読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
幼い頃のトラウマで男性が苦手な未紘は、地味で冴えない27歳。ところが母を喪いひとりになった未紘に、突如求婚してきたのは、何故かこの国の総理大臣。更には父の結婚に反対する3人の息子までもが現れ求婚を!? 「今すぐひとりを選べないなら、抱かれながら選ぶがいい」。強引すぎる兄弟に甘い言葉を囁かれ、淫らに身体を拓かれて、未紘は女として磨かれていくけれど、心は千々に乱れて……。過激に切ないネオ・シンデレラストーリー!(裏表紙より)
それまで読んでいた本が、結構しっかりした女の子が主人公のものだったので、ここまで徹底して「受け」なヒロインだとは思わず、その真逆っぷりにおおー……と思ったりなどする、TL作品です。4Pです(でも矢印出してきてるのは合わせて四人)
血なのかなんなのか、とにかくヒロインとその母の血筋に過剰に情欲してしまう、総理大臣とその三人の息子たち。母が亡くなったことで、未紘は母に恋い焦がれていたという総理大臣伊勢知に求婚されるも、それを反対する三人の息子たちに「お前を磨いてやるから別の男を捕まえて結婚しろ」と言われてしまう。しかしその息子たちにも、父の血を受け継いだのか、未紘に欲情してしまうようになって。
いやー、すごい。どんな小説も「その設定マジか」っていうものがあると思うんですけど、現実離れしたものは突き抜けてて面白いですね。最終的に三人の誰も選ばずに一緒に暮らしてっていう一妻多夫制をとるんですけど、それもありなのかーと色々考えさせられました。
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「あなたの本当の目的というのは、もう一度人間になること?」
大学生になった春、美綾の家に迷い込んできたパピヨンが「わしは八百万の神だ」と名乗る。はじめてのひとり暮らし、再会した旧友の過去の謎、事故死した同級生の幽霊騒動、ロッカーでの盗難事件。波乱続きの新生活、美綾は「人間の感覚を勉強中」の超現実主義の神様と噛み合わない会話をしながら自立していく——!(裏表紙より)
萩原さんの新作は、不思議なことと人の心の影の部分を描く現代もの。弱々しいわけではないけれど女子校育ちで純粋で真面目な性格をしている美綾が、八百万の神を名乗るパピヨンとの同居生活をする話。
大学進学の、入学時の空気感や、居場所を探したり、人の見方が変わったりする、すくすくと育つ芽みたいな印象が柔らかくってとても心地よくって、だから人の心の影の部分が痛くて怖くて。真相の部分を読むと、美綾は強いなあ……と思いました。今回出てきた人たちが今後に関わってくることはあるのかな。
川森先生がなんだかいい感じなので、この人は結構食い込んできそうだなあ(そして大事なところで選択肢を投げそうだなあ)などと思いつつ、どうぞ次も出ますように!
21世紀現代を舞台にしたシャーロック・ホームズが主人公の、BCCのドラマ「SHERLOCK」。そのドラマが、更にヴィクトリア時代のロンドンを舞台とした特別編。
ウェディング・ドレスをまとった妻に殺された男。しかし、彼の妻は自殺したとつい先ほど知らせを受け取ったばかりだった。そして、死んだ花嫁の幽霊が次々に人を襲い始める。彼女は本当に幽霊なのか? その目的は復讐なのか。シャーロックとジョンは、マイクロフトを通じてある依頼者に会う。
公開中なので続きに。
ウェディング・ドレスをまとった妻に殺された男。しかし、彼の妻は自殺したとつい先ほど知らせを受け取ったばかりだった。そして、死んだ花嫁の幽霊が次々に人を襲い始める。彼女は本当に幽霊なのか? その目的は復讐なのか。シャーロックとジョンは、マイクロフトを通じてある依頼者に会う。
公開中なので続きに。
どこの国にも所属しないスパイ組織「キングスマン」。その一人に列せられる候補だった青年が一人、死んだ。その息子エグジーは、母子家庭で育ち、母のやくざな恋人に暴力を振るわれながら、母と幼い妹を守ろうとしている。しかしある日チンピラ相手の喧嘩で逮捕されてしまったエグジーは、父が死んだ時にやってきた男から渡されたペンダントとそこに書かれた連絡先、合言葉を用いて釈放される。そして、出てきたエグジーを迎えたのは、エグジーにペンダントを渡したあの時の男。彼、ハリーは、キングスマンの一人で、エグジーを候補に推そうというのだった。
はちゃめちゃなスパイ映画だと聞いていましたが、ある瞬間から凄まじいセンスを爆発させ、「これはもしかしてとんでもないバカ映画なのでは……」と疑いながら観ましたが、とってもかっこいいバカ映画だったと思います(褒めてます)。
イギリスが舞台で、スパイ組織の基地もそこにあるので、キングスマンたちのコードネームがアーサー王と円卓の騎士というのもいいし、指導教官が魔術師マーリンというのに心くすぐられます。かつ、キングスマンたちは貴族の血統、ハリーが「マナーが人間をつくる」と言うように、スーツに革靴、メガネ、傘、ペンなど、とってもイギリス紳士な服装で動くので、とってもかっこいい。
権力者の子どもで有名大学の出身である他の候補生たちと比べて、ごく一般的、どちらかというと下の方にいるエグジーは自らの天性の身体能力と機転で候補に残っていくわけですが、抜きん出ていくその爽快感も楽しいし、ハリーからマナーとは、紳士とは、キングスマンとは、ということをレクチャーされるようなシーンもとってもいい。おじさまと少年、とってもいいです。
