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 母の看病のため、学生らしい時を過ごせてこなかった慶子さんは、高校三年生を目前とした春の朝、ケーキのような甘い匂いに誘われ和菓子屋「寿々喜」に辿り着く。店員の青年に招かれ店内に入ると、出されたのは小さな“どら焼き”。そう、あの香りの正体はケーキではなく“和菓子”だったのだ。
 和菓子の魅力に惹かれ、お店に通い始める慶子さん。だが、進級後の新しいクラスで、慶子さんの隣の席になったのは、なんとあの和菓子屋の店員さんで……!?
 四季折々の和菓子と、ほんのり甘くじんわり優しい恋物語をどうぞ。(裏表紙より)

いい子たちのいいお話すぎて泣いちゃった……。謙虚で優しく、人を思って行動できる慶子さんのことをみんな好きになっていくのが本当に嬉しくて。そんな慶子さんのことを好きになって大事にしてくれる人たちの存在が嬉しくて。
高校三年生、和菓子さまこと鈴木学くんとの出会いによって高校生活を謳歌する慶子さん。そこにはもちろん将来への悩みや恋のこと、家族の話もあり。いくつかの不穏がありつつも高校生らしいしなやかさ、悲しい出来事で成長した大人びた精神によってゆっくりしっかり乗り越えていく彼女たちが眩しい。
でもやっぱり泣いてしまったのは学くんが昔から慶子さんを見ていたこと。直接言葉を交わさなくても、何かしなくても、あなたのことを助けたい、幸せになってほしいと見守ってくれていた人がいたんだっていうのが、いまこの瞬間に繋がっていたんだって思うと泣けて泣けて仕方がなかった。この日までしっかり自分を見失わなかった慶子さんはえらいし、この年に行動した学くんもえらかった!
最後の幸せそうな二人のエピソードが嬉しくて、つい小説家になろうに掲載されているショートストーリーを読みに行ってしまった。
本当に素敵な物語でした。ありがとうございました。
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Author:月子
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