読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
この学校の花子さんは、音楽室から飛び降り自殺した少女の霊です。花子さんは階段に棲んでいて、一生懸命掃除すれば会うことができます。でも、彼女がくれる食べ物や飲み物を口にしてはいけません。嘘をついてもいけません。さもないと——。おまじないや占い、夢中で話した「学校の七不思議」、おそるおそる試した「コックリさん」。青春ミステリの旗手・辻村深月の怪談! 異なる味わいの懐かしくって怖い珠玉の奇譚集。(裏表紙より)
その学校の「花子さん」にはいくつかの決まり事がある。夏休みの当番で出勤してた教師は、忘れ物を取りに来たという実習生と花子さんとある事故について話す。「踊り場の花子」。
ブランコから落ちて亡くなった児童がいた。他の児童から聞き取りをする形で明らかになったのは、彼女たちが「キューピッドさん」をやっていたこと、そしてクラス内カーストに苛まれていたことだった。「ブランコをこぐ足」。
過疎の山奥に暮らす、認知症を患った祖母と足の不自由な祖父の二人暮らしの家。この家を片付けるべくやってきた長女一家だが、家のあちこちから死体が出て来て……。「おとうさん、したいがあるよ」。
未来を見ることができるという鏡のおまじないを試した女性の悲劇。「ふちなしのかがみ」。
クラスメートから疎外されるようになり、地位を取り戻そうとついた嘘の友達の存在のせいでますます孤立する少年。しかしある日本当にその子が現れる。彼はいったい何者なのか?「八月の天変地異」。
悪い夢みたいな「おとうさん、したいがあるよ」という上手く読み解けない、どこまでも不気味な作品があるかと思えば、子どもの苦しい気持ちが犯した過ちとそれを救うような人の善意が起こした奇跡と寂しさを描くような「八月の天変地異」があり……と、さすがの辻村作品。
しかしやっぱり「八月の天変地異」がいい。とてもいい。成長した彼らが子どもだった自分を受け止めて、いまはまったく広い世界で生きていると感じられるラストがよかった。だって「部活仲間とうまく話せるだろう」って、学校や会社なんて枠を飛び越えたところで仲良くなれるって知っているから出てくる一文だよね。
PR