読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
日本推理作家協会に所属する現役作家たちが、執筆する上で気をつけていることや考えていること、テクニックを、エッセイであったりインタビュー、対談などで語る。作家たちのアンケートも収録。
書くときに気をつけていること、シリーズが続くうちにどのように変化をつけたのか、過去作について語ったり、ミステリーのトリックを思いついたときの話など、いろんな作家がいろんな方法で話している一冊。インタビュアーが作家さんだと作品に対する思い入れや自我が出たりしていて読んでいて面白い。
「ミステリーの書き方」というタイトルではありますが、みんな違っていてどれが正しいというものでもないので、もし書いていく上で行き詰まったら、別方向で書いている人の方法を参考にしてみたり違う方法を一つ試したりということをするための参考書だと思います。少なくとも筆が進まないけどどうすればいいかわからないということはなくなるんじゃないかなあ。
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穏やかな食卓を囲む二人に潜む秘密。盗まれたエクレアが導く驚きの結末。最後の砦のような居酒屋に集う人々の孤独。減量に奮闘する女性が巡り会った恋。美食の上で繰り広げられる女同士の舌戦。幼なじみと再会して作る菓子の味。駄菓子を食べ合う瑞々しい初恋とそれを眺める大人達の切ない祈り……。7人の作家がこしらえた、色とりどりの食べものがたりに舌鼓を打つ絶品アンソロジー。(裏表紙より)
妻帯者の男性と交際していることを惰性と感じている尚子は、彼の故郷の黒豆を茹でている「くろい豆」千早茜。
低予算のドラマの撮影中に「きえもの」の料理が消えた謎を解く「消えもの」遠藤彩見。
偶然立ち寄った居酒屋の客と店の人間のひとときの混じり合い「居酒屋むじな」田中兆子。
芸能界入りしたものの一花咲かせることができないまま、ダイエット企画に挑むことになった女性の「サクラ」神田茜。
テニス部に所属していたメンバー四人が揃ってマウントを取り合う「アドバンテージ フォー」深沢潮。
親しかったかつての幼なじみと大人になって予想外の再会を果たす二人は、胸の中に後悔と悲しみを抱えていた「ほねのおかし」柚木麻子。
他愛のない駄菓子にある懐かしい思いと記憶が混ざる「フレッシュガム」町田そのこ。
それぞれ雰囲気も色合いも異なるアンソロジー……なんですがよく新潮文庫nexで出したな? というちょっと薄暗いトーンの話も混ざっていて、何度も背表紙を確かめてしまった。
個人的には謎解き要素のある「消えもの」と、ラストに向かって体重が軽くなるように話も明るく軽やかになっていく「サクラ」、読みながら苦笑してしまうマウンティング合戦の「アドバンテージ フォー」が面白かったです。
インド育ちのわがまま娘・メアリがひきとられたのは、イギリスのびっくりするほど大きなお屋敷。そこでメアリは、運命的に1つのカギを手に入れる。それは10年前に閉ざされたまま、だれも入ったことがないという〈秘密の花園〉のカギ。大人の力をかりずに庭を生き返らせようとがんばるメアリに、屋敷にひきこもっていた病気がちな男の子コリンも心を動かされて…子どもだけが入れる秘密の庭で奇跡がおきる!(裏表紙より)
「秘密の花園」の児童向け超訳版。多分もっとメアリはインドとイギリスの暮らしの違いに戸惑うし、コリンも含めてわがままもひどいんだろうけれど、優しい人たちに囲まれてすぐに心を癒され「いい子」になる。
児童書らしいなあと思ったのは、恐らく身分差があるメアリ、コリン、ディコンがそんな大人の事情なんて関係なく仲良くしているところ。これがすごくよくって! 本当の友達や味方になったんだろうなあと嬉しくなりました。
じーんときたのは、クレイヴンが帰国を決めるところ。きっと庭にはずっとずっと彼女がいて、子どもたちのことも見守っていたんじゃないかなと想像すると泣けてしまう。
「十二国記」のガイドブック。簡単な作品紹介、用語説明に、小野不由美さんのインタビュー、編集、校閲、装幀、イベントを手掛けた者のインタビューに、寄稿されたエッセイとイラストなどなどが収録。
やはり最後に収録されている、CDブックについたという短編「漂泊」が読めてよかったー! いいと言うまで目を瞑っている、その後。美しい農地を見ることで、多分飢えることのない国に近付いたんだと思いました。あの内乱が忘れられようとするだけの時間が流れて、でも尚隆や六太はちゃんと覚えている、それがわかって本当に嬉しかった。
新しい物語を読みたいという思いは尽きないけれど、小野主上は本当にお身体を第一にしていただきたい……。書きたいなと思ったら書くくらいの気持ちで、いつまでも待てるから……!