しかし、途中から、ゲームみたいな複数人による凄まじい殺し合いシーンが始まったり、最後に花火が上がったりと(ほんと、「きたねえ花火だぜ……」って感じ……)、独自のセンスを噛ませてくるその感じ、嫌いじゃないんだけどなんとかならないか!(笑いながら突っ伏す)悪趣味なんだけど、嫌いじゃない……。
分かりやすい映画だったので、何も考えずに「たーのしー!」と思えました。面白かった。
クリムトの名画「黄金のアデーレ」。第二次世界大戦の最中ナチスに略奪され、その後、オーストリア政府のものとして国の美術館に飾られてきたそれを、「それは私の伯母のもの。私に返して欲しい」と国を相手取って訴えたマリア。その親戚で駆け出し弁護士のランディは、自分の出世のためにその仕事を引き受けるが、その絵に対するマリアの思い、そして当時の人々の思いに触れていく。そして、出された判決は。
観てからだいぶと経つのですが、とてもいい映画でした。
まず、アデーレ役の女優さんが絵にそっくりで、ほんと綺麗なんですよ! ミステリアスな、物憂げな美人で。
戦争が始まり、ユダヤ人狩りが始まった、その息詰まるトーンや褪せていく街の色、家族との永遠の別れ、そこに置いていかざるをえなかった人々の気持ちというのが、話が進むにつれてどんどん増してくる。そして、ラストのダンス。その映像に「辿り着く」「取り戻す」という気持ちがぶわっと沸き起こって、涙が滲んでしまった……。
派手な映像もないし、暗いトーンのシーンが続くこともありますが、本当にいい映画でした。
観てからだいぶと経つのですが、とてもいい映画でした。
まず、アデーレ役の女優さんが絵にそっくりで、ほんと綺麗なんですよ! ミステリアスな、物憂げな美人で。
戦争が始まり、ユダヤ人狩りが始まった、その息詰まるトーンや褪せていく街の色、家族との永遠の別れ、そこに置いていかざるをえなかった人々の気持ちというのが、話が進むにつれてどんどん増してくる。そして、ラストのダンス。その映像に「辿り着く」「取り戻す」という気持ちがぶわっと沸き起こって、涙が滲んでしまった……。
派手な映像もないし、暗いトーンのシーンが続くこともありますが、本当にいい映画でした。
周期的に発生する天災『星の災禍』により、故郷と家族を失った少年・ラッカウス。今は聖都で神官としての教育を受ける彼だが、その心中には常に疑問があった。
「『星の災禍』とは何なのか」
次の犠牲者が出る前に答えを知りたい。衝動的に禁忌の森へと忍び込んだ彼は、無垢なる少女シースティと出会う。彼女に惹かれ、人目を盗んで森に通うラッカウスは知らなかった。彼女が、触れてはいけない世界の秘密に繋がっているということを…。
「シースティ。君を悲しませたりしない。この先ずっと」
美しくて寂しくて、とても透き通った物語で、あとからじわっと沁みるようにして切なさを覚えて、それを大事に抱えて生きていたいような、ささやかなお話だったように思います。
巫女ヴィリヤの力の恩恵を受けて、小さな奇跡の力を用いる神官。星が降ることによって人が死に絶える『星の災禍』を生き残った者は、必ず強い力を持つため、神官となるべく修行を積む。そして、神官は、多くが孤児や、家族に見向きされない長男以外の子どもが多い。そんな、『星の災禍』を生き残った少年ラッカウスが、禁じられた森の塔に住む、感情や言葉を知らない少女が星を受け止めるのを目撃したことから、世界の秘密につながっていく。
ラッカウスと、シースティと名付けた少女の交流が、暖かいのに悲しい予感しかしないのがなあ……。一緒にどこかに逃げよう、という夢を、必死にあがいて抱えたラスト周辺も、その後の彼の選択も、悲しいけれど綺麗で。
この物語に登場するいろんな人が、それぞれの意味でひとりぼっちだというのが分かる瞬間に、ぶわっとこみ上げるものがありました。素敵な物語でした。
好きなものが多すぎて、ごめんなさい!
作家になる前から、作家になってから、夢中で追いかけてきた小説、漫画、アニメ、音楽、映画、美味しいもの……etc.
すべてが詰まった、読むと元気になれるエッセイ集!
特別収録! 短編 おじいちゃんと、おひさまのかおり(帯より)
『ネオカル日和』よりちょっと経って、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』が直木賞をとって、作品も『島はぼくらと』などが出て時間が経っています。子育ての話や、家族の話が多い印象でした。
私、『ゼロ、ハチ〜』のときにサイン会に行ったことがあるんですけど、そのとき、前に並んでいた男の子が「握手してくれませんか」って聞いていたんですよね。「もちろんです」って辻村さんは答えてて、それを聞いた私も握手してほしいと思って。私の順番が来て、私も声をからからにしながら「握手してもらっていいですか」と聞いたんです。そしたら、にこっと笑って「もちろんです!」と言ってもらえて。そしてぎゅっと私の手を握って「がんばってください」って言ってもらえたっていう幸せな思い出があります。
緊張して、泣きそうに、震えている私が、もしかしたら必死の物語にしがみついて生きている女の子に見えたかもしれなくて、多分、辻村さんはそういう人の味方になりたいんだな、と感じました。エッセイを読むと、ますますその思いが強くなりました。