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憑神 (新潮文庫)
時は幕末、処は江戸。貧乏御家人の別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった! とことん運に見放されながらも懸命に生きる男の姿は、抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。傑作時代長篇。(裏表紙より)

作業の合間のちょっとずつ読もう、と思って手元においていたんですが、これが段々と面白くなってきて!
時代物はあんまり読まないので、倒幕やら志士やらという話は一般的に坂本龍馬、勝海舟サイコー! みたいなものが刷り込みされているのですが、この作品の武士側から見ると、武士とはこういう存在だったのだな……と染みるような感慨がありました。いちいち、彦四郎が哀れ、かつ、かっこよすぎる。不運でいるところに頼んでしまった神が、貧乏神、疫病神、そして死神。死神をどうするのかと思いきや……貫いた彦四郎は強い心の持ち主だ。最後がもう粋って感じ。
そしてまた、この神々の人間臭いこと。涙もろくて、情に流されやすくて、だから人間の近くにいるのかなと思ったりする。
面白かった!
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