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「ボクたちはみんな大人になれなかった」
46歳。つまらない大人になってしまった。テレビ番組の制作会社で働く佐藤は、ある日Facebookに初めて付き合った彼女のアカウントが表示されていることに気付く。そこには家族と「フツー」の幸せな日々を送る姿があった。結婚を決めておきながらそうはならなかった彼女、その前の、売春をしていた外国人の彼女、そして初めての彼女……現在と過去を思いながら佐藤がたどり着いたのは。

全員が未熟で、何かが足りずにいた。そうして何も変えられないまま日々を続けていく、どうしようもなさを感じる作品だったなあ。「フツー」という言葉への、嘲りと、どうしようもない羨望。そうなりたいけれどそうなりたくないという相反する気持ち。子どもにも戻れないし大人にもなりきれないのって苦しい。仕事をし、結婚して家庭を作り、子どもを育てるという「フツー」、すなわち大人になれずにいる佐藤なので「ボクたち」で括っちゃいけないんじゃないかな、なんて思っていたので、最後の「ボクたちはみんな」で止まる一文の余韻がよかった。私ならこの文章を「ボクたちはみんな大人になりたかった」と書くだろうな。
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Author:月子
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