読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ロンドン首都警察に勤めるニコラスは超エリート警官だったが、その活躍ぶりを疎まれて田舎のサンドフォードに左遷されてしまう。犯罪がほとんど起こらない町でいい加減な仲間たちの囲まれて浮きまくるニコラスだったが、あることをきっかけにこの町がおかしいことに気がついて……。
楽しいお馬鹿映画。四角四面の警察官とちょっとお馬鹿な面々のドタバタ劇。仲間だったり友情だったり、こうなってほしいなあという展開を面白く描いてくれて笑えたしすかっとしました。笑わせてくれる安心感っていいものだなあ。グロいシーンも含めてこれがやりたかったんだなあという全力さも見えて、他の作品も俄然見たくなった。
ダニーがいい相棒になる過程ににっこにこしてしまったし、そういう善良さが物語の重要なところを握るのがいいな。
面白かったです。
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隻眼のクボは三味線を弾きながら折り紙に命を与える不思議な力を持っていた。母であるサリアツは意識がはっきりしているときとそうでないときがあり、ときどき明朗に父ハンゾウの物語を語ってくれる。母の具合がよくないこともあって父を恋しく思うクボは、祭りの日、村人たちに混じって死者に呼びかけるが、母との約束である日没までに帰宅することができず、自身の右目を狙う闇の姉妹たちと遭遇して……。
「リメンバー・ミー」と混同していた。弦楽器を弾きますが三味線です。和風です。折り紙です。
孤独に耐えながら生きる少年がすべてを失い、旅に出て、失ったものたちとしっかり別れを告げる。成長物語としての王道を行きつつ、しっかり戦闘シーンもある。また折り紙の動きがいいんだよなあ。魔法って感じがする。
冒頭の母親の設定が珍しくて、驚きつつも結構辛かったです。それから不在になる流れと、きちんと別れられるところが物語のいいところだなと思いました。
いやでも月の帝の処遇はどうなんだろう。憎まれるよりは許される方がいいけれど、勧善懲悪的ではなく愛を持って許される方が尊いという価値観でああいう描写だったのかな。
見つけたよ、僕らの居場所を。カラマツの葉が金の雨のように降り注ぐ地に、それはある。なんだか風変わりな才能を持て余してる僕らを、特別能力期待生として受け入れ伸ばしてくれる場所、それが寄宿舎水光舎。不安で、自信がなくて、何者にもなれないのじゃないかと怯えるいくつもの夜を越えて、僕らはここで自分というものを手に入れられるのだろうか? 青春小説の新たな収穫!(裏表紙より)
いい内容紹介文だなあ。居場所を探し、何者になれないかと怯える僕らの物語。春夏秋冬、四つの短編。主人公はそれぞれ別ですが、不思議系の異能か大人顔負けの技術力を持っている少年少女たちの、季節の一つだけを過ごす特別な学校での出来事が綴られている。成長物語だったり恋愛だったり謎解きだったり冒険だったり。それぞれ違っていて面白かったですが、「サマー・スクール」の女子の結託が読んでいてわくわくしてしまいました。お話そのものは少し悲しくもあるんですが、特別な場所で仲間同士協力し合うというのはやっぱり楽しいな。
恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮は、恵まれすぎている男たちの金を巻き上げることに、なんの罪悪感もなかった。次のカモにと狙ったのは、総合病院の長男である医者の加賀谷。呆気なく騙され蓮に夢中になる加賀谷を、内心馬鹿にしていた。なのに——生真面目で真摯な愛情、穏やかな逢瀬。加賀谷と過ごす優しい時間に、知ることのなかった感情が湧き起こるが……。(裏表紙より)
本屋大賞を受賞されたとのことで、まずは過去作品を読んでみようと手に取りました。
めっっっっっっっっっちゃくちゃ好みでまいった! 何回泣きそうになったか!
詐欺師の青年が、不器用ながらも優しい実直な青年と恋仲になるんですが、騙している罪悪感はさることながら、蓮の生い立ちに関係する描写が辛くて切なくて切なくて。すごく丁寧に、美しく書く方だなあ、と過去作と最新作に俄然興味が出てきました。
いや本当に。蓮の描写もいいんですけれど加賀屋の台詞がいい。ただ優しいだけの男じゃないことが伝わってくる。育ちの良さとか、不器用さの裏に、積み重ねられた葛藤と柔軟さを感じます。いい男だなあ。
ワケあり王太子殿下とようやく結婚した、貧乏伯爵令嬢リネット。アイザックの素敵な旦那様ぶりにうっとりしつつ、自分も王太子妃として相応しくなろうとがんばっているけれど……。
王太子妃づきの侍女選びは難航するし、初めて主催したお茶会も不測の事態で中止することになってしまって!?
これって私が新米の王太子妃だからですか! それなら、なめられないように、男装してでも切り抜けてみせます!!
ワケあり王太子殿下と貧乏令嬢の王宮ラブコメディ第6弾!(裏表紙より)
新婚な二人の次なるお話。にわか令嬢の好きなところって、王宮もので王太子殿下との恋とか婚約とか恋愛ファンタジーのお話でがっつりアクションしたりド派手な展開になったりするところなんですけれど、6巻すごかった。
それからアイザックの凄まじさと、リネットとの関係が夫婦になっても変わらないところがいいなあと思いました。お互いを「素敵な人」だと思っているところが実に新婚。微笑ましい。今回は新しい味方を得たようなので一安心かな?
