読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
恩田陸『灰の劇場』を最新作として、これまでの著作ガイドや対談、他作家のエッセイを収録したムック。
対談は少し前のもののはずなのに話していることが完全にいまの時流を言い当てていて、うおっと思って読みました。小川洋子さんとのジャンルの話、純文学とエンタメのどこが違うのかとか、エンタメを書く人と純文学を書く人の違いとか、大塚英志さんとの対談での「どこのジャンルにも属さないで書いている人が、そこかしこにいる」とか、やっぱりみんなそんな風に思っているんだなあと。
あと恩田さんが一年ごとに印象的だった作品をまとめているページがあって、映画のなかに見たことがあって面白いと思っていたタイトルが入っているとめちゃくちゃ嬉しかった。
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名探偵だって人間だ。時には恋することもある―小学生ながらもバリバリの“理系女子”理緒が遭遇した謎と、ちいさな恋(「浮遊惑星ホームバウンド」)骨董店を営む兄と検死官の弟が、ある“遺品”の謎を解く(「ローウェル骨董店の事件簿 秘密の小箱」)事故で演奏できなくなったチェリストは、時空を超えたある場所で、天上の音を演奏する少年と出会う(「空蜘蛛」)など、新鋭作家たちが描く謎とキャラクターの饗宴!!(Amazonより)
椹野道流「ローウェル骨董店の事件簿 秘密の小箱」@「ローウェル骨董店の事件簿」
森晶麿「花酔いロジック」
伊与原新「浮遊惑星ホームバウンド」@「プチ・プロフェスール」
宮内悠介「空蜘蛛」
古野まほろ「消えたロザリオ 聖アリスガワ女学校の事件簿1」@「セーラー服と黙示録」
以上六つの短編が収録されています。探偵、謎解き要素があるアンソロジーなんですが何故このタイトルにしたんだろう。ほとんど恋なんて関係ないぞ……。
半分が既刊の外伝に位置する番外編です。本編を知らなくても面白く読めます。「消えたロザリオ」は読んだ覚えがあるんだけれどどこで読んだんだろうな。
突き抜けた設定と探偵と女子学生が登場する「消えたロザリオ」がものすごく目立って読み応えがあって面白かったです。
『どうしようもなくつらくて苦しい時、傷つき、疲れて、もうこの夜を乗り越えられそうにない……。そんな時に、あなたの心がほんの少しだけでも楽になることを願って。』(裏表紙より)
「死にたい」「消えたい」と思ったとき。どうする、どうしたらいい、どうしよう、という話を作家や医師、芸能人などが語る短いエッセイをたくさん収録したもの。
やっぱりみんな死んでしまいたいと思ったことがあって、でもそのきっかけを得ることなくなんとか生きている人たちなんだな。そしてそういう人たちが一線を超えないよう働きかける人たちの存在がある。
やっぱり春名風花さんの書いたものが印象的だったなあ。この本、2020年11月のもので、春名さんが裁判を終えた後の話が書いてある。毎日が死と隣り合わせだった気がする、と書きながらも、毅然と、間違っている方が悪いと主張し続けた春名さんは強い。社会におけるいじめで、いじめた方が悪いのにどうしていじめられた方が逃げなきゃいけないの? という不公平なところと戦ったようにも思えて、勇気をもらえた気がする。でも戦う選択をできる人が多くないという事実が悲しい。
定番の氷室冴子や折原みと、みんな大好き小野不由美・須賀しのぶ、直木賞作家の知られざる傑作からマニアックな逸品まで…目利きが選んだ珠玉の名作が勢揃い!(帯より)
「少女小説」あるいは少女を主人公とした成長や冒険、恋などの物語を紹介するブックガイド。どちらかというと多くの人に知られている作品や、いま手に入りやすい作品の紹介が多かった気がします。私でも読んだことのある作品がすごく多かった。
いやあ、自分が「面白い」と思って手元に残している本が紹介されているとすごく嬉しいですね! こんなマイナーどころに来たか! みたいな。
で、ですね……このブックガイドの何がすごいかというと、冒頭の津原泰水先生や若木未生先生のインタビューだと思うんですよね……。特に若木先生の話、怖くて辛くて震えました。なんというか、そういうランクの作家、作品として考えられていたってことかなって……。
いきなりネットに名前をさらす、大声で値引きを迫る、新人パートタイマーを退職に追い込む——それは、ごく普通の「お客様」だった。広がる一方のカスハラ(顧客の迷惑行為)。誰もがクレーマーになりうる“サービス過剰時代”に、知っておくべき事例と対策を徹底取材。(カバー折り返しより)
いまようやくメディアでも報じられるようになった「カスタマーハラスメント」について実例とともにまとめられた本。2019年8月の発行です。
スーパーのレジ係、介護従事者、コンビニ店員、サービス業、タクシードライバー、といったお客様から理不尽なクレームをつけられやすい人たちの実例が、読んでいて胸に痛い。いるよなあ、こういうお客さん……と遠い目になる。
元クレーマーだったという人のインタビューも入っていますが、最終的に「認められたいから」という結論に至ったのはちょっと短絡的なような気がする。確かに事実としてその理由は存在するんだろうけれど、もっと多岐にわたっているというか、根深い気がするんですよね。
いまだったらまた他の本も出ているのかな。気になるから読んでみたい。
いま、「子どもを守る仕事」、すなわち児童福祉の仕事が見なおされています。社会がゆがみ、その悪影響が未来ある子どもに及んでいるからです。本書では、保育士、教員、児童養護施設職員、児童相談所職員、里親など、子どものいのちと生活を守る職業の魅力と意義、働き方を考えます。(裏表紙より)
児童福祉について、対談形式で考える本。日本の児童福祉の歴史、現在の状況、児童福祉に求められる力、考え方について。
前線にいる人たちの問題提起は、重いなあ。実際の支援が行き届いていない、あるいは見当違いの方向に進んでいると感じる。そして子どもを支援する状況の根っこには、貧困問題がある。このコロナ化の状況でそれがますます加速するのを思うと暗澹たる気持ちになる……。
「アニメ世界への扉」
森下孝三、高橋洋子、荒牧伸志、神山健治ら日本のアニメ制作に携わる人々へのインタビューを試みるドキュメンタリー。
アメリカの番組なので、日本はこんな風に見えるんだなあ、という画面が面白かった。「独特な」「不思議な」文化があると感じられるように描かれているのはわざとなのかな。それともそんな風に感じるのは私が日本人だからだろうか。
日本のアニメの世界を知るための入り口という感じで、深く突っ込んだ話はあまりなかったのですが、Netflixでこれを見た人が続いて、この番組に登場した作品を見て感じるものがあったら嬉しい、などと思ったのでした。
森下孝三、高橋洋子、荒牧伸志、神山健治ら日本のアニメ制作に携わる人々へのインタビューを試みるドキュメンタリー。
アメリカの番組なので、日本はこんな風に見えるんだなあ、という画面が面白かった。「独特な」「不思議な」文化があると感じられるように描かれているのはわざとなのかな。それともそんな風に感じるのは私が日本人だからだろうか。
日本のアニメの世界を知るための入り口という感じで、深く突っ込んだ話はあまりなかったのですが、Netflixでこれを見た人が続いて、この番組に登場した作品を見て感じるものがあったら嬉しい、などと思ったのでした。