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黎明に向かって翔べ (角川ビーンズ文庫)
琅蘭帝国には、ひとつの神話がある。
滅びと戦を司る天狼君。その化身は右手に瑪瑙を握って生まれる。世が禍で満ちたとき、かの者は赤狼を従え民を導くという。
「怪異だ! 赤い——けものが……!」
皇子太白の率いる琅蘭軍の窮地を救ったのは、赤い翼をもつ狼だった。自らの危機に幾度となく現れる妖獣を前に太白は——。
翔べ、さもなくば滅べ。衝撃のエキゾチック・ファンタジー!(裏表紙より)

面白かった……。読みながら面白い! という興奮はそれほどないんですが、読み終わった後、じいんと「面白かった」と思う作品でした。それでも真相の辺りはたぎりました。
中華風世界を舞台にしたファンタジー。第二皇子太白の物語に、彼の拾った赤い目の少女が鍵を握っています。軍事の才能に恵まれ、人の良い太白に、義兄は彼を疎んじている。当然兄の裏切りもありますが、それよりもなによりも真相がすごかった。これこそ一国であるなと思いました。
珊瑚のもうちょっと可愛いところを見たかった! というか。彼女の心情がそんなに描かれていないので、寂しかったり。しかし戦記物、王国記物としてとても面白かった。結末がとても清々しい。
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