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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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あけめやみ とじめやみ (ハヤカワ文庫JA)
妃の病いを癒してもらうため、水上庵の巫女のもとを訪れた木莵王イヨギは、あまりの巫女の幼さに不安を抱いた。しかも、妃を救うことは道にそむくことと治療を拒否される。はたして、妃は助かることができるのだろうか……人を疑うことしか知らぬ老王が真の愛に目醒める表題作ほか、愛する相手に対して、ふと不安をいだきはじめる少女の微妙な心の動きをつたえる「紙の舟」など久美沙織の新しい魅力を伝える作品集。(裏表紙より)

主にSFな短編集。「あけめやみ とじめやみ」「OUT OF DATA」「紙の舟」「きんぽうげ」「サマー・ドレス」「ドリーム・キャスター」の六編。おお、文章のノリがどれも80年代だぞ……と思って読みました。ちょっと読みづらかった。
SFは少し散漫でうーん? となったのですが、「あけめやみ とじめやみ」はなんだか好きだ。
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太陽の庭 (集英社文庫)
一般人には存在を知られず、政財界からは「神」と崇められている、永代院。地図に載らない広大な屋敷に、当主の由継を中心に、複数の妻と愛人、何十人もの子供たちが住まい、跡目をめぐって争っていた。そんな中、由継の息子・駒也は、父の女・鞠絵に激しく惹かれてゆく。許されぬ愛は、やがて運命の歯車を回す。破滅の方向へ——。「神」と呼ばれた一族の秘密と愛憎を描く、美しく、幻想的な物語。(裏表紙より)

『雨の塔』に関連する物語。少女たちの箱庭だった『雨の塔』とは正反対の位置にある、永代院という広大だけれど閉じらせた外の世界を描く。『雨の塔』ラストでの崩壊はいったいどのようにして訪れたのか、という話です。
地図になく俗世から切り離され、崇め奉られる家、永代院。当主は代々「由継」を襲名し、有力者たちから差し出される娘を妻に迎えて子どもを産ませ、とある啓示を受けた子を後継にしてきた。妾腹の駒也の短編を皮切りに、歪んだ家と人と、世界の側面が現れてくる。
『雨の塔』は境界の曖昧な箱庭の話だったのが、『太陽の庭』は庭という場所のせいか部外者からの侵入を受けて崩壊する。この二冊、世界の壊れ方を比べるとすごく面白い! 少女小説なんだけど、こっちはよりファンタジーなのに、最後はサスペンスで鋭い。そして女の話で締めるのか! と唸りました。
面白かった。でも、二冊合わせるとちょっと蛇足感はあるかも。私は『雨の塔』が好きだ。
死神姫の再婚 -始まりの乙女と終わりの教師- (ビーズログ文庫)
春の日差しが降り注ぐ王宮の中庭では、華やかな式典が催されていた。「宰相による国王暗殺」という衝撃的な事実が発表されると共に、ゼオルディス王子の即位が決定したのだ。戴冠式と結婚式が同時に行われ、王宮に滞在中だったライセン一家も参列することに。興味津々のアリシアと苦々しい表情のカシュヴァーンだったが、そこに現れた予期せぬ人物の宣言により、事態は一変する——!! 緊迫した状況の中、死神姫と暴君夫、ついに念願の夜……!? 夫婦の「愛」が何よりも強い! 大注目の第10弾!!(裏表紙より)

おめでとうございました!!
と思いながら読み終えて、はて私は前の巻を読んでからどのくらい経ったんだろうと思って調べてみたら、三年経とうとしていることに戦慄しました。そりゃこのシリーズも終盤に入るわ……。
どんどん人数が多くなっていく死神姫、人物が一回ずつ喋りながら状況説明するのに時間がかかるようになってきてます。しかしおかげで私は助かった……(上記の理由で)
戴冠式と結婚式ののち、領地アズベルグが〈翼の祈り〉教団の手によって火を放たれたと聞いて、急ぎ領地へ戻るアリシアとカシュヴァーン。しかもその軍は、教団とラグラドール人の混成軍であり、その命令を放ったのは、先々代聖女ソルラスカ。彼女は海に落ちながら生還したアリシアが、聖女として崇められることを恐れたのだ。
というところから、一同はアズベルグを守るために戦うのですが、どうやらこの裏側で別の事態が発生しているらしく。ここまで読んだだけじゃ何が起こってるのかまだわからず色々ヤバいまま終わったけど、一番の目玉は夫婦の初夜です。
拉致からの部屋ぶっ壊しからの乱暴な振る舞いからの甘々初夜でたいへんごちそうさまでした。カシュヴァーンの幸せそうな様子に、「幸せになれよ!!」って石ぶつけたい。
雨の塔 (集英社文庫)
その岬には資産家の娘だけが入れる全寮制の女子大があった。衣服と食べ物は好きなだけ手に入るが、情報と自由は与えられない。そんな陸の孤島で暮らす4人の少女——高校で同性と心中未遂を起こした矢咲、母親に捨てられた小津、妾腹の子である三島、母親のいない都岡。孤独な魂は互いに惹かれあい、嫉妬と執着がそれぞれの運命を狂わせてゆく。胸苦しいほど切なく繊細な、少女たちの物語。(裏表紙より)

