読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ノベルジャパンで好評連載中の「五代ゆう&榊一郎の小説指南!?」が単行本化。
人気作家ふたりが語る内容は、小説家になりたい人や小説家がどんなことを考えているか知りたい人は必見!心構えから小説を書く段階まで、ふたりが実際に行なっている手法がわかるので、非常に実践的。さらには、本編で出たアイデアにしたがって書かれた描き下ろし小説も掲載されていて、超お得!
この小説を読むためだけでも買う価値アリの1冊です!!(Amazonより)
2007年のムック本。いま読んでも十分通じる、と思ったのは「金太郎飴」の話が出たところ。
連載されていた当時、ライトノベルは学園異能力バトルものがブームで新作は大抵これだった模様。王道ストーリーと人物設定をするとして、他作品との差別化といえば名前の変更だけじゃないか? と考える人が多かったよう。「王道ものを書いた」のか「金太郎飴になっている」と考えるのか、受け取る側の印象が異なる原因はどこにあるのか、という部分。五代先生と榊先生はこれを「作者が手を抜いているかいないか」と表現している。このストーリーと設定なら流れはこうだよね、と考えるとき、作者は、登場人物という役者が役になりきれるように思考しているか。
これなんだよなあと、昨今の様々なブームを眺めながら考えたのでした。
近色々勉強する機会があって改めて創作技術系の本を読むなどしているのですが、こういう本が以前よりもいまの方がずっとずっと理解できるのが不思議で。私自身がちゃんと自分の技術について自覚的になったってことなのかなあ、だったらもっと成長したいなあと思ったのでした。
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仲村叶は特撮オタク、通称特オタ。シングルマザーの母親から「女の子らしくない」と取り上げられ続けた特撮愛を、大人になって一人暮らししているいま満喫している二十代。だが偶然同じ特撮好きの小学生や年上の女性に出会ったことで少しずつ趣味に対する後ろめたさを解消していく。しかし何も知らない母親との距離は難しいままで……。
原作は数巻読みました。数年前原作を読んだ当時は「つらいよなあ……」「大変だなあ……」と思っていたんですが、この2023年にドラマを見ると、あれっ、オタクを取り巻く状況がかなり変わってる? と思ったんですよね。だってこの時代、大抵の人が「推し」を推してるんだから。
時代が変わってよかったなあ……と思いながら、家族や周囲の無理解に苦しんだ人たちのことを想像して視聴。年齢的なものもありますが家族の理解が得られない、好きなものを否定されるというのは本当に見ていてきつくって、お母さんが出てくるところはだいぶはらはらして見ていました。だから最終話直前、叶がお母さんを「じゃかあしいわクソババア!」と殴るところ、殴れ、殴れ、私なら殴ると思いながら見ていたので、本当にびっくりすると同時に仕方がないとも感じました。
最後はちょっと和解した空気を出していたけれど、こういう問題は根深いから解決には至っていないのがちょっと気になったかな……。誰かの好きなものを否定しないって難しいんだよな。
「オリー」
曖昧な記憶を頼りに、大切な親友の元へ帰ることを決めたぬいぐるみのオリー。何故自分はビリーの元を離れてしまったのだろう? こうなった理由が思い出せない……。だが旅を続け、帰る場所の記憶を少しずつ取り戻すうちに、ビリーと家族に起きた悲しい出来事にたどり着く……。
ぬいぐるみが持ち主の元へ戻ろうと旅をする、そういうストーリーが「トイ・ストーリー」と比較されるのはもうどうしようもないと思うんですけれども、この「オリー」はそこにもう少し苦い気持ち、悲しみの痛みと、ファンタジックな奇跡をバランスよく足した印象で、結末がとてもよかったと思いました。オリーの、お母さんの言葉、ちゃんと届いたね。
暴力を振るう男の悲痛さと悲しみが人形に投影されているのは切なかったな……。ロージーのパッチワークも、傷ついて手当てしてを繰り返した女性を思わせる。だからビリーが泣かないことが強さじゃないと、男らしさから抜け出すのも印象的でした。
曖昧な記憶を頼りに、大切な親友の元へ帰ることを決めたぬいぐるみのオリー。何故自分はビリーの元を離れてしまったのだろう? こうなった理由が思い出せない……。だが旅を続け、帰る場所の記憶を少しずつ取り戻すうちに、ビリーと家族に起きた悲しい出来事にたどり着く……。
ぬいぐるみが持ち主の元へ戻ろうと旅をする、そういうストーリーが「トイ・ストーリー」と比較されるのはもうどうしようもないと思うんですけれども、この「オリー」はそこにもう少し苦い気持ち、悲しみの痛みと、ファンタジックな奇跡をバランスよく足した印象で、結末がとてもよかったと思いました。オリーの、お母さんの言葉、ちゃんと届いたね。
暴力を振るう男の悲痛さと悲しみが人形に投影されているのは切なかったな……。ロージーのパッチワークも、傷ついて手当てしてを繰り返した女性を思わせる。だからビリーが泣かないことが強さじゃないと、男らしさから抜け出すのも印象的でした。
「ぐでたま 母をたずねてどんくらい」
冷蔵庫の卵から孵ったひよこのしゃきぴよは、割れた卵から出てきたぐでたまと一緒に、母親を探す旅に出る。やる気のないぐでたまを連れ出したしゃきぴよを待っているのは波乱万丈の大冒険。果たして母親に会うことはできるのか?
