読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
没落貴族の娘で14歳のアリシアは、後見人の叔父により家名が欲しい金持ちへ嫁がされるが、なんと結婚式の途中新郎が急死してしまう! この「事件」がもとで『死神姫』と呼ばれるようになってしまったアリシアに、再婚話が持ち上がった。相手が新興貴族の成り上がり者でとかく噂のある〈強公爵〉ライセン。馬車に揺られて着いた先は、怪しい装飾を施された屋敷とライセンの愛人と主張するメイドのノーラ!?
第9回えんため大賞ガールズ部門奨励賞受賞! の軽快コメディ!!(裏表紙より)
感想書くの忘れてたので今更ながら。
これかなり好きになってしまった。没落貴族の天然娘が、俺様な新興貴族に嫁がされるというコメディ。コメディでとても気持ちいい感じだった。ときめきポイントはきっちり押さえてあると思う! 夫になるカシュヴァーンとのちょっとのずれ具合とか、彼の影の部分とか、幼妻! とか、俺様が実はどっぷり……、とか!
なによりもオチがすごいと思った。すっごく良いシーンなのに、ゴッと転けた。
とてもオススメ! 続きも読む!
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嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、正確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はうzが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!(裏表紙より)
面白かった! 元気出るなあというテンポの良さと気持ちいいストーリー!
ひとつひとつが綺麗にはまっていくのがいいなあ。最後、本当にだめなの、だまされちゃうの、とどきどきしてしまったけれど、気持ちのいい終わり方をした。
楽しくて、なんかちょっと壊れてる人たち。というのは、素晴らしい才能を持っていたり、特に銀行強盗に罪悪を抱いていない様子だったりするから。そのネジの抜け具合が、読んでいて楽しいのかも。雪子さんが一番弱そうに見えてキレるとすごかった。あとの三人はなんとなく自分でやっていける感じがするけど、文中にもある通り、安定感の良い四角であることがとてもいいなと思った!
水無月橋と呼ばれる橋がある、昨今流行のレトロな街並を維持するM町に殺人事件があった。市川吾郎というその男は不思議な力を持っていたらしい。偽名を使って、彼はM町で何を調べていたのか。そしてM町に立つ、二つの塔の意味は?
面白かった! 淡々と進むひとつの町の面を、様々な人の視点で見ていく。殺人事件がメインのミステリーというより、町というかひとつの「世界」を描きたかったのかなあと。
話は「きのう」という過去を探っていくもので、それが現在に進んで、未来への一歩を踏み出したのは、あの水柱のシーンじゃないのかなあ。過去から現在から未来へというのが私の考えたこの作品のテーマ。
締め方が恩田さんらしくて好きだなあと思った。偶然と、世界と、人、みたいな。
環境破壊で地球に住めなくなった人類は、さまざまな星へ移住した。
少年ヤマノシンの住むナイラ星も人類が移り住んでから二百年をむかえようとしていた。
ところが、シンの従妹リシアが突然、滅びたと伝えられるナイラ星の民「ロシュナール」の〈時の夢見師〉の力にめざめてしまう。
SFファンタジー。上橋さんのよく描かれる、淘汰される種族と征服者の現状がストレートに描かれている感じ。少年少女の冒険譚な要素もあり、少年少女の出生の秘密や、大人たちの思惑なんかもいっぱいに詰め込まれてる。時間とか、大人とか、思い通りにならない現実があって、それを越えて道を踏みしめて歩いていくシンとリシアがいいなあと思った。
ひとつのシーンを見たために、物語が姿を現すことってあるよね! と上橋さんのあとがきを読んでいつも思う。
雪が降りそうな冬のある日。雑踏の中で僕はひとりの女の子とすれ違った。銀色の髪の、きれいな少女。なぜか、目が合った僕のことを驚いた顔で見つめていて……。でもそれはたった一度の偶然の出会い。なにも起こることはない、はずだった……。
だけど数日後、僕は見知らぬ男女に連れられてその少女と再会する。デジタルツールを使わなければ誰からも知覚されず、誰のことも知覚できない”黄昏の子供たち”と呼ばれる特異な子供たち。少女は新たな進化のカギを秘めたその”黄昏の子供たち”の一人だった。
互いに孤独を秘めた少年と少女が出会う、せつなく温かい物語。(カバーより)
切ない、と言うより、ラストの力強さが印象に残った物語だった。
文章はライトノベルというよりケータイ小説的かなと思う一文の短さで、さくさく読めるけれど、想像力を駆使しないとしんどいかも。最初のクラスメート女子の「あろはおえ〜」とか「なにを黄昏れちゃってるのかな?」など最初の、普通の生活、がどうも違和感でした。それくらい、そういう雰囲気がまったくない話だとあらすじでプロローグで思っていたので。
あらすじを読んだら人類の進化のカギというワードから陰謀ものかなと思うけれど全然そんなことはなくて、少年少女の出会いと一緒にいると決めることが書かれていたと思う。惜しいなーと思うのは、もうちょっと書き込みがほしかったからかも。ひとつひとつのエピソードはもっと膨らませがいがあると思うのになあと思ったり。
これは僕の宣戦布告だった。この救いの無い理不尽な世界への。
「ここに」
銀花がいる方角を指さし、微笑む。
「ここに女の子がいるんですよ、一人」
最初に書いた通り、終始漂う緊迫した危うさ、切なさと、ラストの力強さがとてもいいなと思いました。きゅん、というより、ふう……、だったと思います! オススメありがとうございました!
