読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
いくさに明け暮れる戦国時代、武家の娘として生を受けた女性たちもまた、「それぞれの戦い」を繰り広げていた。関白秀吉の側室となった豊臣家とともに滅びた淀殿、政略結婚に翻弄されながらも将軍夫人の座に収まったお江と、その娘・千姫、貧欲なまでに結婚を追い求めて幸せをつかんだ徳川家康の妹・多劫、鎧をまとって戦場に立った大三島の鶴姫……。乱世に生きた姫君を描いた傑作短篇七作。(裏表紙より)
海音寺潮五郎「岐阜城のお茶々様」、邦光史郎「海の女戦士(アマゾネス)」、早乙女貢「奥羽の鬼姫——伊達政宗の母」、安西篤子「泣き笑い姫」、野村敏雄「八丈こぶな草」、南條範夫「姫君御姉妹」、澤田ふじ子「千姫絵図」という短編が収録されています。どれの戦国時代の姫たちのお話です。
一番好きだったのは「泣き笑い姫」です。徳川家康の妹、多劫の、ふくふくとした図々しさと明るさが楽しい作品で、他の話の姫たちが翻弄されたり、憎しみの種を抱えていたりする中、強く生きる女性らしさが面白くて。武家の姫だからといって、悲嘆ばかりではないし、受容ばかりではないと思うのです。ちゃっかりしている多劫は、だからとても素敵だった。
戦国時代は、どうしても有名人だとイメージが先入観になってしまい、しっくり来ないと本当に最後まで違和感が残ったままなので、その違和感を解消してくれる話だったり、名もなき人たちや、それらしい人の話が、面白いと思います。時代小説や歴史小説ってあんまり読まないけれど、これから読んでいきたい。
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佐々木マキのナンセンス・ワールドにようこそ!
佐々木マキという作家は、きわめて多彩な表情を持っています。その名前は聞く人によってさまざまに異なったイメージを呼び起こすことでしょう。たとえば、子どもの頃に読んだ忘れられない絵本の作者。あるいは1960年代末に「ガロ」でセンセーションを起こした前衛マンガ家。はたまた村上春樹の初期小説の装画なども手掛けるイラストレーター……。本書は、多様な分野で活躍する佐々木マキの仕事を一望する、画期的な入門書です。また、未発表のイラストや資料も多数収録した、貴重な作品集でもあります。(帯より)
絵本の『やっぱりおおかみ』がすごく好きで、でもその他のものがとても意味がわからん! と思っていた作家さんだったので、ちょっとどういう作品を描いているのか知りたくで読みました。村上春樹の初期作品の装画をやってたの知らなかった!
ユーモラスなのにどこか恐くて、理解できなさそうだなと思っていたんですが、ちょっと分かったようなそうでないような気がします。絵本作品になるとぐっと近付いた気がします。でも、分かろうと思って読み取ろうとするのではなく、感じ取ってなんとなくこういうものなのだなと思うことが大事だというのが分かって、そういう楽しみ方もあるのだなと納得しました。そうすると、私はやっぱり、佐々木マキさんの作品が恐いよ!
「レイアウトシリーズ」とは、様々なレイアウトの作例を、デザイン要素ごとにテーマ分けして特集していくシリーズです。作品のビジュアルだけではなく、制作者のデザインコンセプトを掲載すると共に、可能な限り使用されているフォントと用紙を併載しました。
別冊となる本書は、書籍にまかれる帯のデザイン特集です。日々大量に発行されている書籍の中から、優れた帯デザインを多数ピックアップして、ジャンル別に収録。ブックデザインの要素として、「帯」をフィーチャーし、効果的にデザインされている作品を紹介します。(カバー折り返しより)
ブックデザインの本はあれど、帯に注目した本ってなかなかないと思ったので。「趣味・実用」「アート」「文藝」「エンターテインメント」とデザイナーさんへのインタビューが収録されています。やっぱり文藝に注目してしまうのは、好きだからだ。
フォントや用紙やデザイナーさんの名前が掲載されているわりに、写真の取り方がもうちょっとどうにかならなかったのかとか、デザイナーさんのコメントが載るべきところにインタビューしきれてないじゃんというコメントが載ってたり、若干惜しい作り。けれど、帯デザインについてのコメントが面白く、どういう目的意識を持ってそれを作ったのかが覗けて面白かった。
瀧晴己さんがインタビューし、上橋さんが語った本。語った本とは言っても、インタビューが挟まるわけではなく、エッセイのようなごく自然な文章になっていて、非常に読みやすくてよかった!
