読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
①CDショップに入りびたり苗字が町や市の名前であり③受け答えが微妙にずれていて④素手で他人に触ろうとしない——そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。解説・沼野充義(裏表紙より)
伊坂さんのイメージは淡々とした語り口なんですが、これもやはりそんな感じ。でも淡々としているのは語りだけで、実際の物語は結構いろんな事象があって読むのが楽しい。語りと物語の差が面白いのかな?
死神・千葉が、「ミュージック」が関わると目の色が変わるのが面白い。すぐに口に出すところが、すごい好きなんだなと思わせる。
「恋愛で死神」と「死神対老女」が好き。「恋愛で死神」は最後やるせない気持ちになって、揺らがない死神がちょっと憎らしくなるけれど、「死神対老女」では救いが見れて良かったなと。でもやっぱり全部いいなと思う。少しずつリンクしているのがとても好きなので嬉しい。この短篇六つも少しずつリンクしているけれど、伊坂作品でもリンクがあって、「旅路を死神」で出てくる絵描きの人は、もしかして『重力ピエロ』の弟か? と思っていたらやっぱりそうだったらしい。
これ確か映画化していたと思うのだけれど、評判はどうだったんだろう。
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あらゆるテロや犯罪が多発する国際都市ミリオポリス。そこに「黒犬」「紅犬」「白犬」と呼ばれる三人の少女で構成される警察組織MBPの〈ケルベルス〉遊撃小隊がいた。「なんか世界とか救いてぇ――……」呟く「黒犬」涼月、スナイパー「紅犬」陽炎、歌い踊る「白犬」夕霧らによる、”死に至る悪ふざけ(オイレンシュピーゲル)”
かなり面白かった……。なんというテンポ。ぐいぐい引力を感じて、一気読み。
出てくるのはまさに表紙裏のあらすじ通り、クールでキュートでグロテスク。プラス、かなりブラックジョーク連発。しかしそれが妙に物語を彩っていて愉快。しかし三人それぞれの過去にはトラウマを覚えそうだった。
それでも格好良く強い三人の少女。貶し合っているようで、その実、絶対的な信頼関係で結ばれている辺り、とてもわくわくする要素だった。
ビジュアル的に三人ともかなり好みです。でも今後一番成長具合が大きく見られそうなのは涼月かな、と。でもやっぱりみんなが好きだー!
アドニスとの最終決戦、エピローグ。
「そんなに多くの人間は乗れないんだよ、あの船は!」
ベルの最初の記憶にある、悲しみみたいなもの。神代に何があったのか分かる気がする。
最終決戦後のアドニスが異様に優しくて泣ける。
この作品で好きなのは、言葉遊びみたいなもの。当て字、ルビ振りが、別の世界を見ているようでわくわくする。想像するのが楽しかった物語だった。
ベルがどんな種族の特徴も持ち得ない、という辺りにどんな姿かすぐに見当がつくけれど、それがどうしてこうなったのだろう、と探す物語だったのかなとか。とにかく、物語の今の「世界の形」を見る、という物語だったように思う。
濃い物語だった。しかしやっぱり鈍器に近いハードカバーも欲しかったなあと思うのだった。
シェリーとの出会いからベネディクティンとの別れまで。
好きなんだよなあ、キール戦とその前後。
「確かに私は介者だ。粗にして野ではあるが、しかし卑ではない。覚えておけ」
から始まって、ベルが飾り立てられる辺りが乙女心をくすぐる。言い寄ってくる人間に対して、「喰い殺すよ」と笑えるベルが本当にかっこいい。
そしてキティ=ザ・オールが大好きだ。あのベルをエスコートできる唯一の人間だと思われる。踊るシーンはときめき度数がぐーんと上がった。
シェリーが神言を口にして「ラブラック=ベル、ただ一名のみ!」と告げてから「逃げてベル、逃げてーっ!」と言う辺りが何故かとても好きだ。
しかしその盛り上がり(私の)に反して、後のアドニスとのことがベルを深く沈めて「ああああ」となる。アドニスは肝心なところでへたれで、だめなやつだ。
人々は皆、蛙、鼠など様々な動物の特徴を持つ、空に青い聖星が輝く世界。そこにただひとり、どんな種族の特徴も持ち得ず生まれたラブラック=ベルは、自らの由縁を探すために旅に出ることを決めた。旅の呪いを帯びながら、〈都市〉において剣士として、試練を受けることになったベルは、やがて世界と神を問うことになる。
オープニングからカタコームのティツィアーノ戦まで。
一番最初に読んだときは、私はシアンはベルによって死んだと思っていたなあ。それからアドニスには恋はしていないように思っていた。恋慕に近しい、強い思い入れだったわけで。
ベルが育ての両親と再会して、妹に会うシーンが好き。しかし一番の盛り上がりはやっぱりカタコーム戦だなあ。感応といえるのなら、きっとそれだと思う。戦いの思考に入り込んでいるような気分。