シリーズ第一作『MAZE』で非凡な才能を見せた神原恵弥。その彼が北国のH市を訪れた。不倫相手の追いかけていった双子の妹の和見を連れ戻すためだが、もう一つ重大な目的があった。それはH市と関係があるらしい「クレオパトラ」と呼ばれるものの正体を掴むこと。人々の思惑や駆け引きが交錯するなか、恵弥は何を知ったのか。粉雪舞う寒空に広がる、恩田陸の夢幻のイマジネーション! 解説・三浦しをん(裏表紙より)
なんの偶然か解説がしをんさんだった。びっくりした。
恩田陸を夏以来読んだ。この文章がすぐ馴染んできて、成分補給した。
「MAZE」をもうほとんど覚えていないので、恵弥の頭の良さにびっくりする。恩田さんは女性たちが喋りあっている、というのが好きだとどこかで読んだ気がするので、男で女な恵弥が主人公でもとんとん進む会話に性差の違和感はない感じ。
そういえば「冷凍みかん」の話を聞いたことがあるんだよなあと思っていたら、この本で読んだのか! 「冷凍みかん」は「朝日のようにさわやかに」に収録。今見たら記事にしていなかったみたいだったので上げておいた。
「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。次期皇妃ファナは「光芒五里に及ぶ」美しさの少女。そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで海上翔破の旅に出る!? ——圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる! 蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。(裏表紙より)
表紙が好きで買っていた。表紙のファナは本当に凛々しく麗しい。
夏の恋、ファンタジー編という感じ。結構分厚いけれど、あまり厚いものを読んだ気はしない。さらさらっと読めて、うん面白かったという感じ。一冊読み切りとしてはとても素敵だと。
男の子と女の子のパートは狙ってる感が若干あった気もするけれど、空戦パートが面白かった。プロペラ戦闘機というとなんだか真っ赤のイメージがあって、それに付随して空戦の派手さも某アニメ映画の感じで再生されるから、ビーグルとの決着はかっこいいなあと思って読んでいた。
ラストはとても綺麗だった。思わず表紙を見た。ラストらしいラストというのが本当にとても好きなので、青空と金色の夏が綺麗で嬉しかった。
桜祭りの行われる横須賀基地より謎の巨大甲殻類が襲来した。泊していた潜水艦『きりしお』に逃げ込んだ二人の実習幹部・夏木と冬原、そして高三から小学一年生までの子どもたち。閉じ込められた空間での衝突、地上での防衛戦。六日間を乗り越える、大人と子どもたちの行方は。
全編シリアスな空気で息が詰まりました。特に狭い空間での圭介と望たちの話はハラハラ。地上での警察側の話は結構わくわくする感じで、二つが交代して進むので引き込まれていった感じだった。
夏木が始終熱血で、冬原が重大な時はにこやかに絞めるので、いいコンビだと思ったり。それから望は冬原の言った通り良い子だ……。「クジラの彼」で確か恋愛面の話があるんだよな。「クジラの彼」もう一回読みたいわー。
「やっぱり俺は、お前らが来なければよかったって一番初めに思ったんだ。お前らが来なかったら艦長は死なずに済んだって。そんな風に思われたのが最初なんて嫌だろ。どうせなら幸せに出会って幸せに始まった方がいいだろ」
印象としてはライトなミリタリもので、ちょっと軽めの読書したいわーと思ったときにいくといいかもしれない。
突っ走り系広報自衛官の女子が鬼の上官に情報開示を迫るのは、「奥様とのナレソメ」。双方一歩もひかない攻防戦の行方は!?「ラブコメ今昔」他六つの、自衛官たちが登場する恋愛短編集。
いやいやごちそうさまですという短編集。
最近の若者(二十代から三十代)の恋愛をこういう明るい文体で書くものになかなか出会ったことがないので、とても楽しく読める有川さんの本。
常々書かれているのが「有事の際は」ということ。これは「クジラの彼」でも書かれていたことだけれど、生半可な覚悟で国防はできないということ。これらは全部恋愛に焦点が当たっているし、平和な時代をメインにしているけれど。そういう点で「秘め事」はいろいろと重たかった。
「秘め事」は上官の娘と付き合うようになった自衛官の話。しかし何が起こるのか分からないのが自衛官で、主人公手島は彼女に別れようと言う。しかし、後悔に耐えきれず上官に全てを話して。
「そこそこいい打撃くれるようになりやがって」
「あなたが上官でしたから」
しかし上記の男の格闘はにやにやしてしまった。
200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?
一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは——すべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタテインメント!!(裏表紙より)
面白かった! 有川さんがいう「大人ライトノベル」というものなんだなと思った一冊。生物を拾って育てるというのは子どものロマンだし、航空機や未知の生物というのは大人のロマンかな、と。
有川作品は、人が人に向ける思いの書き方が独特な気がする。計算高い思考がぱっと出てくるのって、あまり見ないような。
にやにや大賞は高巳と光稀で、じんわり大賞は宮じいだな。それから大人対子供には不覚にも燃えた。ディックとの対話の部分はちょっとしんどかったけれど、でも面白かった。瞬と佳江、真帆の子供サイドも良かった。子供サイドの、特に真帆のキャラクターはライトノベル的。しかしやっぱり大人サイドのにやにやはすごいなーと思う。エピローグ良かった。彼らの続きは「クジラの彼」の一編なんだよな。もう一度読んでこよう。