読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
帝ご寵愛の猫はどこへ消えた? 出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、清少納言が牛車に繋いでおいたにもかかわらず、いつの間にか消え失せていた。帝を慮り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが——。気鋭が紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たち、そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を鮮やかに描き上げた絢爛たる王朝推理絵巻。鮎川哲也賞受賞作。(裏表紙より)
のちに紫式部と呼ばれるようになる女性を主人に持った、あてき。あてきは猫が大好きでしょっちゅう拾っては世話をしている。そんなあてきの少女時代の、猫失踪事件。彼女が大人になって夫を迎えた頃に起こった、失われた一帖の謎。二つの事件と源氏物語が絡み合う話。
ミステリーというよりはなんというか、その当時の女性の立場や、女性のものだった仮名、その文学がどのように扱われ、受け止められていくかということの方が読んでいて興味を惹かれたなあ。自分の書いたものがどんどん世に出て、自分でコントロールできなくなる恐怖も描かれながら、時の権力者にいろいろなものがあっけなく奪われてしまう時代、あなたであっても「人の心は自由におできにならない」と言い切る紫式部、自分の聖域を守った彼女が気高くてかっこいい。
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