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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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ホテル・カリフォルニア (集英社文庫)
サンディエゴの海岸に聳え建つ、客室数712を誇る豪華リゾートホテル〈ホテル・カリフォルニア〉。副総支配人のアム・コールフィールドは保安部長の兼任を仰せつかったが——ひとの集まるところには事件も起こる。下着泥棒、飛びおり騒ぎ、175人の同姓同名客の押し寄せた晩についに死体まで見つかって……かくしてアムは右往左往の毎日。素人ホテル・ディックのオフ・ビートな活躍。(裏表紙より)

ホテルを舞台にしたどたばた事件の探偵もの。ホテルの裏側や、変なお客たちが入れ替わり立ち替わり騒ぎを起こして、とても騒がしい中に起こった殺人事件を解決するというお話。結構分厚かった……。
事件に頭を悩ませるところが面白くて、騒ぎが起こる度に今度はなんだ! とわくわくしていた。それからホテルの裏側が非常に楽しくて、ホテルの人たちは個性豊かだなあと思ったりも。特にアムのビジュアルが想像できない。元サーファーで哲学専攻のホテルマンってどんなだ。かっこいいのか。
ホテルマンがかっこいい、と私が思っているのは映画の影響で、いつもいい役どころだからなのです。かっこよくて茶目っ気がある、とても素敵な人たち。もちろんアムもジョークを言うのですが、文字にすると全面的に皮肉っぽくなる気がする。
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「死体」を読む (新潮文庫)
東京都監察医務院の監察医として、数多くの殺人死体の解剖を手がけてきた著者。その経験に裏打ちされた眼は、迷宮入りの代名詞ともなった芥川龍之介の『薮の中』にさえ、真犯人を発見してしまう。他に、探偵小説の祖・ポーや性の深遠を描いた文豪・谷崎潤一郎などの文学作品、また帝銀事件や下山事件など、未だに歴史上に謎を残す事件死体に挑戦する。『「薮の中」の死体』改題。(裏表紙より)

芥川の『薮の中』に関する資料ということで、先生にお借りして読んだ本。法医学の観点から、小説、実在の事件の犯人を特定する。
あくまで法医学に際しての特定であるので、文学の読み方とは別物ということを念頭に置いてほしいと言われて読んだのですが、これが思ったよりもすっごく面白かったです。語り口がとてもいいのかな、文章が読みやすくて、よかった。
あんまり実生活には触れない学問なので、死体がどういうことを物語るのか、どういう特定を行っているのかが書かれてあって読み物として楽しく読みました。しかし解説を読むと、どういうことを行ってきていたのか、改めて気付かされて、ちょっと怖くなりました。そうか、解剖だもんなあ。
鷺の墓 (時代小説文庫)
藩主の腹違いの弟・松之助警護の任についた保坂市之進は、周囲の見せる困惑と好奇の色に苛立っていた。保坂家にまつわる因縁めいた何かを感じた市之進だったが……(「鷺の墓」)。瀬戸内の一藩を舞台に繰り広げられる人間模様を描き上げる連作時代小説。「一編ずつ丹精を凝らした花のような作品は、香り高いリリシズムに溢れ、登場人物の日常の言動が、鉄が木的なリアリティとなって心の重要な要素のように読者の胸に嵌め込まれてくる」と森村誠一氏絶賛の書き下ろし時代小説、ここに誕生!(裏表紙より)

時代小説はなかなか縁遠くて滅多に読まないけれど、オススメされて手に取ってみた。
面白かった! 叙情の世界だった。はっきりとした結末がないものもあるけれど、次の短編で大体のところが察せられたりと、短編連作というところもすごく好きだった。言葉遣いフェチでもあるので、話し言葉や単語にいちいち反応してしまったり。
どの話も好きだけれど、「空豆」の潔い切なさもとてもいいし、「秋の食客」のちょっとしたどたばた感もいいなあ。一之進の話にときめいてしまったので、最後にもう一度出てきたときはすごく嬉しかった。ラストを飾るに相応しい、爽やかなお話。
とても面白かった! オススメありがとうございました!
植物図鑑
「噛みません。躾のできたよい子です」飲み会の帰り道、さやかが拾ったのは、犬でも猫でもなく、男性だった。知った個人情報は彼の名前、樹だけだけれど、さやかは樹にがっちり心をつかまれてしまう。

