読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
温かかった。
春の陽射しも、寄り添う互いの体温も。
憶えている? と、鳴は颯音に問いかける。
「この『故郷への旅』に出ようとあなたが告げた日の約束」
明るい浅藍の空と、それよりも深い色をした水。颯音の故郷の海を見つめながら、鳴は訊ねる。
颯音は、頷く。
傍らの鳴の温もりを感じながら。憶えている、と。
赤く色づき始めた楓の葉が舞う中で交わした約束。小さな命が、その腕の中にあった日。
夏と秋と初冬——巡る季節を二人は思い出す。
幾つかの出会いと別れを。
再び出会うであろう、懐かしく優しい人々のことを。
鳴と颯音、二人の軌跡を綴る、初の短編集。(カバー折り返しより)
これの前に伍之帖を読んでしまっていたので、この短編集のほのぼの感が嬉しいやら切ないやら。
本編そのものは鳴と颯音の一人称の交代で進むので、他の登場人物の視点でお話が語られるのが面白いなあ。他人の視点から見る鳴と颯音が好きだ。なので「撫子色の約束」が好きだし、ちょっと不思議なお話でもある「早緑月を待つ冬陽」が好きだな。
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