読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

仕事を失った青年の願いを叶えるべく、彼を訪ねてきた猫。かつて飼っていた猫に会えるという噂のある、ちょっと不思議なホテル。猫飼い放題の町で出会った彼と彼女の恋。猫が集まる縁結びの神社で起きた、恋と友情にまつわる出来事。死後に猫となり、妻に飼われることになった男——。人気作家が描く、どこかにあるかもしれない猫と誰かの日々。全五編を収録。
人生は、悲喜もふもふ。(裏表紙より)
仕事をなくした青年は人車に参拝してある願い事をする。すると猫がやってきて、彼の願った「飯友」になるという。椹野道流「ハケン飯友」。
かつて飼っていた猫にある噂のある少し不思議なホテル。そこにやってきた彼女にはある過去があり。谷瑞恵「白い花のホテル」
猫飼い放題をうたう街で、彼女と彼は出会った。巡り会い、別れ、再び出会う命の話。真堂樹「猫町クロニクル」
猫が集まる縁結び神社。個性豊かな猫たちと、とある三人の男女を巡るちょっとした事件。(梨沙「縁切りにゃんこの縁結び」
不慮の事故から気がつくと、猫に生まれ変わっていた。それも前世妻だった女性に拾われて暮らすことに。一穂ミチ「神さまはそない優しない」。
猫にまつわるアンソロジー。最後の「神さまはそない優しない」が最後びっくりして、うわーって感情が押し寄せて、最後、なんともいえない味わい深い作品だなと思いました。大方が優しい、あるいは残酷で切ないお話の中で、この作品だけはくっきりと悲哀とおかしみが強調されていて、とてもよかった。

憧れだった彼の無理難題に応えようとした少女の一大決心。雪の日助けられた少年が心を込めて作る贈り物。冬休みの宿題と大人の恋愛成就に奮闘する姉弟。新吉原の花魁・玉扇が見つけた本当の愛。密かに想うショコラティエは姉の恋人……かけがえのない気持ちといつも一緒。チョコレートにまつわる愛と涙と笑顔に満ちた珠玉の短編集。甘くほろ苦い秘密の5粒をどうぞ。
いちばん大事なこの思い、このひと粒に託して。(裏表紙より)
姉と別れたというショコラティエの元彼の店に通いつめる少女の目的は。櫻川さなぎ「プラリネ」
カカオからチョコレートを手作りする、無理難題に挑むことにした少女と、それをふっかけた少年のお話。今野緒雪「かぐや姫のチョコレート」
美形である自覚を持つ少女趣味で女装癖のある弟とともに、悩める男女の縁を結ぶ。我鳥彩子「ちょこれと六区〜うちの悪魔で天使な弟が〜」
新吉原の花魁・玉扇が見る吉原の風景と人々と、彼女自身の恋物語。はるおかりの「花わずらい」
家出少年は、保護してくれた男性の温かさに癒され、やがて自らの道を見つける。岩本薫「2/14」
どれもいい甘さ、ほろ苦さのある短編でした。みんな方向性が違って面白いなあ。個人的にストレートにチョコレートに絡めて少女の恋を描いた「プラリネ」と、どう絡むのかわからないまま読んで新吉原の空気を感じさせてくれた「花わずらい」がすごく好きでした。

「はじめての夜」がテーマの5作品からなる恋の短編集。恋人たちが迎える初めての夜にはどんなドラマが…!? 幼なじみから長い年月を経て結ばれたふたり、夢の中の逢瀬から始まる恋物語、身分差を超えた激しい愛…。思わず笑ってしまうラブコメディから、思いがけないラストが待つ華麗な平安絵巻など、それぞれの著者の持ち味を生かした様々なラブストーリーを楽しめる充実の1冊!(Amazonより)
電子オリジナル。
身分の低い母親の元に生まれながら高貴な血を引く少年と、彼の世話を焼くようになった少女。同じ時間を過ごしていく中で、彼のある発見が二人を引き裂く。彼に会うために彼女は……。秋杜フユ「きみのとなりへ続く道」
夢を見ることで過去現在未来へと跳躍し、その出来事を予言して語ることで国を反映させていた姫は、偏屈で邪悪だという魔法使いの元へ輿入れすることになる。椎名鳴葉「夢路の恋人」
望まぬ結婚を強いられている令嬢は、心を許していた執事に監禁される。その理由とは。白崎紗己「罪咎の夜」
魔性と交わった祖先の血を引くがゆえに絶世の美貌を持つ令嬢は、結婚相手にブ男を望むが、現れたのは絶世の美男子だった……という、せひらあやみ「理想の伴侶」
いまをときめく公達である一寸法師に求められて結婚することになったあぐり姫。しかし彼女は彼とのすれ違いを感じていて……という、松田志乃ぶ「花のしとねで君を抱き」
どれも面白かったんですが松田志乃ぶさんは、『新釈グリム童話』のときも思ったけれど秀逸な短編を書かれるなあ、と感嘆しました。この平安ものの短編、すごくよくまとまっているし、少女向けらしさを含みつつ、「はじめての夜」のちょっと官能的な部分も盛り込んでいて面白かった。

味岡市立図書館に、新人司書として採用された稲嶺双葉。
そこで待っていたのは、蔵書目録の作成や、本の受け入れ作業、イベント企画……と、次々に押し寄せてくる「司書のお仕事」だった。
双葉は、先輩司書の花崎智香や、山下麻美の助言を受けながら、一人前の司書として成長していくことになる。(カバー折り返しより)
司書のお仕事ってどういうものなの? という疑問に答えるみたいに、実際の仕事を紹介しつつお話に仕立てた本。なのでみんなが知っているカウンター業務や利用者対応にはほとんど筆が割かれていませんが、裏方でどんな仕事をしているのかわかるので、司書志望の人は読むといいんじゃないかなーと思いました。作中のように丁寧に仕事ができればいいよなあと夢を見つつ……。

テレビ番組「ご本、出しときますね?」の書籍版。芸人の若林正恭が司会進行、二名の作家をゲストに迎えて日常生活や仕事の話をするトークバラエティ。
めっっっっっっっちゃくちゃ面白かった!!
作家さんのインタビューとか対談って、すごくいいことを言ったり、何かを語ったり、意見を述べたりっていう感じばかりな気がしていたんだけれど、これは本当に、自分の内面とか、もっとどうでもいい日常の話をすごく気安く話していて、めっちゃ笑ったしわかるわかると何度も思った。しょっぱなの朝井リョウさんと西加奈子さんの回からぶっ飛んでいて笑いすぎてお腹痛かった。
作家さんのマイルールが人それぞれで面白かった。マイルールというかポリシー? すごくくだらないことでも、日常生活における美学になっている感じ。