面白かった! 何にも考えずに読んで、女の子の気持ちになれる気がした。しかし料理美味しそうだなあ! フキの混ぜご飯くらいだったら作れるかも! と思ってみる。
どこで会社の人にバレるのかというのを前編通じて心配していたのだけれど、杞憂だった。普通に一緒に出掛けて、色々採ってくるだけなのだけれど、さやかがすっごく楽しんでいて、樹と一緒にいることが嬉しくてたまらない! というのが文章から滲み出ていて、ずっとにこにこしてしまうんだー。
落ち物女の子バージョンが増えればいいのに! 女の子だってかっこいい男の子拾いたいぜ!
見返しの写真って樹のだよなー! 本が面白くて見るの忘れてたんだけど、綺麗だよなあ。
配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
「いいよんさんわん」——近所に住む老人から託されたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』の購入後疾走した母を捜しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真……。駅ビルの六階にある書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵が、さまざまな謎に取り組んでいく。本邦初の本格書店ミステリ、シリーズ第一弾!(裏表紙より)

楽しかったー!! 本屋さんものってなかなか見ないので、出会えて嬉しい。
日常の謎に取り組む本屋さんの話。最初の話「パンダは囁く」が良すぎて良すぎて。本を探すソムリエ的な役割から始まったかと思うと、それが本格ミステリーな暗号文を扱うものに。最後の伝言が決まりすぎて「くうう」と唸ってしまう。
そうかと思えば、「配達あかずきん」のように悪意が忍び寄ってくるものもあり。しかし結局は一貫して、人々の心の優しさを描いてくれていて、読んでいてとても嬉しかった。ラブストーリーの位置づけにある「標野にて 君が袖振る」は、謎も優美でとてもよかった!
とてもオススメです。
地獄変 (集英社文庫)
時は平安時代。高名だが傲慢な絵師の良秀は、貴族の大殿様に頼まれた地獄の絵が描けずに苦しんでいた。清冽な劫火に灼かれ、悶え苦しむ美しい女——。それを自分の眼で実際に見たいと良秀は望む。そこで大殿様は、残酷な方法を思いつき……。芸術のために全てを犠牲にするエゴイズムを凄絶に描いた表題作のほか、「羅生門」、「蜘蛛の糸」、「鼻」、「藪の中」など著者の代表作を収録。(裏表紙より)

芥川をこの年になって初めてしっかり読んだけれど、とても、すごーく良かった……。
人間の微妙な心理を精密に描きつつ、物語がどこか神々しい光や闇で満ちている感じ。私のツボは「地獄変」「奉教人の死」「舞踏会」「藪の中」。
「舞踏会」は鹿鳴館で社交界デビューする少女の話。「奉教人の死」は切支丹もの。
「地獄変」は裏表紙にあるあらすじの通りだけれど、圧巻。語り手は一体何者なんだろうというところから、「大殿様との関係はなかった」と繰り返される語り手の台詞が裏があるんじゃないかと怖かったり、畜生である猿と人間の良秀の対比と逆転した魂の清さとか、色々すごかった。
「藪の中」がまだいまいち呑み込めなくて、後で読み込むつもり。全員が己の信じたいもののために嘘を吐いているようにしか思えないんだ……。多襄丸は己が名のある盗賊で女に求められたから。女は誇り高いと思っている自分のために。男は死ななければならなかったことの正当化。うーん、どうだろう。根拠がないので本当に印象だけ書いてみたけど。
でも、すごくよかった。読みやすかったし、馴染んだ感じでするする読めた。
しかし、表紙……表紙がどうにかならんのだろうか……。私が持っているのは小畑氏の絵なんですが、普通の、学生が持っててもおかしくない表紙でも出そうよ……!
とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)
「これはきれいに飾り立てられた追放劇だ」数万人もの市民に見送られ、盛大な出帆式典により旅立ちの時をむかえた空飛ぶ島、イスラ。空の果てを見つけるため——その華やかな目的とは裏腹に、これは故郷に戻れる保証のない、あてのない旅。式典を横目に飛空機エル・アルコンを操縦するカルエルは、6年前の「風の革命」によりすべてを失った元皇子。彼の目線は、イスラ管区長となった「風の革命」の旗印、ニナ・ヴィエントに憎しみを持ってむけられていた……。
『とある飛空士への追憶』の世界を舞台に、恋と空戦の物語再び!!(裏表紙より)