この紹介文で読まずいられようかと。なぜもっと早く読まなかったのかと。好みドンピシャすぎて、読みながらいちいち胸をときめかせていました。
世間から隔絶された全寮制の学校、その場所の異質さ、少女たちばかりの世界。少女たち特有の結びつき。そこに! 資産家の娘、ハイソサエティならではの上下関係がちらついたり、優遇されているのに不幸だということが描かれるのが!! もう!! 好きすぎて!!!
矢咲と小津、三島と都岡がそれぞれルームメイトなんですが、この二つの世界が、交流という形で混ざり始めてから物語はどんどん暗い方向へと走っていく。嫉妬と執着で、それぞれがゆっくり壊れていって、最後はあっけなく幕切れとなる。この幕切れも「世界の崩壊」と呼ぶにふさわしい終わり方で、最後までしびれました。かと思うと、救いの光みたいなものが差し伸べられて、そこにもしびれた。ああ、少女!
解説もどんぴしゃりで、そこそこ! というところを解説してくれていてそこまで面白かった。
この話、めちゃめちゃ好きです。
小説 東のエデン (ダ・ヴィンチブックス)
卒業旅行でホワイトハウスを訪れた森美咲は、そこで銃と携帯を手にした記憶喪失で、全裸の男に遭遇する。滝沢朗と名乗った彼と関わることになった咲は、彼の持つ謎の携帯とあるゲームに巻き込まれていく。100億円の電子マネーが振り込まれた12個の携帯電話、そしてそれを持って「日本を救う」使命を与えらえれた者たちは、セレソンと呼ばれた。

アニメは未視聴。文章はノベライズという感じでしたが、ストーリーはすごく面白かった! でもこれで終わりませんよね? 多分劇場版の名を冠す本が続きなんですよね。
日本の現状への風刺が結構入ってます。ニートとか就活とか、会社の先輩後輩、サークルのカオス感、ネット、炎上やら陰謀論やら。うすら寒くなったのが、後半の全裸ニートたちの表現。能動ニーツと受動ニーツって言葉は、寒い。怖い。
「東のエデン」のメンバーはどうなってしまうのかとか、セレソンが全員出てないとか、誰がこのゲームに勝つのかとか、大事なところが分からずに終わってしまうので、最後どうなるか気になります。
花が咲く頃いた君と (双葉文庫)
ヒマワリ、コスモス、椿、桜。四季を彩る花が繋ぐ人と人の心——。女友達や同級生、祖父や訳ありの異性との関係をあたたかく、そして切なく描く珠玉の四篇。単行本刊行時、「今年最高の本」恋愛小説部門で二位になり、多くの読者から感動の声と絶賛を得た傑作短編集がついに文庫化。きっとあなたの、大切な一冊になるでしょう。(裏表紙より)

好きだなあああああってごろごろした。
「サマバケ96」「コスモスと逃亡者」「椿の葉に雪の積もる音がする」「僕と桜と五つの春」の四つの短編集。
「サマバケ96」公団に母と二人で暮らしているギャルのアンナと、ふとしたことで彼女と友達になったユカ。中三の夏休み、めいっぱい遊ぼうと計画したものの。この、公団と一戸建てとか、母子家庭と田舎がある家族とか、一緒にいる友達なのにちょっとしたずれにすごく傷ついたりする、この繊細な設定と話な! 好きすぎて机叩く。
「コスモスと逃亡者」少し知能が低い女の子たからと、借金取りに追われているおじさんの短い交流の日々の話。常識みたいなものがぐらぐらしている感じが好き。自分の世界で生きているのが、世の人の「普通」とそぐわない感じ。
「椿の葉に雪の積もる音がする」同居しているおじいちゃんと、両親との微妙な距離に気付き始める年頃の雁子。しかし、ある日おじいちゃんが脳梗塞で倒れてしまう。多分、雁子は「死」というものに初めて触れて、それがすごく身近すぎた。そのぽっかり空いた虚無みたいな悲しみに、すごく自分を重ね合わせた。家族が揃っていて、その中におじいちゃんも当然のように入っているのに、それが不意に奪われることがあるんだ、という理解に、気持ちが追いつかなかったところがよく分かる。
「僕と桜と五つの春」いわゆるコミュ障の純一は、小学生の時、隠れた空き地の桜の木を目にして以来、ずっとそこに通い続ける。中学に上がったある日、隣の席になったちょっと悪い女の子、金萩恵理香と出会い、まるであの桜のようだと感想を抱く。二人の関係性の変化に、大人になるってこういうことなんだな、と思う。世界が開けると、人は少し優しくなる。多分、相手を理解できるからなんだろう。
薔薇に雨 孤高の王子に捧げる初恋 (コバルト文庫)
精霊を行使し、不思議な現象を起こす彩霊術。誰もが使えるそれを、ファラは使えなかった。精霊王の加護を受けることが出来ず、精霊の姿を見ることができないから……。それでも努力で学院へと進学したファラを待っていたのは、無情な運命だった。彩霊術を使えない者を、卒業させるわけにはいかない。ところが、同じ学院に在籍する王子のサーリヤが、ファラを指導してくれると言って……?(裏表紙より)

