読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
雪のクリスマスイブ。母親が失踪し家を追い出された茜音は、天使のような少女の導きによって古い洋館アパート「かなりや荘」に招き入れられる。そこには心の片隅にさびしい廃園を抱えた人々と、道半ばにして亡くなった天才漫画家の幽霊・玲司がひっそりと暮らしていて…。古アパートを舞台に、歌を忘れたかなりや達が繰り広げる、優しく力強い回復と救済の物語。
傷ついたかなりや達の止まり木に、ようこそ。(裏表紙より)
タイトルのファンタジックさと、内容紹介から想像されるお話とは90度くらい方向が違う気がする……絵を描く人である主人公の茜音が、いかにしてものを作っていくか。傷ついた敏腕編集者と、天才漫画家の幽霊の少年とともに歩んでいくお話、という認識でいいのかな。シリーズもの前提とあとがきにありました。
表現活動において傷ついた人たちが集まるのがかなりや荘。女優さんもいれば写真家さんもいて、同居ものに見せかけてほとんど人物紹介で終わった気がするので、この人たちのお話も今後絡んでくるのかな?
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王都エクバターナ奪回へと西進するアルスラーンに、北方の強国トゥラーン軍急襲の報が入る。反転してペシャワール城に戻ったパルス軍は、智将ナルサスの指揮の下、敵の大軍を迎え撃つ。一方、虜囚の身から抜け出したパルス国王アンドラゴラスは、王妃タハミーネとともに、王都脱出を図っていた。父子は再び相まみえるのか? 急展開に目が離せないシリーズ第五弾!(裏表紙より)
トゥラーン軍との交戦、宝剣ルクナバードを巡るヒルメスとギーヴの対峙、アンドラゴラス王の合流とアルスラーンの次の展開まで。
ここまであからさまに蛇王ザッハークの存在が匂わされていたかなあと、アニメを思い返すもよく覚えていなかった。これやっぱり後に蛇王や魔導士たちと戦うんだよね……?
ヒルメスとイリーナの邂逅が切ない。
王太子アルスラーンのもとに、各地の諸侯や領主たちが次々と集結。瞬く間に大軍が形成されていった。新生パルス軍は、ついに西方千キロ彼方の王都エクバターナ奪還に向け出撃する。対するルシタニア軍も王弟ギスカールの指揮の下、パルス軍を上回る軍勢で迎え撃つ。大陸公路を血で染める決戦が、いま始まる! いよいよ佳境、激動の展開を見せるシリーズ第四弾!(裏表紙より)
アルスラーンの出撃前、仲間たちが集結するところとギーヴの離反、アンドラゴラス王が牢を脱出するところまで。
ここでエトワールの話が出てくるのか。漫画版はとてもわかりやすく書き足してあるんだなあと思いました。あとイリーナ姫の登場もこの辺りだったのか。
表紙がファランギースなんですが、彼女がたくさん登場して喋ってくれるので嬉しい巻でした。
書生として働きながら京都の名門・三高に通いながら庄野隼人は、主の中村重吉翁のお供で、京都でも指折りの名家・大谷家の「桜を見る会」に参加する。それは大谷家のふたりの令嬢のうちのひとり、桜子の婚約披露の場でもあった。だが、めでたく華やぐはずの会は悲劇の始まりだった——。
招待客としてその場に居合わせた伯爵家御曹司で人気作家・小須賀光とともに庄野は悲劇の真相を探るのだが!?(裏表紙より)
華族で小説家の小須賀の付き人めいた立ち位置になってしまった、三高生の庄野。大谷家のご令嬢の婚約披露が行われる桜を見る会で、事件が発生。婚約するはずの相手側、庄野の学校の教師でもあった辰井が死んだのだ。動機は? 犯人は? 一方、時代は思想がぶつかり合う世で……。
「いつから思想が踏み絵みたいになってしまったんだろう」という台詞が沁みました。本来なら違いはあっても一緒に生きることができるはずなのに、と登場人物が言うんですよね。作中の時代が時代だからというのもあるけれど、今の時代もそうだよなあ……なんてことをぼんやり思う。
事件そのものの謎はあっさり目ですが、そこに絡んだ人々の思いが強いのがこのシリーズの魅力だなあと感じました。
初めて男の人から受けた愛の告白、ぎこちないキス、少し触れられただけで広がる快感。セックスってこんなに幸せなものなのね。ずっと好きだった美少年エルンストにふられたエッティラ。失恋に泣いていた夜、ベッドに寄り添って慰めてくれたのは住み込みで世話をしている伯爵デービッド。彼は子供の時からずっと私が好きだったなんて? 笑えて少し切ないセンシティブ・ラブコメ。(裏表紙より)
『8月10日を楽しみに』の関連作。
前作を思うと薄味ですが(「8月10日」の重みとかね!)、随所随所がとても野梨原さんだなあと思って嬉しくなる。
エロさんとヴァルが相変わらず仲良しなのでよかったなあと思ったり。
エロスも薄めで、少女が失恋も含めて人を好きになって抱き合うことの可愛らしさが感じられる作品でした。
ブルグ帝国の暴君皇帝に政略結婚で迎えられた王女ヘルミナ。生まれつき身体が弱く、長く起きれば熱を出し、緊張が高じると血を吐いて倒れるという病弱っぷりで、世話係の侯爵カエサルは日々振り回されることに。だが、実は病弱を逆手に医学や政治の知識を蓄えていたヘルミナ。国民が皇帝に不満を持つのを見抜き、カエサルに革命の同志になるよう密約を申し出て…。激動のヒストリカルラブ!
