読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
八咫烏が支配する世界で始まった、世継ぎの若宮の后選び。宮廷に集められた四人の姫それぞれの陰謀や恋心が火花を散らす。だが肝心の若宮が一向に現れないままに次々と事件が! 失踪する侍女、後宮への侵入者、謎の手紙……。后選びの妨害者は誰なのか? そして若宮に選ばれるのは誰なのか?(帯より)
和風ファンタジーの後宮争いもの。後宮闘争なんてとってもおいしいものを見逃せるはずはない。
春夏秋冬、四つの宮に集められた、それぞれの領を集める高貴な姫たち。春の宮の主になった二の姫は、登殿できなかった姉姫の代わりにやってきた。夏殿の姫は番外なほどの自由気まま、美しく派手好きな秋殿の姫は高慢で、冬殿の姫は無愛想で春殿の姫を嫌う。本当にここでうまくやっていけるの……? という、少女小説。
かと思うと、物語は後半から意外な展開へ。女の争いはもちろんですが、疑心暗鬼になっていくところがとてもよかった。どろどろというよりからっとしているのは、真犯人と、若宮本人があっけらかんとしているせいでしょうか。
設定がとても面白く、世界観が好きです。きらびやかな季節の描写がとてもいいなあ。
とても面白かったです。
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本が手の届かないほど遠くにあると思っていたこと。
本が母と娘を繋ぐ絆であったこと。
本が祖父への畏れであり、忘れ得ぬ思い出であったこと。
そして、強すぎる願いゆえに、たった一冊の本すら手放せないこと。
そこにあるすべての本には数え切れない“想い”があり、そこに集うすべての読者にはその数だけの“物語”があった。
さえずり町のサエズリ図書館。
それは本の“未来”が収められた、美しく、不思議な図書館。
紅玉いづきが詠う、すべての書物への未来譚(ラブソング)――。
あなたにとっての大切な一冊は、きっとここでみつかる。(裏表紙より)
無料公開していた一話を読んで、ぼろっぼろに泣いてから、なんだか恐くてしばらく遠ざけてしまっていた一冊。サエズリ図書館という私立図書館の特別探索司書ワルツさんと、利用者の人々の物語。
一話で、やられたー! と思ったんですが、二話からその世界が、一度終わりを迎えた時代だとはっきり分かるようになっています。どうやら首都は機能しておらず、地方ごとに運営がされているらしい。けれど、汚染された世界では確実に終わりが近付いている。
けれどそれをはっきり、本という形で「死なない」と言ってくれるのがワルツさん。終わりをひたひたと感じながら、「みんな、本を愛している」からと言ってくれる。それがなんだかなあ、胸をぐっと掴まれたように感じました。
もっとこの図書館と本の物語を読みたいなと思いました。
ケトア平原の屋敷には、領主と契約しようと森の住人が大挙して押し寄せていた。そして、ムイはフィンドルとラーシェンを意識してしまい、まともに顔も見られない状態が続いていた。そんな中、キハネをそそのかし契約書を盗み出したティッセは、アーレン達を使い、メージェレに攻め入ろうとしていたのだ! クライマックスへ向けて、シリーズ急展開!! 番外編『星祭りの夜に』も収録。(裏表紙より)
ピクテ・シェンカの不思議な森シリーズ第七巻。ティッセとの戦いの決着巻。新しい契約書にサインをしていく中、ティッセとキハネが決定的に決別、やけになったティッセは王都メージェレへ攻め入ろうとする。本編は短めですが、三角関係のにやにやが佳境です。二人もムイの理由に気付いたようだし、次が最終巻なのでどう決着をつけるか楽しみ。
職を失いロンドンをさまよっていたペネロピーは、ふとした出会いからアイリーン・アドラーという美女と共同生活を送ることになる。彼女は女優にしてオペラ歌手、そしてときには探偵でもあった。著名な宝石商から依頼されたマリー・アントワネットゆかりのダイヤモンド捜しから始まる、壮大な冒険の日々! 名探偵ホームズが敬意をいだいた“あの女性”が主演する、魅惑のシリーズ開幕。(上巻・裏表紙より)
これもBBCのドラマ「SHERLOCK」の影響で。アイリーン・アドラーという女性にかなり強い興味を抱いていたところにこの本が目について、なにこれ表紙可愛い! しかもアイリーンが出てくるの!? と手に取りました。一応、この前アイリーンが関係する、原典の「ボヘミア王家のスキャンダル」は読みました。
