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血のごとく赤く―幻想童話集 (ハヤカワ文庫FT)
さあ、お聞きなさい、グリマー姉妹のおとぎ話を。美しいけれど邪悪な王女や可憐な姫君をまどわす魔物の王子、闇の公子に恋した乙女や狼に変身する美少女たちがくりひろげる、美しく妖しく残酷な九つの物話を……。ダーク・ファンタジイ界の女王がグリム兄弟ならぬグリマー姉妹の名を借りて、「白雪姫」「シンデレラ」「美女と野獣」「ハーメルンの笛吹き」などおなじみの童話をモチーフに織りあげた、魅惑の幻想童話集。(裏表紙より)

面白かった! 好きだー好きだー!
おとぎ話のパロディなのですが、このダークファンタジーの、おとぎ話を別の形で表現したお話の虜になってしまいました。おとぎ話とはこういう側面もあるべきだよ!(と知った風な口をきく)
紀元前から未来にまでそれぞれのお話の時代が設定されているのが、とても面白いなあ! 特に「墨のごとく黒く」なんか、おとぎ話や不思議がそれまでと比べて少し変質した、というような20世紀を描いていて、その後の未来のお話「緑の薔薇」は再び神秘が戻ってきた時代で、という風に読めて、すっごく興味深かった。
「黄金の綱」が好きです。ご存知の方は「お前やっぱりロマンスか……」と思われるでしょうが、このロマンスがただものでない。人形として育てられた少女が、魔女の道具として扱われながら、最後にあっと声をあげる童話のような結末を迎える。ダークファンタジーがほとんどのこの本の中で、翻弄されながら目覚めていくような少女の物語の結末は光り輝き、けれど青い闇のような空気を嗅がせてきて、すごく好きだと思いました。
この本すごく好きだー。幻想物語、特にメルヘンとダーク方面がお好きな方にオススメ。
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