現実世界で起こっている、もしかしたら小さなものたちが動き回っているかもしれないという世界観。ぐでたまのだらだら感が見ていてほっとしてしまう。子どもの頃だったら動いてくれないぐでたまに苛立ったかもしれないのに、これが大人になるということか……。
大人の世界に疲れた人間、嫌気がさしたりぐだぐだしたい人間にはぐでたまたちの世界が見えるっていうのがいい。本当はみんな、こんなに頑張りたくないって思ってるんだよ……。
ぐでたまのつるんっぷくんっとしたフォルムと色合いが可愛かったです。
冷蔵庫の卵から孵ったひよこのしゃきぴよは、割れた卵から出てきたぐでたまと一緒に、母親を探す旅に出る。やる気のないぐでたまを連れ出したしゃきぴよを待っているのは波乱万丈の大冒険。果たして母親に会うことはできるのか?
現実世界で起こっている、もしかしたら小さなものたちが動き回っているかもしれないという世界観。ぐでたまのだらだら感が見ていてほっとしてしまう。子どもの頃だったら動いてくれないぐでたまに苛立ったかもしれないのに、これが大人になるということか……。
大人の世界に疲れた人間、嫌気がさしたりぐだぐだしたい人間にはぐでたまたちの世界が見えるっていうのがいい。本当はみんな、こんなに頑張りたくないって思ってるんだよ……。
ぐでたまのつるんっぷくんっとしたフォルムと色合いが可愛かったです。
常春の国ストランドから、魔女に呪われ雪に閉ざされた冬の国ラヴィネンへ嫁ぐことになった王女シルヴィア。この婚姻は呪われた冬の国に春を呼ぶため、五十年に一度必ず交わされるものだった。夫となった王太子アルベルトがシルヴィアに向けるのは、まるで興味がないような素っ気ない態度。春の国ストランドの王族でありながら、氷のように冷たい銀髪と水底のような青い瞳というシルヴィアの姿にアルベルトもがっかりしたのだろうと落ち込むが──……彼は無愛想に見えただけで実はシルヴィアに一目惚れしていた。しかし二人は互いに嫌われていると思い込んでしまう。さらに、シルヴィアが嫁ぐことで訪れるはずの春は一向に来る気配がなくて……?(Amazonより)
花のような姉妹たちに囲まれて、銀色の髪と青い瞳という寒々しい色を持ち、父母の庇護を失って冷遇されていた王女シルヴィアが、政略結婚で嫁いだ国の王と心を通わせ、幸せを手に入れる物語。この王道が、好き!!!
「テディベア」にはちょっと現実世界みを感じてしまったんですが、「テディ」を人の名前だと勘違いする展開はとても微笑ましかった。ぬいぐるみを吸う王女、可愛すぎる。
しかし夢中文庫さんは一冊が短いんだよなあ! もっと仲良くなる過程が見たかったー! 二人の仲の良さでストランド王家の人間やラヴィネンの人たちにやり返してほかったな。乳兄弟たちに見守られている不器用な二人にめちゃくちゃきゅんきゅんしたので!