行き場を失って路頭に迷っていた女性が、アイリーンと出会ったことで始まる冒険の日々。自由奔放、意志が強く、気ままで時に楽観的、だというのに観察眼の鋭く賢い女性であるアイリーン。謎めいた美女というよりも、活発でくるくる表情が変わるまさしく「女優」という人のように感じられる。ちょっと落ち着きがないなーと思いながら、楽しそうなのでいいかなとか。
ホームズとすれ違っているところはどきどきしますね! 今はまだお互いに姿を捉えながら、別のところを歩いている感じですが、これが同じ目標にめがけてよーいどんしたら、さぞかしスリルがあるだろうな。
下巻。ボヘミアに駆けつけたネルが見たのは、国王暗殺の陰謀だった。読み進めていくうちに、これはジェンダーの話なんだなあと気付く。ホームズとワトソンが見ていた「ボヘミアの醜聞」はひどく男性的で封建的な、女性の地位がまだ低い社会での出来事だったけれど、この本は女性がそんな男性的な考え方に立ち向かっていく話のように思える。ので、アイリーンが結局ノートン氏と結婚したのはなんだか不思議な気がしました。でも三人仲良しなのはとてもいいことです。ホームズも、ボヘミア王の物の見方について気付いた節があったし、また二人の物語が交差したらいいなーなどと未翻訳の作品が出る夢を見ます。
『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』でおなじみ海堂尊が贈る、大人気〈田口・白鳥シリーズ〉みたび登場! 伝説の歌姫が東城大学医学部付属病院に緊急入院した頃、不定愁訴外来担当の田口公平の元には匿名の告発文書が届いていた。“将軍(ジェネラル)”の異名をとる、救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという。高階病院長から依頼を受けた田口は調査に乗り出す。(上巻・裏表紙より)
『ナイチンゲールの沈黙』で起こっていたもう一つの事件。ナイチンゲールが妙に薄かったのでなんでかなーと思っていたら、事件が重なっていたのか! こちらは、病院内の派閥、人間関係、および各人の思惑が絡みあう複雑な物語。面白かった! ナイチンゲールでちょっとだけ消化不良だったけれど、これは会議のやり取りが白熱して面白かった。ナイチンゲールが桜宮市の物語だとしたら、ルージュは東城大付属病院の物語でしたね。
上巻はやっぱり白鳥はおらず、加納警視正もいない。けれど病院内の派閥が、みんな狸ばっかり……笑 田口はやっぱり巻き込まれて傍観者。と思っているのは本人と私くらいなのかな。
沼田助教授のいやらしいやり方にはうー! と唸ったし、速水の颯爽としたやり方にはほれぼれしたし、最後においしいところを押さえてくれた田口に拍手喝采! と爽快でした。姫宮ってどんな人だったかなーと思っていたら、えらく肝の座った、すっとぼけた女性で楽しかったですし、とても登場人物がいろいろでどこから切り取っても面白いなあ。
ミステリー界のスーパースター、シャーロック・ホームズ。ロンドンを舞台に鮮やかな推理力と機敏な行動力で難事件を次々と解決する。
赤毛の男を募集する、という新聞広告の謎を追う「赤毛連盟」、自ら生命の危険をおかし、真相に迫る「まだらの紐」など、6つの怪事件に挑む名探偵ホームズの大冒険。(裏表紙より)
「ボヘミア王家のスキャンダル」「赤毛連盟」「花婿の正体」「五つぶのオレンジの種」「ゆがんだ唇の男」「まだらの紐」の六編。何故これを読んだのかというと、やっぱりBBCのドラマの影響です。ミーハーで申し訳ない。
思ったよりも嫌味でないホームズと、思ったよりも協力関係(友人関係)の強いワトスン。ホームズの千里眼かと思われる観察力はさすがですが、ミステリのトリックはとても単純で、意外と人が死んでしまうし、割合あっさりしているなと思いました。短編ばかりだからかな。いやしかし、とても面白い!
―—なぜ、アドリアンは駈け落ちなどしたのか、
異国から虜囚としてやってきた姫にだまされたのか……?
黒龍隊長ゼルス・ダガンは逃げた二人を追いながら思う。
古い貴族の家に生まれ、将来を約束された近衛騎士の青年は、美しい婚約者を置いて逃げる必要などないはずだった、と。しかし、月の輝く砂漠の中でダガンが二人を追いつめた時、アドリアンが吐露した心情、希求の叫びとは——!?
