読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
いい文章を書くために、作家・文章家たちは何を心がけているか。漱石・荷風から向田邦子・村上春樹まで幅広い人びとの明かす知恵を手がかりに、実践的な方策を考える。歩くことの効用、辞書の徹底活用、比喩の工夫……。執筆中と推敲時だけでなく、日常のなかの留意点もまじえて説く、ロングセラー『文章の書き方』の姉妹編。(カバー折り返しより)
文筆業をやっている人たちが、エッセイやら作文教室などで書いている、自分の作品の書き方というものがありますが、それを、いろんな作品、作家を集めて、つまみ食いする形でまとめられたものでした。
着想を得るために散歩を日課にしている、という人があったり、平易な言葉を用いることがいい、と書いている人がいたり、書けないという人はとりあえず書いてみるといいといったりと、当たり前のことなんだけれど大事なことが書かれている。
推敲のところをじっくり読む。推敲、難しい……。貧乏性が、というところに激しく頷く。書いたものを捨てると気持ちいいのも分かるんだけど、捨てられないんだよなあ……!
伏——人であって人でなく、犬の血が流れる異形の者——による凶悪事件が頻発し、幕府はその首に懸賞金をかけた。ちっちゃな女の子の猟師・浜路は兄に誘われ、江戸へ伏狩りにやってきた。伏をめぐる、世にも不思議な因果の輪。光と影、背中あわせにあるものたちを色鮮やかに描く傑作エンターテインメント。解説・大河内一楼(裏表紙より)
映画から入って、原作を読みました。映画はここまで違う話になっていたとは……。
桜庭さんらしい、光と影、女と男のどろっとした関係が描かれていて、原作は原作で好きだし、映画も映画で好きだなあと思いました。原作は、活劇というか、舞台や読本の中を覗き見ている感じだなあ。
伏とは何なのか、を考え始めるといくらでも読めるし、犬と人間とは、というのを探ろうとするとどんどん考えることができるけれど、読み物として面白かったのは、作中作の「贋作・里見八犬伝」でした。相反するもの、光と影、女と男、愛とにくしみ、というものが、この作中作だけでたっぷり味わえて、すごく好き。
「指輪物語」「ゲド戦記」「ナルニア国ものがたり」。子どもたちを、そして今や大人たちをも惹きつけてやまない、魔法ファンタジーの不思議な魅力の秘密を解きほぐしていく。伝承の世界にその系譜を探り、細部のリアリティにその力を見出し、さらにそこには危険な罠すらひそんでいることも明らかにする、本格的な案内の書。(カバー折り返しより)
これまで書かれてきた代表的な魔法ファンタジーには、どんなものがあるのか、という入門書。なんですが、思ったより主観的? というか、作品を絞って書いていないせいか、『指輪物語』と『ナルニア国ものがたり』以外の作品の比較が頭の中でできずに、最終的に結局魔法ファンタジーの世界ってなんだったんだっけ……となってしまいました。
善と悪はいろんなところで論じられているものを読んだことがありますが、伝承、ケルト、アイルランドを引き合いに出してくるのが面白かったな! ケルト系の神話が、指輪やナルニアに当てはまるとはあんまり思ったことがなくて、面白く読みました。
「かわいいなぁ」——徹は、手のひらの上の小泉を見てつぶやいた。一方、小っちゃくなった小泉はブリブリ起こっていた。それは、自他ともに認める秀才にとっては大嫌いな言葉だから。
同じ「夢」を旅して恋人になったはずの二人が、ふたたび「夢」に迷いこんでいる。
しかし、大きな川がやがてふたりを隔て、離ればなれに。どこまで行っても「徹がいない」……はじめての孤独と恐怖。蘇ると追い記憶の中で、小泉が知った、ほんとうの自分とは!?(カバー折り返しより)
『翼の帰る処』の妹尾ゆふ子さんが、こんなところで書いていたのかと偶然手に取ったのですが、これ二巻目だったんですね。いきなり話が始まった上に、現代なのにすんげー突拍子もない夢の世界の話か! とびっくりしました。
夢の世界を旅したことで、恋人同士になったはずの小泉と徹。でも、夢の世界から戻ってきた二人は、挨拶を交わす程度で、全然恋人らしくない。気付けば、あの時と同じ夢の中で、徹に会った小泉は……。
二人のやり取りを楽しむ一冊だったな、と思います。小泉さんの素直じゃない感じや、徹のひょうひょうとした男前さが、いい。