一巻はあんまり好きシーンがないかも。剣楽はかっこいいし、盛り上がるけれど、後の巻の方が盛り上がってる気が。
「オイレンシュピーゲル」と比べると、やっぱり最初期作なんだなあという感じ。こっちもかなり好きです。自分の頭の中で映像化して勝手に音楽を付けたりするのが楽しい。でも、オイレンの鋭さには敵わないなあと思う。
憧れの存在だった上級生の香澄と芳野に誘われ、舞台背景画を描くために三人の合宿に参加することを決めた毬子。しかし合宿前に「九瀬に関わるのはよせ」と香澄に対する忠告を見知らぬ少年から受ける。待っていた合宿が始まり、三人だった香澄の家「船着場のある家」にやってきたのは、忠告をした少年月彦と、毬子に思いを寄せてくる暁臣。五人の合宿は、やがて夏の日に起こった二つの事件を暴こうとしていく。
恩田陸成分補給。久しぶりに底知れないところで怖かった。
少女たちの幻想というのか、一枚の絵を見ているような。ちょうど、表紙の酒井さんの作品のような、絵がずっと連続して続いている感じ。
恩田さんの視点みたいなのをずっと感じる作品だった。あとがきにもあるように、恩田さんの、少女たちを見た時の思いがずっと滲んでる。それが多分、一人称で語られながらも、第三者が見ているような、絵を見ているような不思議な感覚を引き起こすんだろう。
一番好きなのは芳野の章「ケンタウロス」。香澄の「愛してるわ」の意味がラストでぐっと迫ってきて良かった。少女から少女へ、という愛なので、少々倒錯的と言えるのだけれど、暗黒さはないので、とても良かった。
最初のページの文は、意思みたいなのが語りかけてる感じなのかな。
夏に読む童話的小説。でも読み終わるとやっぱり怖い感じ。
19世紀イギリスのロンドン郊外にある仕立て屋「薔薇色」のドレスは着る人の心を映す。人々には恋を叶えるドレスと噂されていた。その店主クリスの元に、公爵家の令息シャーロックがドレスを依頼しにくる。ドレスを身につけるのは、足が動かなくなった妹フローレンス。フローレンスの秘められた思いと、ドレスの物語。
とてもしっとりとした物語だった。これは人物みんなが英語で話して、字幕をつける映画みたいにしたら綺麗だなと思う。
話は、主人公のクリスの話というよりも、あとがきにあるように「ドレスが主役」の物語。これは絵や映像でみたらきらきらしてうっとりするだろうな……!
クリスがたいへん落ち着いた女の子で好感が持てる。シャーロックが貴族の坊ちゃんしていて、まだ子どもであんまり好きじゃないけれど、クリスを引っ張っていくのはこのくらいがいいのかな。でももうちょっとシャーロックに大人の魅力を!
19世紀イギリスのロマンチックさが出ている感じで、ファンタジーをひとつまみ入れた具合がいい感じでした。続き物らしいので、どうなるか気になるところです。
「当麻亡命事件」後の話を、郁と堂上の恋愛を中心に描いた「別冊」。激甘注意!
大変おいしゅうございました、というほどの激甘小説。バカップルすぎる。
爆笑したのが、『一、「明日はときどき血の雨が降るでしょう」』の、返り血浴びてイイ笑顔な郁のシーン。それに対する堂上の態度がかなりイイ。「もうな、俺はな」の言葉がかわいいと思ってしまった。そしてその後の台詞はやっぱり殺し文句だった。
『二、「一番欲しいものは何ですか?」』では堂上の家族に対面。いい人たちで良かった……。ラストが甘くて顔面を覆った。郁が一番欲しいのがキスとか! それに応える堂上とか!
『四、「こらえる声」』はいいのか、書いちゃっていいのか、という感じだった。大人だもんね二人ともそうか気持ちよかったのかタイトルから内容を察しろ! という感じ。「そして俺はムツゴロウさんか!」で大爆笑した。堂上教官、何気なくツッコミ上手くなってませんか。
柴崎と手塚の関係もいい感じだ。柴崎がなにげに気持ちを隠しつつ接近、手塚は完全意識しながらもウブイ。二人の展開もかなり気になるところ。
国内の原子力発電所でテロが発生。当麻蔵人の「原発危機」をなぞらえていると報道されていた。稲嶺司令の勇退によって、新たな時代を迎えようとしていた図書隊において、郁と堂上は急接近中。そこで現れたのは「原発危機」の著者、当麻。出版社の折口は、メディア良化委員会によって作家狩りの始まりになるであろう当麻の保護を求めてきたのだった。
にやにや、どきどきがたくさんだった。
メディア良化委員会との対決がどきどき。その合間に垣間見える郁と堂上の関係と、柴崎と手塚の距離具合がにやにや。陰謀具合と戦闘のバランスも良い。ただ、郁が本当に恋する女の子で、そんなこと考えてる暇ないでしょー! とにやにやしながら叱ってしまうところだった。
一番の功労者は大阪のおばちゃん。有川さんは本当に大阪のおばちゃんのノリ好きなんだろうな。
エピローグはにやにやにやの嵐だった。ここに至るまでに色々あったんだろうなと思うと、やっぱりにやにやが止まらない。