読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
右足骨折で入院中の、人生に疲れ果てた中年男が、病室の衝立越しに出逢った女と不思議な一夜を過ごす。それからしばらくして彼女と再会したとき、驚くべき奇跡が起こっていた——。孤独を知り尽くした中年の男と、時間の流れに逆行して生きる女との激しい愛の日々。しかし二人で同じ夢を見ることはできない……。男と女の切ない愛と孤独を、ファンタジックに描いた感動の長編小説。(裏表紙より)
あらすじから想像しなかった話だったのでびっくりしながらも、好きな話でした! 電車の行き帰りで読んだのですが、読んでいる途中で人にこの本の説明をするとき、ネイサンの『ジェニーの肖像』みたいな話ということを喋ったら、終盤でこのタイトルが出てびっくりしました。『ジェニー〜』がすごく好きなのだ……。
作中でも語られるように、ジェニーは芸術家の霊感のような存在でしたが、『飛ぶ夢〜』のヒロイン・睦子は、主人公である中年男の性愛の対象となっている。この二人の結びつきが、物悲しく、わびしい。お互いを求めているのに絶対に共に歩むことができない二人の暗い影が常にあって寂しい雰囲気が終始漂う。何も解決していないし何の謎も明かされないけれど、淡々とした中にあるエロチックさと陰影、切なさがしんと積もる小説でした。
静かに面白かったです。オススメありがとうございました!
PR
この記事にコメントする