海外勤務の母と別れて、大阪に行くことになった少女・美森。彼女が暮らすことになるのは、大阪郊外の「紅葉谷」と呼ばれる自然豊かな森の洋館だった。そこには両親の離婚後、一度も会っていなかった父親と、双子の弟・瑞穂が待っていた。登校拒否児の瑞穂は、「植物の声が聞こえる」という不思議な少年……。『ビート・キッズ』の著者が描く、ちょっと不思議で心温まる家族再生の物語。〈解説・令丈ヒロ子〉
みんな少しずつ欠けてしまっている家族が、美森や瑞穂ののびやかさにともなって、ゆっくりと形を取り戻していく家族もの。
美森の強さがちょっとびっくりするくらいなんだけど、学校での、大多数による無視やらがリアル。明確ないじめっ子は存在しなくて、クラス全体を見ると、居場所がない……というのが、刺さる。
完全にすべてが変わったわけではないんだけれども、美森も瑞穂も、これからどんどん強くなっていくんだろうと思いました。
「本がどんどん増えて困る」「給料がみるみる本に変わる」。大反響(悲鳴?を呼んだ前作『面白い本』。「もっと面白い本が読みたい」「もっと面白い本を教えてほしい」。火のついた読書欲に“もっと”が止まらない。人間、宇宙、世界、歴史、芸術、科学。まだまだあります、面白い本。熱い要望にこたえて贈る、家計圧迫必至の第2弾。(カバー折り返しより)
二冊目があると聞いて読んでみた。前回ほどうわーっ読みたーい!とは思わなかったけれど、それでもやっぱり、面白そう、読んでみたいという本がたくさんありました。ノンフィクション、あんまり読んできてないけど、これを機会に読んでみたいなあ。
思ったのは、科学者と呼ばれる人たちが一つの対象について書いた本が、すっごくすっごく面白そうだなということ。フジツボについて、とか、鳥類学者が恐竜について語る(でも関係ないこともしゃべる)みたいな本。すっごくへんですっごく読みたい。
周囲で、世界が回転した。スパルタニアンに搭乗したユリアンは、必死になって敵に応戦する——はじめての出撃での華々しい戦果。しかし彼らの駐留するイゼルローン要塞には、もっと大きな危機が迫っていた。自由惑星同盟に占拠された要塞を、帝国軍がいつまでも看過しているはずはなかったのだ。科学技術総監シャフトの提言に興味をおぼえたラインハルトは、新たな作戦に乗り出した。それはイゼルローン要塞の前面に、放棄されていた要塞“禿鷹の城”を跳躍によって移動させることであった……。(裏表紙より)
衝撃的な四巻から、物語はまだまだ続く。ヤンが育てたユリアン少年は初陣を飾り、ラインハルトはイゼルローン要塞攻略のために動き始め、フェザーンは暗躍し、ヤンは査問会に拘束される。
ミッターマイヤーとロイエンタールのコンビが好きです。でも、これって愛でているひとがどんどん消えていく戦記なのかな……と思うと、ちょっと怖い。フラグ立ってるような気がする。
帝国と自由惑星同盟が、手を結ぶ展開もあるのか!? とちょっとわくわくしつつ、続きを読みます。
近未来の日本に、鎖国状態の「江戸国」が出現。競争率三百倍の難関を潜り抜け、入国を許可された大学二年生の辰次郎。身請け先は、身の丈六尺六寸、目方四十六貫、極悪非道、無慈悲で鳴らした「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった! ゴメスに致死率100%の流行病「鬼赤痢」の正体を突き止めることを命じられた辰次郎は——。「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作。(裏表紙より)
近未来の日本に江戸国があるって、どういう感じなのかなーと思ったら! すごい好みのSFというかファンタジーというかな世界で、なのに江戸もので、混在した感じが面白かった! これは、いいわー。月に行ける世界なのに日本に独立国(と一応されている)江戸国があるって、すごく好き!
物語の本筋は、謎の病の正体を突き止めるものなのですが、近未来だからこそ「何故今の医療技術を中に入れないのか」「どうして正体が分からないのか」とか、ここにはあってあちらにはないもの(逆もしかり)という違いが、じわっと面白かった。原風景の話が出ていましたが、どんなに時が経っても変わらないものの在り処がなんとなく見えた気がして、SFなのに江戸人情……という混ぜ合わせが、いいなと思いました。
オススメありがとうございました!