主人公であるカルエルの背景がメインに語られます。なのでちょっと辛かったです。
色々あって大人しい性格になったのかと思いきや、かなり……難のある少年に育ってしまったね……と今後の展開がちょっぴり不安と期待でいっぱいです。
それだけに、普通の少年としてクレアと出会って、自転車に乗っているシーンはじんとしました。というか、自転車のシーンがとんでもなく綺麗でした。ロミオとジュリエットと銘打っているだけに、出会いはイコール一目惚れっぽくて……。
クレアの正体も明らかになっているので、次が気になります。
そして花嫁は恋を知る―紅の沙漠をわたる姫 (コバルト文庫)
ブラーナ帝国の皇女ユスティニアは、帝国の占領下にあるネプティス王国へ嫁ぐことになった。その道中で、ブラーナ支配に反発するネプティス人の反乱軍に誘拐されてしまう。反乱軍のリーダーは、前ネプティス王の息子ナティール。実はユスティニアは、つい先日まで帝都で薬師をしていた、にわか仕立ての皇女。もし人質の価値がないと知れたら……。沙漠を舞台に花開く、波乱のラブロマンス!(裏表紙より)

花嫁シリーズ第3巻。サハラ砂漠をイメージした世界を舞台に、反乱軍に攫われたにわか仕立ての皇女と、反乱軍のリーダーで王家に関わりのある青年とのロマンス、です。
薬師の少女ならではのシーンがあったり、二人きりの逃避行があったりと、王道なのですが、やっぱりこのシリーズ、女性がかなり強くて恐いです……。時代が時代でもあるせいか、男性も若干残虐な印象を受けました。
一番玉座から遠いように思える主人公でしたが、支え合う印象の強い二人でした。
雪の夜話 (中公文庫)
高校時代、試験勉強に疲れて抜け出した夜の公園で、僕が出会った雪と戯れる不思議な少女——その後デザイナーとして活躍する僕だが、ふとしたことから帰郷することに。そしてまた雪の夜、まるで変わらない彼女と再会して……。白い雪に覆われた現代の寓話。
解説・北上次郎(裏表紙より)

話は、大人の男性が、周囲との些細な不和をきっかけに仕事で村八分にされてうまくいかなくなり、地元に戻って再生しようとする物語、でいいのかな。その再生に、ずっと15歳の不思議な少女が関わっている、ちょっと現代ファンタジー。
恋愛成分はないです。少女が出てくるけれど、よく分からないファンタジー的なことを延々喋ってます。言っていることはなんとなく分かる。なんとなく分かるけれど、もっとはっきり言ったらいいのになーとちょっと思いました。
そんな感じで、随分昔に読んだのだけれど、上記に書いたように全然印象が違ってびっくりしました。昔は、単純に綺麗だなーと思っていたのだけれど、今は語りがとても重たい印象で苦悩が分かる気がした。
何かひとつ、希望があるのなら、真っすぐに生きていこうと思えるんだなと思ったりした。逆に、何かひとつうまくいかないと全然動けなくなってしまう人の存在も、よく分かるようになった。時の流れに置き去りにされてしまうような、引きこもっている感覚が分かってしまうんだなあ、ちょっとだけ悲しいことに。
くますけと一緒に (新潮文庫)
小学4年生になっても、ぬいぐるみの「くますけ」と片時も離れられない成美は、交通事故で突然両親を亡くして、ママの親友の裕子さんに引き取られた。裕子さんはとても優しい人だけれど、成美には誰にも言えない秘密があるから、くますけ以外を信じることができない……。正常と異常、現実と非現実の境界にある閉ざされた少女の心の内面をモダン・ホラーの手法で描く異色の長編。(裏表紙より)

ぬいぐるみの「くますけ」と意思疎通が出来る10歳の成美。ぬいぐるみを抱えて幼いと思いきや、考え方が非常に大人びていて、異常と言われるほど。
両親の死に負い目を感じ、引き取ってくれた裕子さんとその旦那さんに気兼ねして、という少女の葛藤も描かれ、ホラーなんですが、最後はほっこり終わってくれそうで……。
と思っていたら……! ぬいぐるみって恐いと思う終わり方でした。幸せを望むが故の狂気。ぬいぐるみと女の子の絆は時に恐ろしい。
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Author:月子
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