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丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫 お 37-58 十二国記)
「希望」を信じて、男は覚悟する。
慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか──表題作「丕緒の鳥」ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。(裏表紙より)

ネタバレを気にされる方がいらっしゃると思うので、続きに畳みます。





12年ですか。12年ですよ! このシリーズとの出会いは忘れられないなあ。今はなくなってしまった駅前の本屋さんで母に買ってもらって、それから一冊読むごとに母におねだりして買ってもらいました。妹も母もドハマりして、みんなで読んだ。そんな母もこれを見た時「12年!?」と叫んだという。
表題作「丕緒の鳥」は、十二国記の新作短編が載ると聞いて雑誌「yomyom」を買って読みました。久しぶりに読み返して、慶王との対面にまたどきどきしました。静かで、響くやりとりでした。
「落照の獄」はなんとも苦い味の話で、諸官の苦悩、落ちていく国の中で人々の生きている部分が重く描かれていて、民と官と王と天の、決して理解されることはないわずかなすれ違いが重くて。「丕緒の鳥」は官が民に近くて、王にどのようにすれば届くのかを苦悩する話だったと思うのですが、「落照の獄」は、司法の立場からして民と同調することはできず、官として在ることの息苦しさが辛かった。しかもあの終わり方はもう……。受け入れられないことが、なにがしかの終わりを意味するのかもしれない。
「青条の蘭」は、誰もが一筋に、国がよくなることを祈っている真っ直ぐさが、その前の「落照の獄」からの流れからくると泣けてしょうがなくて。どこの国の話だろう、寒い国? 堤がどうたらってもしかして……と思っていましたが、ああそこなのかと! だったら大丈夫だという安心感からどっと涙があふれました。
国を追われた娘の「風信」。「丕緒の鳥」でも慶国での女王への不信感がものすごいのですが、こんなことがあったらそれはみんな落胆すると納得がいく悲惨な出来事。逃げ延びた少女蓮花が辿り着いたのは、暦を作っている嘉慶らの下働き。今までが男の人ばっかりだったせいか、少女からの視点というのがとても読みやすく、すごく好みでした。最後もすごく好きです。
この本で改めて認識したのが、里木の在り方でした。そうか卵がないから、そういう風に実がついたり虫が生まれたりするのかと。
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