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盗神伝〈2〉アトリアの女王(前篇)―復讐盗神伝〈3〉アトリアの女王(後篇)―告白
「神よ、やめてくれ!」
アトリアの女王にとらえられた盗人ジェンはあまりにも残酷な刑を受けなければならなかった——。
アトリア、エディス、ソウニスの三国間の緊張が高まるなかは以後からせまりくる強大な帝国メデアの影……!?
戦いの渦は、それぞれの思惑を巻きこみ、さらに大きくなっていく——。(前編、折り返しより)

アトリアに侵入したジェンが、惨い刑を受けるところから物語開始。
わくわく冒険ものっていう児童文学おなじみな感じがあんまりなくて、政略がメインな感じがした。1の一人称から、2は三人称へ変わっているけれど、相変わらずしっかりした足取りで進む物語。
もし子どもから大人になることへの物語だとしたら、これほどきつい話はないなあと思う。右手を切り落とすのは、主人公としてはあまりに過酷だ。前編ラスト「……いかせてくれ」の辺りは、なんか暗く笑っているジェンが浮かんだ。
後編ではアトリアの女王を盗むと決めたジェン。ジェンのアトリアの女王に対する思いが告白されて、ぶっ飛んだ。でもなんとなく、ジェンは寂しいと感じている人、自分が不足していると思っている人などに感情を寄せている気がする。つまり放っとけない感じ。
アトリアの女王が『ひとり』である、ということをうまく使っているオチだったなと思った。そんな気はしていたのだけれど、もしこれでアトリアの女王に信頼される家臣がたくさんいたなら、このオチはあっというものになっていなかったかも。
アトリアの女王とエディスの女王の、名前呼びの周辺がとても好きだ。女王の仲良しは良い。
不思議な印象の物語だなあ、本当に。軽い感じはしないし、とことんファンタジーなわけではないし、冒険でもない。でも輪郭が濃く太い感じがした。
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