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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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黄昏の百合の骨 (講談社文庫 お 83-5)
大量の百合が花開く白百合荘は祖母の家。だがその祖母が転落死、遺言は理瀬に半年以上この館に住むこと。しかしその家は「魔女の家」と呼ばれており、叔母が二人住んでいた。不吉な事件が起こる中、館の秘密と彼女の闇が浮彫になっていく。

麦海に続く二作目。
これはなんと略すのだろう。植物に関連するタイトルを付けているみたいなのでこの前百合と書いたけれど。
これもまたずっと暗闇の気配を感じる作品で、これは黒のイメージがある。黄昏は少し雲が覆いどんよりとした感じの色。
ミステリーじみた非日常という感じで、底の方にずっと恐いものが潜んでいる感じがある。だからやっぱりじんわり怖いんだな。
理瀬が頭の回る子で怖くなってくる。でも雅雪との会話は普通の女の子らしくて良いなという感じ。あの時思い浮かべたのはやっぱり黎二だろうか。
これ再読してびっくりした。理瀬とヨハンって、えー!? みたいな。それから次回に向けての伏線、それも極太の伏線がどーんと。
三部は現在連載中。一年後ぐらいには単行本になるかな。

アンケートからオススメでした! 恩田陸だいすきなんですよ、私!
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麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
三月から始まる不思議な学園に水野理瀬は転校してきた。革のトランクとその身一つで、閉じられた全寮制の学園へ。そこには家族から望まれない『墓場』組と望まれる『ゆりかご』組に密かに分けられる生徒たちで溢れていた。学園の駅へ降り立つその時、理瀬は革のトランクを盗まれてしまう。彼女がそれを取り戻す時、新しい物語が始まる。

確か三部作であるというのを見たことがある。これだけで完成されているのでこの本が今のところ一番好きだ。
私の麦海は上品なグレイ。作中に夏や青い丘という表現があるにもかかわらず、灰色の雲や風を見えるのはすごい。ずっと灰色の空気が漂っているような気がする。暗闇と灰色と白の印象がとても綺麗だ。
黎二が、ちょっとやさぐれてても上品な少年というのが良い。憂理もヨハンも聖も好きだけれど、でもやっぱり理瀬が一番好きだ。物語中のちょっと弱気なところ。気弱だけれど芯が強い頭の良い美人な子というのが良い。最後の豹変ぶりが格好いい。
ラストは余韻が残って綺麗だ。始まり方も素晴らしいと思う。

 ――そして、時の花びらを散らす。



という一文で、湿原の道を車が向こうへ過ぎ去っていき、水色の花びらがこちらに向かって飛んできて終わるイメージが浮かぶ。本当にこれはラストが素敵で、これと始まりを読む為に本を開くぐらい。

アンケートからのオススメでしたが、私もこの本だいすきですよ!
鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)
汚染された大地を移動する〈自立型移動都市〉レギオスで生活する人類。そのひとつ学園都市ツェルニにやって来たレイフォンは一般科を希望するが、武芸科に引き抜きされる。しかしレイフォンにはどうしても戦いを選べないのだが。

面白い! ライトノベルで学園ものってやっぱり苦手な印象があるのだけれど、良い!
女の子ばっかりだなーという印象で、男の子の仲良しが欲しいなあと思ったりする。同性の信頼関係が好きなんけどな!
レイフォンのうじうじが何だか良かった。真っ直ぐさは共感するものがあって、見守りたいという母性本能がむずむずする。
戦闘が結構濃い感じがして好きです。発生していることは単純なのに独特の世界があって素敵だ。
この物語、一巻で収めたらどうなってただろうなあとか考えた。そんなことより続き買いますよ!

アンケートからのオススメでした。ありがとうございました!
バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)
文月学園。そこは進級テストでAからFクラスまでクラス分けされる学校。そして更にその学園を特別にしているのは試験召喚獣を開発し導入していること。Fクラスの明久は教室に嫌気が差し、友人の雄二とクラスメートたちと共に"試召戦争"を始めることに。

これは良いギャグ。ライトノベル! という感じの学園物で苦手かなと思ったけれど、面白い。
試験の点数を召喚獣に換算するというのが意表を突く設定だなと。文字にすると分かりやすくていいな。
Bクラス戦でムッツリーニが来たのに笑った。すごい勢いで興奮ゲージが上がった。そのままAクラスとの対決で何の疑問も持たず読んでいたら、オチがついて爆笑した。そうだよな、おかしいよな! そうだよな!
人間関係のあれは結構べただと思うけれど、ぐいぐい来る勢いがあって面白かった!

アンケートからのオススメでした。ありがとうございました!
小説以外
恩田陸のエッセイ集。新聞雑誌などから、読書について、料理について、自作についてなどが語られる。

読書が好きな為に書いている、ということが書いてあったような。感想を書く前に図書館に返却してしまった。
読書遍歴が読めて嬉しかった。たくさんメモした。料理も美味しそうで困った。
銃とチョコレート (ミステリーランド)
混血の少年リンツの国では事件が起こっていた。怪盗ゴディバが富豪たちの宝物を盗むという事件である。ゴディバを追う探偵ロイズは少年少女のヒーローだった。ある日父が買ってくれた古びた聖書から風車小屋のマークが描かれた地図を発見したリンツは、これはゴディバの隠れ家の地図ではないかと推測し、ロイズに手紙を書いて。