縁談がなぜか次々と白紙になり、すっかり嫁き遅れ状態の伯爵令嬢ジュディス。社交界では息をひそめて過ごしていたのに、第三王子フレデリックから突然のプロポーズが! 単なる子供時代の遊び相手の私にどうして――? 混乱のまま婚約は進み、気づけば彼の寝室のベッドの上。幼い頃の面影をのぞかせつつ力強くリードしてくれる彼に心惹かれていくジュディスだったが、知らずにいた十三年間のフレデリックの独占欲が次第に明らかになり……。(裏表紙より)
ソーニャさんにしてはコメディ色強めな雰囲気? 二十五歳の嫁ぎ遅れ令嬢が、成人したばかりの十八歳の第三王子に執着され、ようやく結婚に至る。このフレデリックがまあ有能なんだけれど才能の使い道をただ「伯爵家出身だが特別身分が高いわけでもない、年上のジュディスと結婚する」ためだけに使うところ、だいぶ闇が深い。最後の最後に、彼に近しい女性陣がその所業を少しだけ話すんですが、味方になってくれそうな彼女たちすら遠ざけて自分だけを頼るようにする、というのはさすがに……さすがにどうかと……、というソーニャ文庫のヒーローらしいやばさでした。いやでもアントニアのことを含め反省していても、ジュディスが何も知らない状態であり続けるのは……まあフレデリックが満足ならそれでいいのか、うん。
両親を亡くし、独りぼっちで生きていた女子大生・鈴鹿涼音。彼女は家に伝わる遺品の剣を手にしたとき、千年の眠りについていた美しき鬼神と出会い、見出された。――そう、金色の瞳と緋色の狩衣をまとった鬼神・大獄丸に。
涼音は強大な力をもつ彼とともに怪異を封じる使命を負うことに。当初は鬼神の存在に戸惑った涼音だが、自分を守ろうとする彼の姿に次第に心の傷を癒されていく。
しかし、実は涼音こそが、鬼神を殺した乙女の生まれ変わりだと言われて……。千年越しに廻る運命の行き着く先とは――?(裏表紙より)
天涯孤独で、お金を稼ぐことに執着する農大生と、当初は首だけだった鬼、そこに現代らしい、陰陽寮の流れを汲む特殊捜査班とあやしの者、と単なる転生ものではなくお仕事ものの気配をわずかに漂わせるお話。続編ありきのいろいろが散りばめられているなあ。
寂しいのに寂しいって言えないでいる涼音が切なくてなあ……。大嶽丸は、彼は彼で細やかだっていうのはきっと人の世界のことをよく見ていたからだろうし。
そういう、寂しさを抱えて生きなきゃって思っている涼音と、まあ付き合ってやるかという大嶽丸のコンビは結構うまくいくんじゃないかって予感がある。まあ男前で度胸のある涼音と最強の鬼の大嶽丸が戦うところが見てみたーい! っていうだけの話なんですけれどもね!
とある地方都市でSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会が開かれた。九人の参加者は別れ際に、これからも創作を続け、十年後に再会する約束を交わした。しかし当日集まったのは五人で、残りが自殺などの不審死を遂げていた。生きることと詩作の両立に悩む僕は、彼らの死にまつわる謎を探り始める。創作に取り憑かれた人々の生きた軌跡を辿り、孤独な探偵が見た光景とは?(裏表紙より)
紅玉さんらしいテーマだなあと思いながら読んでいたんですが、最後にうえっ!? という謎解きが始まり、さらにもうひと展開あってひええーと思いながら読み終わりました。ああ、それは……それは……探らざるを得なかったんだな……ああ……。
十年後に集まった詩人たちだが、以前集まったはずの半分近くが死を遂げていた。創作者としての孤独や自尊心がぐちゃぐちゃしていて、亡くなった方にだいぶ心を傾けて読んでいたんですが、それがやがて不穏な「盗作疑惑」や「不審死」「他殺の可能性」の展開に至ると、心がどっちつかずになって、そこにあの「蓮見、敬一くん」ですよ。完全に黒子だった「僕」に一気に引き込まれてしまって、胸が引き絞られました。本当に、彼は知りたかったんだと思って。
すごかった。すごかったなあ……。