激しい頭の痛みでメアリスが目を覚ますと、男がじっと見つめていた。初めて見るモーテルの部屋に、見知らぬ男。思い出そうとしても、ここ数時間の記憶が抜け落ちている。なぜこんな場所に来たのだろう。そして、マッケンジーの兄たちに似て、どこか危険の匂いがするこの男はいったい誰……?(マッケンジーの娘)。MIRAが誇る人気作家、L.ハワード、H.グレアム、P.ジョーダンによるクリスマス・ラブストーリー3点を収録。ファン必読の短編集。(裏表紙より)
調教師の女性ととある特殊部隊の男性の恋を描く「マッケンジーの娘」。
夫を亡くした女性と妻を亡くした資産家の男性の恋を描く「聖夜のウェディング・ベル」。
陥れられたコックの女性と会計士の男性の恋を描く「プディングの中は…」。
三つのお話が収録された短編、短編か? な文量の一冊。
「マッケンジーの娘」は巻末を見るとやっぱり大家族のシリーズものなんですね。家族チートがすごすぎてめっちゃ気になったんですけど、能力的にも立場的にも力のある男性が妻(ヒロイン)たちに敵わないシーンはめちゃくちゃ好きなので楽しかった。
「聖夜のウェディング・ベル」の子どもが関わる内容もよかったな。最後に息子のダニーの気持ちもしんみりした。クリスマスは家族で、という外国の価値観の象徴みたいだった。
「プディングの中は…」は、クリスマスプディングに仕返しを込めるんだけれど、というぎりぎりな行動がはらはらどきどきしました。ハロルドに直接的にやり返してほしかったんだけれど、そこが読めなかったのが残念。でもいま幸せそうで何より!
恩田陸『灰の劇場』を最新作として、これまでの著作ガイドや対談、他作家のエッセイを収録したムック。
対談は少し前のもののはずなのに話していることが完全にいまの時流を言い当てていて、うおっと思って読みました。小川洋子さんとのジャンルの話、純文学とエンタメのどこが違うのかとか、エンタメを書く人と純文学を書く人の違いとか、大塚英志さんとの対談での「どこのジャンルにも属さないで書いている人が、そこかしこにいる」とか、やっぱりみんなそんな風に思っているんだなあと。
あと恩田さんが一年ごとに印象的だった作品をまとめているページがあって、映画のなかに見たことがあって面白いと思っていたタイトルが入っているとめちゃくちゃ嬉しかった。
名探偵だって人間だ。時には恋することもある―小学生ながらもバリバリの“理系女子”理緒が遭遇した謎と、ちいさな恋(「浮遊惑星ホームバウンド」)骨董店を営む兄と検死官の弟が、ある“遺品”の謎を解く(「ローウェル骨董店の事件簿 秘密の小箱」)事故で演奏できなくなったチェリストは、時空を超えたある場所で、天上の音を演奏する少年と出会う(「空蜘蛛」)など、新鋭作家たちが描く謎とキャラクターの饗宴!!(Amazonより)
椹野道流「ローウェル骨董店の事件簿 秘密の小箱」@「ローウェル骨董店の事件簿」
森晶麿「花酔いロジック」
伊与原新「浮遊惑星ホームバウンド」@「プチ・プロフェスール」
宮内悠介「空蜘蛛」
古野まほろ「消えたロザリオ 聖アリスガワ女学校の事件簿1」@「セーラー服と黙示録」
以上六つの短編が収録されています。探偵、謎解き要素があるアンソロジーなんですが何故このタイトルにしたんだろう。ほとんど恋なんて関係ないぞ……。
半分が既刊の外伝に位置する番外編です。本編を知らなくても面白く読めます。「消えたロザリオ」は読んだ覚えがあるんだけれどどこで読んだんだろうな。
突き抜けた設定と探偵と女子学生が登場する「消えたロザリオ」がものすごく目立って読み応えがあって面白かったです。