それぞれの立場、願いが交錯する表題作のほか、長篇書き下ろし「街の灯は黄水晶色にあたたかく」を収録。
期待のニューフェイス・甲斐透のデビュー作。(裏表紙より)
駆け落ちした姫と騎士。だが、姫は城を逃亡し故国へ戻って、恋しい男の元へ帰ろうとしていた。恵まれた立場に生まれた青年騎士と、異国の血を引くがゆえに出世できず部隊長に甘んじている男。二人の思いが、月の砂漠で交差するところは胸に迫ります。
出てくる人は基本的に男性ばかりですが、男所帯ながらも寄せ集めの面白さ、個性がとても楽しいです! 男どもがぎゃあぎゃあ言っているのってとてもいい。信頼されながらもいっつも貧乏くじを引かされる、不器用で優しい隊長殿って、ときめかないわけにはいかないでしょう!
大学で美術を講ずる母は、男との出会いと別れを繰り返す恋多き女。自立した生き方をめざしながら、時に孤独な女の顔を剝き出しにする母に、深く傷つけられる絣。その絣を優しく包んでくれるのは、版画家の別れた父だった。繊細な少女の、離婚した両親との微妙な関係、アル中の母を抱えて逞しく生きる同級生との恋、神経症の友人との交流などを描き、現代の家族の肖像を探る意欲作。(裏表紙より)
読んだのは新潮文庫。
いいなあ。これ。あらすじを読んだ時には、なんだかドロドロして結局、思春期がどうの性がどうのって言われるんでしょうと身構えていたんですが、しょっぱなから「思春期って」と打ち砕かれて目が覚める。複雑な環境にありながら、流れていくのはからっと乾いた思考ばかり。
つんと澄ましたような少女、絣の物言いが好き。知ったかなんだけど、ある面ではとても冷静で、でもとても熱くて自己反省の時には泣き出してしまうほど。心を澄まして、燃え上がらせて、思いっきり傷ついてということを繰り返して、少女の心は磨かれていくのだなあ。そういう伸びやかさや、険といったところが、とても魅力的な作品でした。好きだ。
オススメありがとうございました。
少年はグレン警部の前にやって来ると、大柄な警部をきれいな菫の瞳で、珍しそうに見つめてきた。
「こんにちは。アルフォンス・レイヴンウッドです」
似ていると思ったのは最初の一瞬だけだ。短めの髪は茶色の癖毛で、シェラのつややかな銀色の髪とは似ても似つかない。肌の色も違う。声も違う。シェラの声は落ちついていたが、アルフォンスは少年特有の高くはしゃいだ声だ。
要するに、明らかな別人である。
「きみによく似ている子を知ってるんでね。シェラ・ファロットっていうんだが……」
少年は眼を丸くして、ちょっと唇を尖らせた。「ひどいや、警部さん。ぼく、男ですよ」
シェラ、まさかの失踪! その生存が刻々と絶望視される中、ルウのカードが隠された真実を語り出す……(裏表紙より)
めずらしく別行動したシェラは、その旅先で行方不明に。その後、シェラによく似た、けれど別人らしき少年が存在することを知って、リィとルウは調査に乗り出す。
どうしてこの世界のお金持ちというのは、金に物を言わせた悪者ばかりなのか! という、人と人とも思わぬ所行で、今回も動く要塞が派手に砲をぶっ放したり自爆したりと忙しなかったです。大人の男たちは金銀黒天使に翻弄されて、お疲れさまです。
夏休みが終わって都に戻ったムイは、契約書の材料も集め終え、ようやく普通の生活に戻れると思っていた。だがティッセの策略でナナサ国王が森を訪れることになってしまった! 契約書が崩壊寸前だということを秘密にしているムイは、新しい契約書の完成を急ぐが、ふとした事がきっかけで、フィンドルとラーシェンを顔も見られないくらい意識してしまい、関係がギクシャクしだして!?(裏表紙より)
ピクテ・シェンカの不思議な森シリーズ第6巻。材料も集まったし契約書を作り直そう! でも作業が終わっていないうちに、国王がやってくることになってしまった。裏ではティッセが、次期国王候補グリジスをまだ操っているらしく。
ムイ、ラーシェン、フィンドルの三角関係に答えを出すための兆しが! ラーシェンとフィンドルが結託するのがいいですね! ヒロインが逃げ惑うのに対して、二人が協力し合って追いつめていくのににやにやしました。
今回一番にやにやしたのは、ムイがみんなに抱きついて「ああならない!」と言っているところ。ぎゅーぎゅーだんごになっているムイかわいいー!