何かを為すまで、絶対に生き残ってやる。(裏表紙より)
古王国の王女ヘルミナはとある悔しさを覚えた日から、何かを為すまで生きると決め、自身の病弱体質を使って薬の研究を行ったり、様々な書物や研究者からあらゆることを学んで知識を蓄えた、思いの外したたかでしぶとい姫君として成長した。そんなヘルミナに、独裁を行う帝国の皇帝から婚姻の打診が……。
「次は死ぬかもしれない」という感じで、ちょっと移動すれば熱を出したりなんだりして死にかけるヘルミナ。戦ったことはないけれど何度も死の間際までいったことがある、と発言するだけあって非常に芯の強い姫君で、賢いヒロインでとても素敵です。
そんな彼女のお目付役兼世話係になったオルトランド侯爵カエサルは、彼女の奇行ぶりと聡明さに惹かれていくんですが、こんな女の子が目の前にいたら気になって仕方ないだろうなあと彼の気持ちになってしまった笑
ヘルミナはもしかしたら長生きできないのかもしれないけれど……二人でいい国を作っていってほしいな。
シレイネ姫の身代わりとして毒龍公クロウに嫁いだド庶民フェルだが、旅先でうっかりクロウへの恋心を自覚。んなバカな! と自分を戒めるけれど、むしろ想いは育つばかり……。城の帰るまでに彼を嫌いになる、と決めたところで、突然狼の群れに襲われた! クロウ負傷の報せに、思わず飛び出したフェルの前に現れたのは——ウソ、本物のシレイネ様!? ニセ新婚生活、強制終了(?)の第4弾!(裏表紙より)
ついに恋心を自覚したフェル。ティカルの事件後、帰城しようとするフェルたちは襲撃に遭い、フェルはシレイネと再会、入れ替わることに。
ああどうしよう離れ離れになるの!? とはらはらしたんですが、そこはフェル、フェルらしい方法で戻ってきてくれて、よかったあ。
クロウとシレイネの対決はどきどきで、何が隠れているんだろうなあとまだまだ謎。セタンタ王もガウェイン先生と一緒に動き出すのかな。しかしまっすぐなフェルを除いて、みんな腹に一物抱えている状況で「ワルプルギスの夜に」と思っているのは、ちょっと怖いな。
天才科学者の平賀と、古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルト。2人は良き相棒にして、バチカン所属の『奇跡調査官』——世界中の奇跡の真偽を調査し判別する、秘密調査官だ。
修道院と、併設する良家の子息ばかりを集めた寄宿学校でおきた『奇跡』の調査のため、現地に飛んだ2人。聖痕を浮かべる生徒や涙を流すマリア像など不思議な現象が2人を襲うが、さらに奇怪な連続殺人が発生し——。天才神父コンビの事件簿、開幕!(裏表紙より)
想像以上に宗教色が強かった。
バチカン所属の神父たちが、奇跡を調査するお話。
オカルトかと思いきや、オカルトの皮を被った事件を科学的に検証……検証はしていないかもしれないけれど調査して、実態を暴く。
冒頭にかなり悪魔のことを匂わされるので本物のオカルトかなと思ったんですが、科学といっても科学らしいことも捜査らしい捜査もあんまりやっていない印象なのは、生徒や用務員視点のお話が結構挟まるせいだったんだろうか。
オチがおおーそこにいくかーというもので面白かったです。
茶髪ヤンキー系でスクールカースト上位の染谷に助けられ、クラス内で孤立する連中を集め始めた真琴。結果、非主流派が輝き始め、教室は活気づく。はたして、真琴の目的はなんなのか。学校に「革命」を起こすことはできるのか——。
気高き魂の出逢いが、めぐりゆく絶望の季節に終止符を打つまでを描いた、切実な希望の物語。圧倒的筆力で胸の奥にまっすぐ届く、特別な青春小説・後編。〈解説・穂村弘〉(裏表紙より)
見えない圧力に屈しないと決めた真琴は、染谷と協力してカーストの転覆を図る……のですが、割と穏やかな方法で、好きなものは好きと言えばいいじゃない、私はそれを受け入れるわ、という姿勢を貫くんですよね。それが非主流派と呼ばれる一定層に届き、多種多様な趣味や嗜好を持つ生徒たちが互いを受け入れ始めるんですが……やっぱり出てくるよなあ大人。その大人によって主流派が再び盛り返し、学校は統制され始める。
するとまた話のカラーが変わって、夢なのか現実なのかよくわからないものと真琴が戦い始めるのが印象的でした。
革命家だったとも言われる父と、当時15歳の母とが「妥協」せずに生まれた娘・相原真琴、13歳。妥協に背を向け、クラス内で特殊な立ち位置の優等生へと育った彼女は、ある日、迫害されている同級生・南一に出逢う。彼の描く絵は、周囲には理解できない特殊なものだった——。孤高の青春を生きる少年少女たちが出逢い、時に傷つけ合い、時に惹かれ合う様を軽妙な筆致で綴った、圧倒的な青春小説・前編。〈解説・宇野常寛〉(裏表紙より)
普通でない両親の元に生まれ、普通でない家で育つ、真琴。凄まじいバランスの元に彼女は優等生ながら孤高を保ち、問題児扱いされている南や染谷と適切な距離の元に関わっていく。
はっきりと書かれていますが、発達障害を持つ人たちが登場して、その人(子ども)たちの生きづらさは立ち位置などがわかる。これ、真琴の視点がなかったら読めなかったかもしれない。理性的に距離を取ってしまうか、思考をストップさせて読んでしまっていたかも。真琴がいて「どうしてそうなるのか」を考えて言葉にしてくれるから、読めるんだと思う。
何故タイトルが「悦楽の園」なのか下巻でわかるのかなあ。