読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

魔女や小人、魔法の鏡、そして継母によるいじめ、動植物への返信……。「シンデレラ」「白雪姫」など19世紀ドイツのグリム兄弟が編んだメルヘンは、今も世界中で愛されている。だが、それらは本当は何を語っているのだろうか。キリスト教が広まる以前の神話・伝承にまで遡り、民衆の習俗や信仰、夢や恐怖に迫る、発見に満ちた案内。(カバー折り返しより)
非常に面白かった。ほうほうほう! となった。
触れている作品は「シンデレラ」「眠れる森の美女」「ホレおばさん」「白雪姫」「ラプンツェル」「蛙の王さま」。どれも馴染みのある作品ばかりで、文章も分かりやすかったし、何より知らないことがたくさん書かれてあって興味深かった。
「シンデレラ」の類話に関してが特に興味深かった。世界中のシンデレラに触れてあるところがあった。
そういえば全然関係ない話だけれど、「鵞鳥番の娘」、小学校低学年の時にすごーく好きだったのを思い出した。確か髪の毛を梳いている時に近付いて髪を取ろうとする少年に、主人公は風よ吹けと唱えて、というシーンを思い出した。
6/2「エルヴァインの末裔」
6/5「さみしさの周波数」
6/11「大好きな本 川上弘美書評集」
6/12「バルハールの姫君」
6/17「シェーンベルムの騎士」
6/18「ユスティニアの花束」
6/19「イシュターナの祝鐘」
6/25「グリム童話の世界―ヨーロッパ文化の深層へ」
6/25「白雪姫 (大学書林語学文庫)」
6/26「ジェニーの肖像」
6/27「おとぎ話にみる死と再生―白雪姫の深層」
6/29「ビルマの竪琴」
6/29「シュナの旅」
6月分は以上。

アダルシャン王弟アレクシードは、カストリア帝国に乗り込み、ようやく幼妻のユスティニアと再会する。しかしその喜びも束の間、再び離ればなれに!! 約束の場所を目指す二人だったが、アレクは美貌の皇太子ルシウスに捕らえられ、絶体絶命の大ピンチ!! 二人は敵対する母国を平和へと導くことができるのか? すべては、ハッピーエンドのために!! 年の差カップルが贈る〈アダルシャン・シリーズ〉ついに感動の最終巻!!(裏表紙より)
それぞれの選択が導く物語の終わり。
セオが少年らしい思いを抱いていて、だから許せないというのが非常に痛いです。
アレクとルシウスの対峙シーンが滾りました。ルシウスの言葉に対して、「……あなたの妹は、そうは言わなかった」と言ったシーンにはっとしました。何故かユティのことがぱっと過って、風が吹いたみたいに神聖な気持ちになりました。
兄弟の再会と、エリアスの選択も良いように終わりました。兄弟が相変わらず兄弟で安心。ユーゼルは本当に王者だなあとか。しかし努力の賜物なのは短編集の「ユスティニアの花束」で分かるので、ユーゼルにこの先も長く王座にあってほしいと思ったり。
意外とあっさり終わってしまって、アレクとユティは進展の気配を見せつつ……で終わってしまったし、騎士団やアゼリア、ファーナも出てこなかったし……とちょっぴりそこだけ不満です。できれば、大人ユティが見たかった! 彼女非常に綺麗になってるはずだ!
面白かったです。文章が好きでした!

それはまだ、ユスティニアが嫁ぐ前。彼女を誰よりも大切にしてくれた騎士との切ない約束を描いた感動作『花の約束』、貴婦人を目指すユティのハタ迷惑な奮闘が可愛い『未来の花嫁』、幼いアレクシードと兄王との絆を描く『てのひらの記憶』、近衛騎士フラッドとのアレクの出会い『ひだまりの誓約』に加え、ユティとフラッドの浮気疑惑(!?)や、アレクの初めての記念日など書下ろし新作を3本収録。芳しい物語の花束をあなたに!(裏表紙より)
好きなのは『ひだまりの誓約』と『てのひらの記憶』。フラッドの内心が分かってやっぱり腹黒だったかと思いながら読んだ。ユーゼリクスとフラッドの関係はここから来てるのかな。何故かユーゼルとフラッドの会話が好きなので、この短編で少年たちの会話が見れたのは嬉しかった。あとがきにあった幼いアレクの三パターンが爆笑ものでした。
『てのひらの記憶』にそれが集約されていて、噴きました。兄弟が、幼い子ども同士なだけに、兄は容赦なくて、弟は純粋というおばかで。楽しかった。