そして巻末のレナルドお兄様のSSが、切なくもほろりとしました。まあそうだよね、そう思っちゃうよね……不憫なような、切なくて愛おしいような。いい人が見つかってほしい。
寿町四丁目にある、通称〈椿屋敷〉。そこに住む柊一は、若くして隠居暮らしをしているため、若隠居と呼ばれている。そんな彼のもとに嫁いできた、十九歳の香澄。しかしそこには秘密があった。ふたりは利害の一致から結婚した、偽装夫婦なのだ。町の相談役である柊一のもとには、たびたび近所から相談が持ち込まれるが——。「家」が語る、わけありな人々の物語。
寿町四丁目〈椿屋敷〉——それが私だ。(裏表紙より)
家という第三者かつだいたいの事情を知っている視点から語る、偽夫婦がちょっとずつ近付くのを見守るお話。二人がぎこちなさがずいぶん可愛くて、上手くいってほしいなあと見守りたくなってしまう。
ご近所の小さな事件を解決したり、椿にまつわる課題を解いたりと柊一が頼りにされているところがわかるのがまたよくて、さらに香澄さんがちょういい子。家庭的すぎるところがあるのでもうちょっとわがままを言ってほしいなあなんて思ってしまうのですが、私も嫁に欲しいです。
仕えている少年王子が大好きすぎる女官サリカ。彼女は、わけあって日ごろから結婚をしないと公言していたのに、急に女官長から執拗にお見合いを勧められてしまう。きっぱりと断っても、女官長は止まらない!無理やり出会いの場を作られ、サリカは窮地に立たされてしまった!!
そのとき颯爽と現れ救ってくれたのは王の騎士ラーシュだったのだが……。この男、なぜかサリカの命令に無意識に従ってしまうようで!?
女官と下僕騎士の王宮ラブコメディ!(裏表紙より)
これ一冊で終わっていなかった! 二人の仲がいい感じに進展したところで、黒幕の謎がわからないままという凄まじく気になる終わり方。
最初からだいぶと説明不足のまま話が進んでいて置いてけぼり感があったのですが、中盤になるとサリカの頑張っているところや苦悩、そんな彼女に惹かれつつあるラーシュなんかが見ていて面白くなってきて、槍試合のところはとても盛り上がって楽しかったです。可愛いなあもう。
しかし物語の見えないところでサリカ父と母がとんでもない人という設定が付与されつつあるんですが、かわいそう……笑 大丈夫?
社交界で浮名を流し、風雅と博物学を愛する有閑貴族エリオットには、もう一つの通り名があった。それは幽霊男爵――。沈黙の交霊会、ミイラの呪い、天井桟敷の天使……。オカルト事件に目がないエリオットの元に舞い込む不可解な事件。だが「謎」から闇を拭うと隠された想いと切ない事情が見えてくる。幽霊男爵が美貌の助手コニーを従え、インチキ霊能者に挑む!
怪奇に沸く19世紀ロンドンを、幽霊男爵が駆け回る!(裏表紙より)
幽霊が見える男爵と人形を自称する助手の少年、議員で警察にコネを持つ親友の貴族青年が、イギリスに溢れかえる幽霊事件に首をつっこむ話。
いやー危うい。みんなぐらぐらしている。その状況でお互いを支え合うことでなんとか均衡を保っている感じがはらはらします。けれどそれがきっと当時の英国という国の雰囲気であり、これから起こる歴史上の出来事に繋がるんじゃないか、と思うと、ああー……ああー!! と叫んでしまう。
それにこの時代に男尊女卑について描いているのはすごい。エリオットは本当に何を見たいんだと怖くなるくらい、冷静に社会的な空気やジェンダー観を観察している。死を見続けているから平等なのか。生者の社会は不平等で歪んでいるのか。それは、きついな……。
ところでこの本でめちゃくちゃロマンだなと思ったのは、幽霊に人間味があることでした。生きる延長に死があるところがいい、と思いました。はい私のフェチズムの話です。
派手なオレンジ頭の高校生・黒崎一護は霊が見える。ある日自室に現れた死神を名乗る謎の少女に出会い、彼女が追っていた虚(ホロウ)と呼ばれる悪質な霊に襲われた家族を守るため、力を譲り受けて死神代行となる。元の生活に戻ることを望む一護だったが、自身のせいで亡くなった母親の死に虚が関係していることを知り……。
いわゆる死神代行篇。設定の改変がいろいろあって、コンが登場しなかったり、妹たちで霊感を持っている方が違っていたり、友人たちの力の覚醒がなかったりする。そして結末がちょっと違う。まとめちゃうとこうなるわなーという感じでした。
実写なのでどうかなーと思ったんですが、一護のビジュアルは思っていた以上にしっくりきたし、ルキアはビジュアルは違うけれども喋り方がなんだかすごく「っぽい」と感じたのでアリだと思いました。あと織姫が可愛かった。最後一議と織姫がなんか見つめ合っててすごくいい感じだったの、非日常の中にある青春ものっぽくてきゅんとしてしまった。
悪戯を仕掛けては楽しむ自由な日々を送る、雪を操るジャック・フロスト。子どもたちに信じられていない彼はガーディアンではなかったが、世界を恐怖に陥れたブギーマンの復活によって、サンタクロース、イースターバニー、サンドマン、トゥースとともに戦うことになる。彼らの力の源は存在を信じられるということで……。
子どもたちの信じる心を喚起させるような作品。
この世界には悲しいことがいっぱいあって、信じられない、信じてくれないことも起こるけれど、不思議な存在のことを信じてもいいよ、ということですね。
サンドマンがめちゃくちゃ好きでした。寡黙だけれどとても頼もしくてチャーミング、怒らせると怖いとか最高じゃないですか。