おおお。おおお……! なんて透き通った少女小説なんだろう!
静かだけど優しい文体に、真面目だけれど寂しい女の子が、自分の心と恋を見つける物語。コバルトはこういうの出してくれるから本当に好き! 沖原朋美さんの『桜の下の人魚姫』を読んだ時の感動が思い出される……。
アラビアン的な砂漠の国。精霊を見ることのできない少女ファラと、第九王子でありながら強い精霊王の加護を持っているサーリヤの交流が丁寧に描かれていて、これに嫉妬する元婚約者の女の子とか、へらへらしてるようでよく見てる宰相の息子とか、軽薄で何を考えているかわからないけれど渇望している謎の教師とか。少女。めっちゃ、少女小説!
最初から両想いだと分かってもいるので安心して読みましたし、ファラの一生懸命さかつ自虐的な思考が救われていくところとか、意地悪されながらも乗り越えてしまうところとか、たいへん楽しみました。はー……綺麗で透き通った物語だったなあ……!
そして花嫁は恋を知る―月の女神は黎明を導く (コバルト文庫)
ブラーナ帝国の皇妃イリアティーヌは、結婚したばかりの相手シリウスに対し、打ち明けられない悩みを抱えていた。奴隷だった彼が皇帝になるまで、どんな過去があったのか。愛しているからこそ気になるイリアティーヌだったが、昔の彼を知る女性が現れて……?一方、新興宗教であるルシアン教信者は謎の疫病に罹らないという噂が流れる。混乱の中、新たな時代の幕開けが迫っていた——!(裏表紙より)

「黄金の都を興す姫」の続き。ブラーナ帝国でおそらく有名であろう皇帝シリウスと皇妃イリアティーヌの物語。なぜ、ブラーナ帝国はルシアン教を国教としたのかが語られる。
非常に息苦しい巻でした。嫁恋シリーズは、歴史的な下地がもともとしっかりしている中で、少女小説っぽい主人公たちが動く話だったのですが、この巻はもうずーっとイリアティーヌが迷う! これでいいのかと考えて、答えを出す。それも、どうしようも流れの中で選択せざるを得ない感じで、まだ話が続くのだろうという読後感があって……。うーん、なんだか割り切れない!
実は、この本を読む前に、テレビ番組で作家の方が「小説は予言する」と話したり、漫画家の方が「週刊連載は、予言の書になった」ということをお話しされていて、ぎくっとなりながら読んでいたんです。そう、この話、宗教と信仰と、殉教と生きている者についての話なんです。結局、シリウスとイリアティーヌは国教を変えるという選択をしましたが、それでよかったのかともやもやするところもあり……。
でも、イリアティーヌが最後にエレミヤに言った言葉は、確かにそうだと思います。多分、それが全部だと思う。
王立エトワール近衛隊    星の正義に忠誠を (角川ビーンズ文庫)
「貴様が、わたしを選べ!」「あなただけが、俺の星だ」
国王がついに崩御し、アルは最新の遺言状をエトワール近衛隊の隊長・シャリオから極秘に託される。急展開の事態の中、シャリオが先王の血を引くと知ったアルは暴走し、シャリオ自らに謹慎を言い渡されてしまう。同じ頃第二王子・ソールにより、最悪の形で出生の秘密を暴かれたシャリオは、表舞台に引きずり出され!? 隊長と新米士官の絆が試される最終作戦開始!!(裏表紙より)

少女めいた美貌だけど中身は熱血の少年アルカイド・クレール。彼が星と戴く、正義を貫くエトワール近衛隊の若き隊長シャリオ。シャリオをひたすらに見つめて、正義を貫いてくれ、というアルのまっすぐさに、もぞもぞする反面、「やっぱり…………好きー!!!」って叫んでしまう台詞やエピソードが満載で、最後まで顔を覆いながら、胸がいっぱいになりました。自分を貫く人はかっこいい。
そして、ソール王子の闇が悲しい。深くて、重くて、寂しくて。彼も星が欲しかったんだなあ。
熱血でまっすぐ、なだけだった少年アルが、近衛隊隊長になった姿にもにやーっとしてしまいました。そこで大人の余裕を滲ませるのが、にくい! 好き!
台詞のかっこよさがしびれるシリーズでした。楽しかった!
「少女」の社会史 (双書ジェンダー分析)
「少女」というカテゴリーが生み出された経緯と、その変遷と、それが表すものの変化と。という内容で、これ、すっごくとっても面白かったです。児童文学史の知識と合わせるとかなり面白い。
「少年」とはどのように違うのか、というのを、少女雑誌、「少女の友」などの中身を見ながら論じています。それがすごーく面白い。少女雑誌の中身や読者交流やらってすごく独特だと思っていたので、その理由みたいなものがわかった気がした。少女をどのように教育しようとしていたかというのを掲載小説から見るとか、戦前戦中からどのように方向転換したのかというのもよく分かった。おすすめです。
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Author:月子
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