読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
山間に暮らす羊飼いのイングヴァルとマリアは、ある日羊が出産した「羊ではない何か」をアダと名付け、家族として暮らし始める。奇妙なものとの不思議で穏やかな生活は、イングヴァルの弟ペートゥルが転がり込んできたことでゆっくり崩れ始める。
羊から生まれた「何か」と共同生活を送る夫婦。アダと名付けられたそれは幼い子どもと変わらず、とても可愛らしくて愛おしい。殺すべきだと言っていた義弟も彼女の存在を受け入れた……それだけで終わったらいい話なんですけれど、イングヴァルとマリアの精神状態がおかしいのは冒頭から明らかで、陰鬱な風景とともにひたひたと嫌な予感が満ちていく。
出産した我が子を求める母羊に対する仕打ち、ペートゥルの性的な執着、ここが隔絶された場所だから起こるんだろうという秘密の空気が、多分「ソレ」を呼び寄せたんだろうというラスト。なるべくしてなったんだろうという結末で、なんとも言えない……。でもいまもこの世界のどこかでこういうことが起こっているのかもしれないなあ、なんて思ったのでした。
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