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帝王の鳥かご―カフェス幻想 (角川ビーンズ文庫)
さて皆様。その夜珈琲店(カフヴェ)を訪れた翠緑と紫の双眸をもつ歳若い物語師(ラーウィヤ)が、楽器(タンブール)を爪弾き紡ぐは、常ならば、名高い神話に英雄譚。「なれど今宵は……天上に咲ける薔薇の物語を」
ラスオン帝国の後宮(ハレム)には、帝王(スルタン)位を望めぬ皇子の幽閉所《鳥篭(カフェス)》がある。側仕えの小姓イクバルとともに鳥篭に住まうナイアードは、その心根と美貌を皆に愛されていたが、ある日、国を揺るがす陰謀に巻き込まれて——。篭の鳥は、檻から飛びたてるのか?(裏表紙より)

異国情緒溢れる物語でした。王宮もの、ライトな政略ものの印象でした。登場人物が結構たくさんいて、主人公たるナイアードが外に出て行けない人物なのと、歴史を描くことを重視しているような感じだと思いました。
病弱な皇子ナイアードは、非常に心優しい人物で、右足が不自由で病弱であると自分の不甲斐なさを責める少年です。彼が非常に澄んでいるのです。汚されないというか。一生懸命で繊細な空気が常にあって、でも今にも脆く壊れそうな気もしてはらはら。
展開が早くて、人物も多いので、もっとじっくり読みたいかもと思いつつ、色んな設定が幻想的でした。イクバルの正体にはちょっとびっくりしたけれども……! そしてところどころ男性同士であやしいところにびびっていました(免疫があんまりないので……)
異国の雰囲気で、作中のような幻想があるっていうのは、なんだかとても新鮮で好きだなあと思いました。
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