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崖の館 (創元推理文庫)
財産家のおばが住まう〈崖の館〉を訪れた高校生の涼子といとこたち。ここで二年前、おばの愛娘・千波は命を落とした。着いた当日から、絵の消失、密室間の人間移動など、館では奇怪な事件が続発する。家族同然の人たちの中に犯人が? 千波の死も同じ人間がもたらしたのか? 雪で閉ざされた館で各々推理をめぐらせるが、ついに悪意の手は新たな犠牲者に伸びる。(裏表紙より)

とても読みにくかった……疲れた……というのが第一印象。でも澄んだ印象で面白かった。
色々説明されていない涼子やいとこたちのバックグラウンドが気になるのだけれど、ここではあんまり関係がない。館という密室が重要。涼子やいとこたちはそれぞれに、とても、頭が良い。馬鹿な人間がいなくて、人間臭いのは嫉妬心をあらわにする由莉くらいだなと思った。犯人が現れてもなんだか遠い出来事のような気がした。あまりにもそれぞれが完結しすぎていて感情移入がしにくい気がする。
映像にするならとても陰影が綺麗だろうなと思った。青少年たちを閉じ込める、冬と海と崖の館。自由の裏に潜む影。密室になったそこで起こる事件と疑心暗鬼。少女の成長と恋。崖に消えていく娘たちっていうのが一番好きなキーワードだ。ラストはぐっとなった。
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