子どものためのミステリーランド、という複数の作家によるシリーズものなので、王道を行きつつ綺麗に終わるのかと思ったら、そうでもなかった。さすが乙一といった感じ。
怪盗の正体は父さんかなと思ったんだが死んでしまったし、もしかして隣人か、とも思ったら両方だったなんてすごいトリック。ロイズが悪者というのもすごい。人死にが出るのもびっくりした。最初のロイズに会うまでは児童文学っぽく、ドゥバイヨルと共闘するのは青春小説! という感じがしてわくわくした。ロイズが人質にしたリンツ母にキスするシーンはマフィア映画みたいだし、ラスト、両親と子のシーンは厳かになった。くるりくるりと回って色んなチョコレートを味見したみたい。良かった!
イーシャの舟 (ソノラマ文庫)
天邪鬼伝説が残る『入らずの山』に、産業廃棄物処理場が作られることになった。ある満月の夜、その建設現場の近くをライトバンで通りかかった宮脇年輝は、側溝にポルシェを脱輪させ立ち往生している美女・加賀山和美を助けた。和美の目の前で五トンもの車体を軽々と持ち上げる年輝——それを見た和美は、すがる思いで年輝にある頼み事をする。その結果、年輝は峠の天邪鬼に取り憑かれてしまうハメに——!? ファン切望の名作が大幅な加筆の上、転生!!(裏表紙より)

SFというより現代ファンタジー、それもほのぼのの色が強い。
ちょっと物足りない印象。天邪鬼との生活は良かったけれど在り来たりでもある。もうちょっと大きな事件とかときめきが欲しかった。例えば、イーシャがもう少し大きく成長する、とか。イーシャと年輝には子供と大人の関係しかなくて。
マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 (ハヤカワ文庫JA)
科学技術発祥の地”楽園”を訪れたバロットが知ったのは、シェルの犯罪を裏付ける記憶データが、カジノに保管された4つの100万ドルチップ内に存在するという事実だった。チップを合法的に入手すべくポーカー、ルーレットを制していくバロット。ウフコック奪還を渇望するボイルドという虚無が迫るなか、最後の勝負ブラックジャックに臨んだ彼女は、ついに最強のディーラーと対峙する——喪失と安息、そして超克の完結篇(裏表紙より)

アシュレイとのブラックジャックは多分現実的には有り得ないんだろうが、もし本物の戦闘として引き分けになり続け、傷を負いながら勝利を目指していると考えると面白いかもしれない。
シェルが来て、バロットがチップをわざと返していくのは、ダークヒーロー的。こんないやらしく返す主人公なんて滅多にいないだろうなと思う。
初読時は、ラストにウフコックが死んでしまったんだと思っていた。だが、今よく読んでみると、ボイルドに奪われた銃にはウフコックはいなくて、バロットの突き出した右手にウフコックがいた。そして最後に引き金のない銃になっている。スーツに干渉して「今度こそ本当に、もぬけの殻だった」とあるように、ボイルドには奪われてなかったのかと。本当私は濫用されかけて死んだのだと思っていた。
バロットとボイルドの差は、自らを委ねる事が出来たかどうかにあるのではないかと思う。ヴェロシティを読んでしまったら、ボイルドがただウフコックを使いたかっただけという理由が薄く感じられるけれど、ボイルドはウフコックの感情を読みとる能力を恐れてもいた。でもバロットは恐れなかった。ふと思った。一度死んだ者と生き続ける者の差というもの。
ボイルドはこの戦いの後、本懐を遂げる。それが本当のこの物語の終わり。
マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼 (ハヤカワ文庫JA)
緊急事態において科学技術の使用が許可されるスクランブル—09。人工皮膚をまとって再生したバロットにとって、ボイルドが放った5人の襲撃者も敵ではなかった。ウフコックが変身(ターン)した銃を手に、驚異的な空間認識力と正確無比な射撃で相手を仕留めていくバロット。その表情には、強大な力への陶酔があった。やがて濫用されたウフコックが彼女の手から乖離した刹那、ボイルドの圧倒的な銃撃が眼前に迫る——緊迫の第2巻!(裏表紙より)

ウフコックは濫用されてもバロットを離れなかったという所に、彼自身も心が成長している事が窺える。ボイルドたちが去ってしまった後の《楽園》は、更に進化しているようだ。人々は脳内で会話する。チャールズ博士は首だけになっている。ボイルドを駆り立てているのは好奇心だとチャールズ博士は言う。
トゥイーたちがまた来てと言うのと、ベル・ウィングが会いに来てくれと言うのと、二つの誘いがあるけれど、バロットはどちらの誘いも行けなさそうという感じがする。
袂を分かつきっかけになった事件の説明が、ヴェロシティとはちょっと違う。少女を保護したのをイースターも確認している事になっているような。その後車に戻って射殺したとあるけれど、確かそのまま車に閉じ込めたままだったような。
カジノの勝負を勝っていくのはわくわくするが、私にはまだバロットが戦っている感じがしない。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)
なぜ、私なの?——賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった……弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動!(裏表紙より)

ヴェロシティのエピローグ直前。主人公はルーン・バロットという少女娼婦。なぜ自分なのかと問う事を許されていくまでの物語、と思った。ヴェロシティは虚無、スクランブルは魂の再生というのはヴェロシティ三巻の帯の文句。
相棒となっていくバロットとウフコックの過程が上手く描かれていると思う。バロットが超人的な力を手に入れる所も気持ちいいが、諫めてくれるウフコックの存在がきいていて良い感じ。畜産業者との戦闘はやはり手に汗握るが、ヴェロシティのように研ぎ澄まされた感覚がないように思う。冲方丁は進化しているんだなと思う。
オクトーバー社の作った人物、が仲間にいる事が書かれているが誰? と思った。ここでは創設者というわけではなくて、現在の腐敗に至らせた人物と見るのが、ヴェロシティを読んだ人間としての正しい認識の仕方だろうか。
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Author:月子
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