読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
伊豆の地にひとり流された源頼朝は、まだ十代前半の少年だった。土地の豪族にうとまれ、命さえねらわれる日々に、生きる希望も失いがちな頼朝のもとへ、ある日、意外な客が訪れる……かつて、頼朝の命を不思議な方法でつなぎとめた笛の名手・草十郎と、妻の舞姫・糸世の運命もまた、この地に引き寄せられていたのだった。
北条の領主に引き渡され、川の中州の小屋でともに暮らし始めた頼朝と草十郎。だが、土地の若者と争った頼朝は、縛り上げられて「大蛇の洞窟」に投げこまれ……?
土地神である神竜と対峙し、伊豆の地に根を下ろしていく少年頼朝の姿を描く、日本のファンタジーの旗手・荻原規子の最新刊。(カバー折り返しより)
久しぶりに萩原さんの文章を読みましたが、するすると読めて楽しかった。心地いいなあと思いました。
『風神秘抄』の主人公だった草十郎と糸世が、因縁の寄り合わさってしまった頼朝を救い、自分たちにかかった影とどのように立ち向かうかという話です。きっと視点が彼らのままだったらもっと深刻にうじうじしていたんだと思うんですが、頼朝は序盤は状況の世もあって後ろ向きだったものの、ものの見方や考え方がちゃんとしているおかげもあって、草十郎たちの手助けも得ながらまっすぐに神意に対することができていて、すっきり終わってよかった。
だいぶと短い話でもあるんですが、その中でもきらりと光る個性の持ち主がたくさんいますね。嘉丙や河津三郎なんかは特にそう。嘉丙は、大事な時にはいないんだけどなんだか憎めないんだよなあ。
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