読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
少年・櫂はある日、『森』と呼ばれる森林公園の一本の木に、メカザウルスをくくりつける。やがてそれがたくさんの『キップル』を呼び集め始めた。ママ、同級生のK、U、Aの三人、写真家の宮木、命名芸術家を名乗る東原たちは、キップルが集まるその木をとある名前で呼び始める。
あらすじを説明しようとするとこぼれ落ちて嘘になってしまう気がする。言葉にすると、全く別の方にはめてしまって、全然違うものなってしまう。この本で書かれていることも同じなのではないかなと思います。名前を与えられた時点で本質を失う感じ。
誤解を恐れず言うなら、これはゴミが集まる木を巡る少年の話。ゴミと言っても、それは誰かの大切なもの、一部分であったもの、でも行き場をなくしたもの。それらが櫂の行動によって行き場を見つけ、集まってオブジェと化していく。でも、櫂はその流れに否を唱える。
否応ない社会の流れに櫂は抵抗できず、でも気高い力を胸に秘めた印象を与えて、物語は閉じる。
『夢見る水の王国』を読んだ時も思ったけれど、本当に、どこかしらで何かがちらちらと光っている風景を書かれる方だなあ! この話の場合、それはキップルたちの持つものであり、こちらを睨んでいるような、無表情な櫂の瞳でもある。ふとした時にそれを思い出して、ため息をつきたくなるイメージが浮かびました。
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