離宮への突然の襲撃により、アダルシャン王弟アレクシードは、幼な妻のユティと離ればなれになってしまう。元傭兵の色男・カジャに救われ、辺境の森に身を寄せていたアレクあdが、ある衝撃の事実を知り、ユティを探してカストリアに乗り込むことに!! 一方ユティも、アレクに再会するための計画を練るのだが!? 離ればなれの二人の、そして敵対する二つの国の運命は!? ユティの唇も狙われて、最高潮の盛り上がりのシリーズ第7弾!!(裏表紙より)
乙女巻でありました。王宮で暮らすユティの葛藤や事件と、救出に乗り出したアレクがどうしたら会えるのか! というものです。ユティの家族は母上がどんな人物かいまいち分からんのですが、でも非常にやり手な気がします。ユティの家族を見ていると、王の寵愛がどうたらという感覚がないようだし非常に王の趣向に理解がありそうです。
そんなことよりも、アレクですが彼は非常に女性相手に取り繕うのがうまいですね! 普段はどうしようとかすぐ考えてしまうのに、何故女子供相手になるとこうも紳士になるのか!! お姉様方が気になるところなのですが(喋り方フェチなのでアウレリアが好き……)、彼女らを前にしてもアレクが普通の騎士の態度なので絶賛ニヤニヤ祭りでした。皇女×舞踏会×救出はときめき。

アダルシャン王弟・アレクシードは、幼な妻のユティと離宮で穏やかに暮らしている。しかし故郷カストリアに近いせいか、ユティは昔を懐かしんでいるようで、アレクはちょっと複雑だ。
そんなある日、王都から衝撃的な報が届く。そこにはユティの兄・皇太子ルシウスの名が。やがて離宮の二人に魔の手が伸びて!? アレクはユティを守れるか!? 二人を想う人々も登場で波乱の予感!! アダルシャン・シリーズ、ドラマティックに急展開!!(裏表紙より)
ユティの、アレクに抱いた最初の思いが巡ってくる話でした。復讐心を抱いてユティは来たけれど、彼女は非常に頭のいい子だったから、何が悪いのかをよく分かっていたけれど、好きな人間を失った気持ちは変わらなくて、という、彼女もまた等身大の悩みを抱いていて。
今思うと話の進みが結構遅い感じがしますが、ひとつひとつのエピソードが大切にされている感じがして、こういうのを絆としていくんだなあと思ったり。
ルシウス兄上が非常に嫌な人物でにやにやどきどきしました。明確な悪役というのがこのシリーズにはいないようなのだけれど、戦争を仕掛けようとする兄上が悪役になっていて、夫婦の間に困難が! というのがときめきます。でもやっぱり悪役ではないんだろうなあと思ったり。

王弟アレクシードは、幼い花嫁ユスティニアと、港町・バルハールの離宮で暮らすことに。遊び仲間(=夫)が一緒で嬉しそうなユティとは反対に、アレクは穏やかな生活に馴染めない。
そんなある日、バルハール最大の祝祭で、アレクはユティの危機を救った剣士と出会う。燃えるような紅い髪を持つ彼の、剣の腕に驚くアレクだが、彼のせいである事件に巻き込まれ…!? 一方ユティに恋の予感も!? アダルシャン・シリーズ新章開始!!
新章というわりには国の一大事ということはあまりなく……結構地味な印象の巻です。ほのぼのしてます。本当に普通の夫婦というか、平和に生活してますね……。
アレクのうじうじがまたあって、これで正しかったのかと考える様は、本当に普通の若者。彼に対して悪感情は抱けないんだよなあ……。うまく出来なくて、悩んで、考えて、それでも出した結論は、端から見たら愚かなのかもしれないけれど、でも彼には彼の信念があってそれを貫き通そうとする、その強さが非常に好感を抱くんだと思います。それを支えるユティがまたいい。
「それで、そなたはそれを悔いておるのか?」
(略)
「もし悪いと思うなら、謝れば良い。人は誰しも過つものじゃ。取り返しはつかぬが、次に同じことをせぬようにすれば良いと思う」
「…………」
「したが、悪いと思うておらなんだら謝れぬ」
「きっと、義兄上はお解りだと思う」
(略)
「お怒りではあるやも知れぬが、そなたに謝れと仰らぬであろうよ。(略)」
一方で陰謀の匂いを漂わせつつ、以下次巻。

新聞などに掲載された書評を集めた一冊。
書評なんですが、なんだか読みにくかった気がします。本の内容がよく分からないということがあったんですが、それでも非常に文章が綺麗で、面白かったです。本当に全く違うタイプの読書傾向でした。うん、小説を書くように書評を書かれるなあ、言葉並びが綺麗で、丁寧に自分の心情を本の良さに絡めて解説している感じ。
本を読む時のTPOの話がちらりと出てましたが、私も時々考えます。「気分がいいからこの本」とか、「今日は○○があるからこの本」とか。
メモ
斎藤美奈子「紅一点論」ビレッジセンター出版局
筒井康隆「わたしのグランパ」文藝春秋 「銀齢の果て」新潮社
柴田元幸 訳「むずかしい愛」朝日新聞社
ジュンパ ラヒリ「停電の夜に」新潮社
久世光彦「女神」新潮社 「謎の母」新潮文庫 「蕭々館日録」中公文庫
スティーブン・キング「小説作法」
伊井直行「お母さんの恋人」講談社
酒井順子「枕草子REMIX」新潮文庫
吉田修一「パレード」幻冬舎文庫