上橋さんがどのような家庭に育ち、本を読み、作家を志し、また研究者となったのかが分かる。物語を書ける人は、自分のこともきちんと観察してちゃんと生きているんだな……と我が身を振り返ってしまった。靴ふきマットの上に、私もいる……。そこから飛び出して、まったく違う文化や価値観のものを見つめるのは、体力も精神力も必要なんだろう。気持ちが強かったんだろうなあ。
ところでびっくりしたのが上橋さんと女優の片桐はいりさんが高校の同級生だったということでした……。すごい人はすごい人と出会っているものだな。
最後に上橋さんが読んだというブックリストもあり、すごく面白い一冊でした。
もはや、少年少女が出会うような、初々しい恋じゃない。変わらない恋心なんてない、そんなのとっくに知っている。だけど……。大人になっても「こんなの初めて」ってあったんだ。すれ違いや別れをくり返してきた彼らだけが知る、「最初で最後」のかけがえのない瞬間たち。8人の作家が描き出す、経験してきたすべての恋を肯定したくなる珠玉のアンソロジー。最後の恋、それはつまり、自分史上最高の恋。(裏表紙より)
最近アンソロジーで短編を読むのが好きなので読む。
三浦しをん「春田の毎日」谷村志穂「ヒトリシズカ」阿川佐和子「海辺食堂の姉妹」沢村凛「スケジュール」柴田よしき「LAST LOVE」松尾由美「わたしは鏡」乃南アサ「キープ」角田光代「おかえりなさい」この順番に掲載。
すごいいい味わいの短編だなあと思ったのが角田さんの「おかえりなさい」、ラストがよかった柴田さんの「LAST LOVE」、初めて読んで阿川さんいいなあと思った「海辺食堂の姉妹」、予想通り面白かった「春太の毎日」という印象です。
最後の恋、で引っ張ってくるのが皆さん結婚と離婚だというのが面白いなあ。その中で「ヒトリシズカ」や「わたしは鏡」「キープ」がいい案配で挟まっていて、それぞれの短編が味わい深い。面白かった。
はじめて、本気の恋をした。
はじめて恋を失って、はじめて本気で好きだったのだと気づいた——。有川浩、朝倉かすみ、梨屋アリエ、石原まこちん、吉野万理子、紺野キリフキ、宮木あや子ら七人の人気作家たちが、人生はじめての大切な失恋を綴った小説アンソロジー。終わった恋、始まらなかった恋、始めてはいけなかった恋……七人七色の失恋のカタチ。はじめての失恋には、恋愛のすべてがつまっている。(裏表紙より)
有川浩「失恋の演算」朝倉かすみ「ノベライズ」梨屋アリエ「FreecyLove」石原まこちん「タマママーンを探して」吉野万理子「マリン・ロマンティスト」紺野キリフキ「とげ抜き師」宮木あや子「はじめてのお葬式」以上七作の短編アンソロジー。
有川浩さんの短編を読んでみたかったのと、宮木あや子さんの作品を読みたかったので。
紺野キリフキさんの「とげ抜き師」はどこかで読んだな。宮木あや子さんの「はじめてのお葬式」は『セレモニー黒真珠』(未読・積んでる)に収録されているのを確認。
一番好きなのは「はじめてのお葬式」なんですが、「失恋の演算」も切なくて双子ならではのあれでそれで、とても胸が締め付けられました。どんなに鬱屈した思いがあっても、ちゃんと前を向ける登場人物はよいものです。