいという意味の言葉なのかもしれないな……とか。
「オルタ」の方は日記のような体裁の語りで綴られるお話。これもまた、叫びが込められたような話だなあ……。これは結局実在のことなのかな。でもこの世のどこかにあるお話だろうと思う。
やばい、この本はやばかった。私が読んだのは文庫版なので、ぜひともハードカバー版で収録されている他の話も読んでみたい!
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